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帰還 ー王都ー
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「教会裏にある屋敷を図書館の為に寄贈します。
元々使っていない屋敷ですので、お気兼ねなくお使いください。」
ロス・グラトニーは大胆にも屋敷と庭を丸ごと寄贈すると王家に伝えていた。
早くも図書館へのリフォームからガーデンの作成にかかるまで細かく計画を練っていた。
それにはイオリだけではなくディビットも舌を巻いていた。
「とても素敵な図書館になりそうですね。
豪華すぎず、シンプルな造りを望みます。
その余裕があるのなら、絵本を1冊でも多く作りましょう。」
「わかりました。シンプルに清潔にですね。」
イオリの考えを読み解くロス・グラトニーはしっかりとメモを忘れない。
「子供達が使うんだ。できるだけ危険な場所や物を置きたくない。」
ディビットも同じ考えなのか、美術品や装飾品を飾り付けることを反対した。
「畏まりました。地図など必要な物は子供達が手の届かない高さに合わせます。」
ロス・グラトニーは先を読む力が強かった。
“子供達を教育する”と言う事は、のちのアースガイルの社会経済に影響することを分かっているのだ。
イオリは絵本事業は、この人たちなら任せられると安心した。
ディビット達と別れるとイオリ達は足早に冒険者ギルドの扉を開いた。
Sランク冒険者の受付で、うたた寝をしているサブマス・ミラのところまで行くと声をかけた。
「サブマス。起きてください。」
「「「「おーきーてー!」」」」
「大丈夫か?死んでないか?」
ヒューゴが話した瞬間だった。
ピーナッツが勢いよく飛んでくるとヒューゴのおでこを命中した。
「バァさんを勝手に殺してんじゃないよ。
本当だったら冗談にもならないよ。」
子供達はゲラゲラと笑いながら、おでこが赤くなっているヒューゴを指差していた。
イオリは近寄り小さな声で「ポーレットへ帰ります。」と伝えるとサブマス・ミラは微笑んで頷いた。
「最後に挨拶に来たんだね?
本当に義理堅い子だよ。
ついといで、アイツにも合わせなきゃ拗ねるからね。」
ミラはイオリ達を自身の後ろにある部屋に連れて行った。
「ミラー!!私のメガネ知りません?どっかに置いたんですけどね。」
入るとギルマス・ハンターが部屋中を引っ掻き回していた。
ミラは残念な生物を見るような目で溜息をつくと指を刺した。
「お前さんの空っぽの頭に乗っかってるよ。
全く、そんなナリしてやっぱり老人だね。
お客さんだよ。」
老人と言われ剥れていたハンターはメガネを掛けると、イオリ達に気づき一気に笑顔になると、ステッキを一振りして散らかした部屋を魔法で直した。
「いらっしゃい!!ミズガルドではお疲れ様!
聞いているよ!!大きな蛇を倒したんでしょ??
流石だよ!
フフフ。私ね、ミズガルドの冒険者ギルドに自慢しちゃったよね。
大丈夫!謎の英雄って言っといたから。」
ハンターの満面の笑顔にイオリは顔を歪めた。
「えぇ・・・嫌なんですけど・・・。」
それはヒューゴも同じで流石にギルマスに向けて眉間に皺を寄せていた。
「えっ?ダメ!?
もう言っちゃったよ!!
おかしいな?巷のSランクは目立つの好きだけどなー?
・・・・分かったよ。そんな顔しないで・・・。
誤魔化すから・・・迷惑かけないから・・・。
ゴメンなさい・・・。」
途中から皆んなの冷めた視線を感じたのか、ハンターはシュンとなった。
「お前はー!!!
イオリの事は内密にって言ったろうが!!
ただでさえ、冒険者を貸し出せとか面倒くさい事言ってきてるんだよ?」
ミラが飛び上がるとハンターの顔面を蹴り飛ばした。
「顔はやめてって言ったじゃないか!
酷いよ、ミラ!」
「煩い!この馬鹿!
外見を磨くのもいいけど、脳みそも磨きな!
イオリの存在はデリケートなんだよ!
分かっているだろうに。ボケボケジジィめ。」
ハンターは言い訳しながらモゴモゴと口を動かしていた。
「俺達、ポーレットに帰るんで、あとはお願いします。
面倒な仕事は致しません。
どうぞ、ポーレット公爵までお願いします。
ミラさん。最後にご挨拶できて良かったです。
これどうぞ。後で食べてください。」
怒涛の如く挨拶をしたイオリはミラに袋を渡した。
「嬉しいねー。イオリが作ってるんだろう?
私は甘い物が大好きさ。」
ミラは満面な笑みで中に入っている真ん中に穴の空いたお菓子の甘い匂いを嗅いでいた。
「私のは・・・?」
イオリはチラリとハンターを見ると、ミラに「一欠片あげてください。」
と言って、2人に頭を下げると子供達と一緒に扉に向かった。
「王都での経験は面白かったです。
また、お会いしましょう。」
ミラとハンターは笑顔で頷くと若きSランク冒険者を見送った。
「面白かったのは私らさね。」
イオリ達を見送るとミラは息を吐いた。
「本当だよ。
さて、私は嫌われないようにミズガルドの冒険者ギルド本部に言い訳しよう。
やっぱりミズガルドには登録しないって。」
「・・・・・・。」
バコーンっ!!
アースガイル国、王都冒険者ギルド本部のギルマスの部屋から大きな打撃音が聞こえたのだった。
元々使っていない屋敷ですので、お気兼ねなくお使いください。」
ロス・グラトニーは大胆にも屋敷と庭を丸ごと寄贈すると王家に伝えていた。
早くも図書館へのリフォームからガーデンの作成にかかるまで細かく計画を練っていた。
それにはイオリだけではなくディビットも舌を巻いていた。
「とても素敵な図書館になりそうですね。
豪華すぎず、シンプルな造りを望みます。
その余裕があるのなら、絵本を1冊でも多く作りましょう。」
「わかりました。シンプルに清潔にですね。」
イオリの考えを読み解くロス・グラトニーはしっかりとメモを忘れない。
「子供達が使うんだ。できるだけ危険な場所や物を置きたくない。」
ディビットも同じ考えなのか、美術品や装飾品を飾り付けることを反対した。
「畏まりました。地図など必要な物は子供達が手の届かない高さに合わせます。」
ロス・グラトニーは先を読む力が強かった。
“子供達を教育する”と言う事は、のちのアースガイルの社会経済に影響することを分かっているのだ。
イオリは絵本事業は、この人たちなら任せられると安心した。
ディビット達と別れるとイオリ達は足早に冒険者ギルドの扉を開いた。
Sランク冒険者の受付で、うたた寝をしているサブマス・ミラのところまで行くと声をかけた。
「サブマス。起きてください。」
「「「「おーきーてー!」」」」
「大丈夫か?死んでないか?」
ヒューゴが話した瞬間だった。
ピーナッツが勢いよく飛んでくるとヒューゴのおでこを命中した。
「バァさんを勝手に殺してんじゃないよ。
本当だったら冗談にもならないよ。」
子供達はゲラゲラと笑いながら、おでこが赤くなっているヒューゴを指差していた。
イオリは近寄り小さな声で「ポーレットへ帰ります。」と伝えるとサブマス・ミラは微笑んで頷いた。
「最後に挨拶に来たんだね?
本当に義理堅い子だよ。
ついといで、アイツにも合わせなきゃ拗ねるからね。」
ミラはイオリ達を自身の後ろにある部屋に連れて行った。
「ミラー!!私のメガネ知りません?どっかに置いたんですけどね。」
入るとギルマス・ハンターが部屋中を引っ掻き回していた。
ミラは残念な生物を見るような目で溜息をつくと指を刺した。
「お前さんの空っぽの頭に乗っかってるよ。
全く、そんなナリしてやっぱり老人だね。
お客さんだよ。」
老人と言われ剥れていたハンターはメガネを掛けると、イオリ達に気づき一気に笑顔になると、ステッキを一振りして散らかした部屋を魔法で直した。
「いらっしゃい!!ミズガルドではお疲れ様!
聞いているよ!!大きな蛇を倒したんでしょ??
流石だよ!
フフフ。私ね、ミズガルドの冒険者ギルドに自慢しちゃったよね。
大丈夫!謎の英雄って言っといたから。」
ハンターの満面の笑顔にイオリは顔を歪めた。
「えぇ・・・嫌なんですけど・・・。」
それはヒューゴも同じで流石にギルマスに向けて眉間に皺を寄せていた。
「えっ?ダメ!?
もう言っちゃったよ!!
おかしいな?巷のSランクは目立つの好きだけどなー?
・・・・分かったよ。そんな顔しないで・・・。
誤魔化すから・・・迷惑かけないから・・・。
ゴメンなさい・・・。」
途中から皆んなの冷めた視線を感じたのか、ハンターはシュンとなった。
「お前はー!!!
イオリの事は内密にって言ったろうが!!
ただでさえ、冒険者を貸し出せとか面倒くさい事言ってきてるんだよ?」
ミラが飛び上がるとハンターの顔面を蹴り飛ばした。
「顔はやめてって言ったじゃないか!
酷いよ、ミラ!」
「煩い!この馬鹿!
外見を磨くのもいいけど、脳みそも磨きな!
イオリの存在はデリケートなんだよ!
分かっているだろうに。ボケボケジジィめ。」
ハンターは言い訳しながらモゴモゴと口を動かしていた。
「俺達、ポーレットに帰るんで、あとはお願いします。
面倒な仕事は致しません。
どうぞ、ポーレット公爵までお願いします。
ミラさん。最後にご挨拶できて良かったです。
これどうぞ。後で食べてください。」
怒涛の如く挨拶をしたイオリはミラに袋を渡した。
「嬉しいねー。イオリが作ってるんだろう?
私は甘い物が大好きさ。」
ミラは満面な笑みで中に入っている真ん中に穴の空いたお菓子の甘い匂いを嗅いでいた。
「私のは・・・?」
イオリはチラリとハンターを見ると、ミラに「一欠片あげてください。」
と言って、2人に頭を下げると子供達と一緒に扉に向かった。
「王都での経験は面白かったです。
また、お会いしましょう。」
ミラとハンターは笑顔で頷くと若きSランク冒険者を見送った。
「面白かったのは私らさね。」
イオリ達を見送るとミラは息を吐いた。
「本当だよ。
さて、私は嫌われないようにミズガルドの冒険者ギルド本部に言い訳しよう。
やっぱりミズガルドには登録しないって。」
「・・・・・・。」
バコーンっ!!
アースガイル国、王都冒険者ギルド本部のギルマスの部屋から大きな打撃音が聞こえたのだった。
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