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帰還 ー王都ー
475 ーマテオの回顧録②ー
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__________
入江の集落に滞在し始めて驚いた。
門や見張りなどの守備などは全てがジュウゾウの考えだと言う。
それだけではない。
大人達には剣や弓などの武器の使い方を教え、身の守り方、集落の守り方を教えていた。
女・子供には逃げる方法を教え、その為の逃げ道を用意していた。
畑を耕し、魚や獣の捕り方を教え生活の資本を与えていた。
私も多くの集落を見てきたが、ここまで団結しているのを見たことがない。
ウサギの獣人の子供2人と同じく、身寄りのない子供達も大勢いた。
人族も獣人もエルフもドワーフも隔てなく笑顔だった。
ジュウゾウが集落の外で保護をしてきたのだと言う。
妻の“シノ”を中心として集落の大人達で面倒を見ていると聞いて尚更、驚いた。
子供達は“手習い”と言う名の一定時間、座って大人の話を聞いたり、数を数えたり、文字を教えてもらっていた。
ジュウゾウ曰く、「いつ独り立ちしても良い様に生きる上で必要な事を教えている」との事だった。
もう一度言う。
私は驚いた。驚愕したのだ。
私が理想とした世界がこの小さな集落にはあったのだ。
私もジュウゾウに剣の教えを乞いたが、私には一切教えてはくれなかった。
「身を守るすべなら、お前は持っている。」
そう言って、何度頼んでも首を立てに振らなかった。
「ジュウゾウが馬車を一刀で真っ二つにした力が欲しい。」
私の言葉にジュウゾウは眉を下げた。
「その力を得て、お前はなんとする?」
「守りたい人達を守りたい。」
私の言葉にジュウゾウは首を横に振った。
「それだけじゃ駄目だ。
思う事があるのなら、剣を振っていろ。
分かるまで何度でも何百でも。」
ジュウゾウの言葉の意味が分からず、私は歯痒い思いをし続ける事になった。
その日から、来る日も来る日も剣を振り続けた。
己が何をしているのか分からない。
生き生きした笑顔で生活している集落の人々の中、1人だけ混沌の世界にいる様だった。
その間、集落を襲う野盗や別集落がいたがジュウゾウが鍛えた集落の住人達は一丸となって守り切った。
そして、その日は決まって皆んなで宴をした。
集落を守り死んだ人間、怪我した人間、そして襲ってきて死んだ人間達をも弔い みんなで騒いだ。
泣いて笑って叫んで・・・。
人が生きるとは、どう言う事なのだろう。
分からなくなって、私は再び剣を振った。
1日で難なく2万回の剣振りができる様になったのは5年の月日を有していた。
その時には集落に集まる人も増えていて、集落は村になっていた。
村人達が増えても変わらなかったのはジュウゾウへの敬愛と尊敬であった。
村にいる間は人に囲まれるジュウゾウであったが、唯一1人になる場所があった。
海と村を見下ろす小高い山がジュウゾウのお気に入りだった。
そこにジュウゾウが行く時は暗黙の了解で誰もついていかなかった。
村に来て5年目の日、私はジュウゾウから、その山頂に行くのに誘われたのだ。
2人で山頂に辿り着いた時、夕陽が海を紅に染めていた。
「お前が此処に来て5年。
答えが出たか?」
ジュウゾウは唐突に私に聞いてきた・・・。
入江の集落に滞在し始めて驚いた。
門や見張りなどの守備などは全てがジュウゾウの考えだと言う。
それだけではない。
大人達には剣や弓などの武器の使い方を教え、身の守り方、集落の守り方を教えていた。
女・子供には逃げる方法を教え、その為の逃げ道を用意していた。
畑を耕し、魚や獣の捕り方を教え生活の資本を与えていた。
私も多くの集落を見てきたが、ここまで団結しているのを見たことがない。
ウサギの獣人の子供2人と同じく、身寄りのない子供達も大勢いた。
人族も獣人もエルフもドワーフも隔てなく笑顔だった。
ジュウゾウが集落の外で保護をしてきたのだと言う。
妻の“シノ”を中心として集落の大人達で面倒を見ていると聞いて尚更、驚いた。
子供達は“手習い”と言う名の一定時間、座って大人の話を聞いたり、数を数えたり、文字を教えてもらっていた。
ジュウゾウ曰く、「いつ独り立ちしても良い様に生きる上で必要な事を教えている」との事だった。
もう一度言う。
私は驚いた。驚愕したのだ。
私が理想とした世界がこの小さな集落にはあったのだ。
私もジュウゾウに剣の教えを乞いたが、私には一切教えてはくれなかった。
「身を守るすべなら、お前は持っている。」
そう言って、何度頼んでも首を立てに振らなかった。
「ジュウゾウが馬車を一刀で真っ二つにした力が欲しい。」
私の言葉にジュウゾウは眉を下げた。
「その力を得て、お前はなんとする?」
「守りたい人達を守りたい。」
私の言葉にジュウゾウは首を横に振った。
「それだけじゃ駄目だ。
思う事があるのなら、剣を振っていろ。
分かるまで何度でも何百でも。」
ジュウゾウの言葉の意味が分からず、私は歯痒い思いをし続ける事になった。
その日から、来る日も来る日も剣を振り続けた。
己が何をしているのか分からない。
生き生きした笑顔で生活している集落の人々の中、1人だけ混沌の世界にいる様だった。
その間、集落を襲う野盗や別集落がいたがジュウゾウが鍛えた集落の住人達は一丸となって守り切った。
そして、その日は決まって皆んなで宴をした。
集落を守り死んだ人間、怪我した人間、そして襲ってきて死んだ人間達をも弔い みんなで騒いだ。
泣いて笑って叫んで・・・。
人が生きるとは、どう言う事なのだろう。
分からなくなって、私は再び剣を振った。
1日で難なく2万回の剣振りができる様になったのは5年の月日を有していた。
その時には集落に集まる人も増えていて、集落は村になっていた。
村人達が増えても変わらなかったのはジュウゾウへの敬愛と尊敬であった。
村にいる間は人に囲まれるジュウゾウであったが、唯一1人になる場所があった。
海と村を見下ろす小高い山がジュウゾウのお気に入りだった。
そこにジュウゾウが行く時は暗黙の了解で誰もついていかなかった。
村に来て5年目の日、私はジュウゾウから、その山頂に行くのに誘われたのだ。
2人で山頂に辿り着いた時、夕陽が海を紅に染めていた。
「お前が此処に来て5年。
答えが出たか?」
ジュウゾウは唐突に私に聞いてきた・・・。
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