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新たな旅 ーミズガルドー
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会場に転がされていた1人の男は歓喜していた。
__________
いつの間にか拘束され、楽園から離れた馬車の中で目が覚めた。
いくら叫んでも悪態をついても自分を攫った男達に話は通じなかった。
人命をなんだと思っている?残酷だと?
こいつらも稚拙な人間であると苛立った。
『何故、尊い発見の前に犠牲が必要だと分からない!
私を狂人と呼ぶ奴らに理解してもらわなくて結構だ!
時間の無駄以外何ものでもない!
さっさと私を楽園に連れ戻せ!
静かに実験だけに身を投じることが出来て幸せだった。
あの男には多少の感謝はしている。
しかし、最近の要求が面倒なのは迷惑だった。
実験体を何に利用しているか分からない。
私にはどうでも良い事だ。』
いつの間にか連れてこられた豪華な部屋の中で囲む奴らの目から、これから良い事があるわけがない事が分かり、男は深い溜息を吐いた。
と言っても、既に口には布を巻かれ息苦しさを感じていた。
「この目で見るまで、少しは迷いがあったのだ。
妻を・・・ポリーナを失ったあの時に私の手で殺せば良かった。
いや・・それでは遅いのか・・・何を言っても遅い・・・。
もう2度とお前達の思い通りにはさせない。」
悲しげな貴族に睨まれて男は首を傾げた。
『何なのだ。あの無礼者は!』
その後、衛兵が乱暴に男を立たせると引きずる様に連れて行く。
『離せ!私を誰と思っている!!
世紀の発見をする男だぞ!
こんな扱いには抗議する!』
連れて行かれ、転がされると思いっきり顎を打った。
「ゔーゔー!!」
睨み付ける男は痛みで悲鳴が上がった。
騒ぎの中、男は救いを見つけた。
ルッツ・ヴァハマン侯爵。
『助けろ!ヴァハマン殿!
何をしている!我らの功績を馬鹿共に教えてやれ!!』
しかし、その後の展開は男の想いとは違う方向に進んでいるようだった。
頼りだったヴァハマンは周囲から責められ、知らない男と喧嘩をしている。
放置された男は騒ぎの最中、再び転がされ苛立っていた。
『世紀の魔術師ドミトリー・ドナードを蔑ろにする全ての愚かな者達め・・・。』
__________
そんな時だった。
ヴァハマンが指輪を壊し、エルフ達を転移させたのだ。
『エルフ!!しかも、ただのエルフではないぞ!
この上ない上質な餌だ。
やはり、私はついている!』
ドミトリー・ドナードは芋虫の様に這いずり、死んだサヴァーノの剣を縄に押し当て自分の手が血みどろになるのも気にせずに切っていった。
自由になった手で口に咥えた布を外し、手にして剣で足の縄を切り落とした。
「ははっはー!
やはり、私は選ばれた人間なのだ!!」
両手を上げ、どさくさに紛れて自由になった事を喜んだ。
そして、すぐさま転がっているエルフの髪を鷲掴みにすると仰向けにした。
「ドミトリー・ドナード!!!
やめろ!!」
エルフ達と戦っていたイグナート・カレリンの叫ぶ声が聞こえた。
ドミトリー・ドナードはニヤリと笑うとエルフの心臓に剣を振り下ろした。
ドンっ!!
その時、ドミトリー・ドナードの肩に痛みが走った。
「グアぁぁぁぁぁぁ!!クソっ!クソッ!クソがー!!」
イオリの放った銃弾に痛み苦しむドミトリー・ドナードは執念で体を動かし剣をエルフの体に突き刺し魔術を唱え始めた。
「もう、遅い!
私の研究は完成されているのだから!
ははは!!!愚かな者共め!
このドミトリー・ドナードこそ、全ての生命体の頂点に君臨するのだァァ!!」
エルフから魔力を取り込んだドミトリー・ドナードが掻き毟る様に服を破ると全身に張り巡らされた異様な模様が現れた。
すると、その模様が黒く光り出し徐々にドミトリー・ドナードの体を覆い尽くしていく。
『いけない!!皆、離れなさい!!』
ヴァルトの従魔カーバンクルのルチアが叫ぶと必死に聖域を作り始めた。
舌にまで刻まれた模様が歪むと、ドミトリー・ドナードの体が異形に変形していき、みるみる内に巨大化していった。
「なっ・・・何だこれは・・・。」
驚くイグナートの手を掴み引き剥がしたヴァルトは叫んだ。
「聖属性を持つルチアが離れろと言うのです!
危険だ!
クロムス!シールドだ!!」
「しかし、あいつはポリーナの!!ポリーナの!!」
拒むイグナートに場違いな程、優しい声がかけられた。
「貴方・・・。離れましょう。」
妻ソフィアの呼びかけに力を抜いたイグナートは涙を流しながらもヴァルトと共に離れてた。
「ハハハハハハハハ!!
体が軽いぞ!今までの中で1番良い気持ちだ!
私の実験は成功した!世紀の発見だ!
私を蔑ろにした人類に分らせてやる!
これが私の・・新人類の力だぁ!!」
どんどん大きくなるドミトリー・ドナードに逃げ惑う貴族達の悲鳴が聞こえてくる。
「ああ・・・称賛が聞こえてくる。
もっと私に力を・・・もっと・・・もっと・・・。」
唖然とするエルフの戦士達に大きな手が伸びていく。
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いつの間にか拘束され、楽園から離れた馬車の中で目が覚めた。
いくら叫んでも悪態をついても自分を攫った男達に話は通じなかった。
人命をなんだと思っている?残酷だと?
こいつらも稚拙な人間であると苛立った。
『何故、尊い発見の前に犠牲が必要だと分からない!
私を狂人と呼ぶ奴らに理解してもらわなくて結構だ!
時間の無駄以外何ものでもない!
さっさと私を楽園に連れ戻せ!
静かに実験だけに身を投じることが出来て幸せだった。
あの男には多少の感謝はしている。
しかし、最近の要求が面倒なのは迷惑だった。
実験体を何に利用しているか分からない。
私にはどうでも良い事だ。』
いつの間にか連れてこられた豪華な部屋の中で囲む奴らの目から、これから良い事があるわけがない事が分かり、男は深い溜息を吐いた。
と言っても、既に口には布を巻かれ息苦しさを感じていた。
「この目で見るまで、少しは迷いがあったのだ。
妻を・・・ポリーナを失ったあの時に私の手で殺せば良かった。
いや・・それでは遅いのか・・・何を言っても遅い・・・。
もう2度とお前達の思い通りにはさせない。」
悲しげな貴族に睨まれて男は首を傾げた。
『何なのだ。あの無礼者は!』
その後、衛兵が乱暴に男を立たせると引きずる様に連れて行く。
『離せ!私を誰と思っている!!
世紀の発見をする男だぞ!
こんな扱いには抗議する!』
連れて行かれ、転がされると思いっきり顎を打った。
「ゔーゔー!!」
睨み付ける男は痛みで悲鳴が上がった。
騒ぎの中、男は救いを見つけた。
ルッツ・ヴァハマン侯爵。
『助けろ!ヴァハマン殿!
何をしている!我らの功績を馬鹿共に教えてやれ!!』
しかし、その後の展開は男の想いとは違う方向に進んでいるようだった。
頼りだったヴァハマンは周囲から責められ、知らない男と喧嘩をしている。
放置された男は騒ぎの最中、再び転がされ苛立っていた。
『世紀の魔術師ドミトリー・ドナードを蔑ろにする全ての愚かな者達め・・・。』
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そんな時だった。
ヴァハマンが指輪を壊し、エルフ達を転移させたのだ。
『エルフ!!しかも、ただのエルフではないぞ!
この上ない上質な餌だ。
やはり、私はついている!』
ドミトリー・ドナードは芋虫の様に這いずり、死んだサヴァーノの剣を縄に押し当て自分の手が血みどろになるのも気にせずに切っていった。
自由になった手で口に咥えた布を外し、手にして剣で足の縄を切り落とした。
「ははっはー!
やはり、私は選ばれた人間なのだ!!」
両手を上げ、どさくさに紛れて自由になった事を喜んだ。
そして、すぐさま転がっているエルフの髪を鷲掴みにすると仰向けにした。
「ドミトリー・ドナード!!!
やめろ!!」
エルフ達と戦っていたイグナート・カレリンの叫ぶ声が聞こえた。
ドミトリー・ドナードはニヤリと笑うとエルフの心臓に剣を振り下ろした。
ドンっ!!
その時、ドミトリー・ドナードの肩に痛みが走った。
「グアぁぁぁぁぁぁ!!クソっ!クソッ!クソがー!!」
イオリの放った銃弾に痛み苦しむドミトリー・ドナードは執念で体を動かし剣をエルフの体に突き刺し魔術を唱え始めた。
「もう、遅い!
私の研究は完成されているのだから!
ははは!!!愚かな者共め!
このドミトリー・ドナードこそ、全ての生命体の頂点に君臨するのだァァ!!」
エルフから魔力を取り込んだドミトリー・ドナードが掻き毟る様に服を破ると全身に張り巡らされた異様な模様が現れた。
すると、その模様が黒く光り出し徐々にドミトリー・ドナードの体を覆い尽くしていく。
『いけない!!皆、離れなさい!!』
ヴァルトの従魔カーバンクルのルチアが叫ぶと必死に聖域を作り始めた。
舌にまで刻まれた模様が歪むと、ドミトリー・ドナードの体が異形に変形していき、みるみる内に巨大化していった。
「なっ・・・何だこれは・・・。」
驚くイグナートの手を掴み引き剥がしたヴァルトは叫んだ。
「聖属性を持つルチアが離れろと言うのです!
危険だ!
クロムス!シールドだ!!」
「しかし、あいつはポリーナの!!ポリーナの!!」
拒むイグナートに場違いな程、優しい声がかけられた。
「貴方・・・。離れましょう。」
妻ソフィアの呼びかけに力を抜いたイグナートは涙を流しながらもヴァルトと共に離れてた。
「ハハハハハハハハ!!
体が軽いぞ!今までの中で1番良い気持ちだ!
私の実験は成功した!世紀の発見だ!
私を蔑ろにした人類に分らせてやる!
これが私の・・新人類の力だぁ!!」
どんどん大きくなるドミトリー・ドナードに逃げ惑う貴族達の悲鳴が聞こえてくる。
「ああ・・・称賛が聞こえてくる。
もっと私に力を・・・もっと・・・もっと・・・。」
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