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新たな旅 ーミズガルドー
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式典の日は見事に晴れた日だった。
昼から着飾った貴族が集まり、噂話に花を咲かせている。
勿論、この日もイグナートが話題に上がっている。
「お姿が以前と変わらず、お美しかったと聞きましたわ。」
「少しお痩せになったようだが、輝いておいででした。」
「やはり、今回も奥方を連れてきてはいないようだ。
まぁ、王の目に入れたくないのだろうがね。」
「でしたら、今回は誰をエスコートなさるのでしょう?」
「ヤダ、相手がいないのでしたら頼めば良かったかしら?」
「・・・でも、この式典は例のアレだからな。
今だに悲しんでおられるだろう。」
「いやいや、少しはお気持ちを取り戻したから参加されるのではないか?」
容姿のことから、エスコート、事件の話など噂話は底をつかない。
そんな噂話の時間も簡単に過ぎていく。
高位の貴族が現れる時間になると華やかさは増していった。
その中でも、ヴァハマン侯爵の脇を固める一群は見るも派手な出立だった。
それが、威嚇しているかのように見え周りはヒソヒソと話し、目をつけられないようにしていた。
夕方になり、伸びやかな声が響いた。
「カレリン公爵。
イグナート・カレリン様。
お母君。
ナターリャ・カレリン様。
ご入場!!」
会場は一気に沸いた。
イグナートだけでも話題に上がっているのに、先代の側室であった母ナターリャを伴ってとなると会場の盛り上がりは一段と上がった。
当の2人は涼しい顔で会場に入ると誰に挨拶をするでもなく颯爽と歩いていた。
王座に近い場所に用意された椅子にナターリャが座ればイグナートは隣に立った。
「これはこれは、珍しい事。
麗しの姫にお目見えできて、ヴァハマン嬉しく思いますぞ。
お久しぶりでございます。ナターリャ様。」
「・・・久しぶりです。
何年ぶりでしょうか・・・随分と王宮も品がなくなったものですね。
騒がしですわ。」
ナターリャの冷たい眼差しにもヴァハマンはニッコリと頷いた。
「最近はとんと、以前の皆様がいらっしゃらないので退屈でございました。
是非とも、ナターリャ様も王都へおいで下さい。」
「・・・今回は息子に言われてついてきただけ。
だいたい、王都は好きではありません。
私など、時代遅れの壺のような物です。
愛でても何も面白い事などありません。」
ナターリャはもう話すことは無いと扇子を開き顔を隠した。
「私が無理やり連れてきてご立腹なんだ。
控えてくれヴァハマン。」
同じく涼しく美しいイグナート・カレリンが一瞥すると、ヴァハマンは眉間にシワを寄せた。
最近ではヴァハマンに冷たい態度の人間など存在しない。
王でさえ困り事を頼み込んでくる。
嫌味の一つも言おうを口を開いた時だった。
「国王陛下のご入場!!」
再び澄んだ伸びやかな声が聞こえ、壇上を見上げれば国王が王妃を伴い入ってきた。
そして、ナターリャを見つけると実に嬉しそうな笑顔を見せた。
それはまるで、無くしたおもちゃを見つけた子供のような顔であった。
しかし、年を重ねている為に醜悪さがプラスされている。
「今年もこの日が来た。
犠牲者を祈り、皆の気持ちも晴れやかになれば良い。
式典を始めよ。」
王の言葉に式典は幕をあげたのであった。
昼から着飾った貴族が集まり、噂話に花を咲かせている。
勿論、この日もイグナートが話題に上がっている。
「お姿が以前と変わらず、お美しかったと聞きましたわ。」
「少しお痩せになったようだが、輝いておいででした。」
「やはり、今回も奥方を連れてきてはいないようだ。
まぁ、王の目に入れたくないのだろうがね。」
「でしたら、今回は誰をエスコートなさるのでしょう?」
「ヤダ、相手がいないのでしたら頼めば良かったかしら?」
「・・・でも、この式典は例のアレだからな。
今だに悲しんでおられるだろう。」
「いやいや、少しはお気持ちを取り戻したから参加されるのではないか?」
容姿のことから、エスコート、事件の話など噂話は底をつかない。
そんな噂話の時間も簡単に過ぎていく。
高位の貴族が現れる時間になると華やかさは増していった。
その中でも、ヴァハマン侯爵の脇を固める一群は見るも派手な出立だった。
それが、威嚇しているかのように見え周りはヒソヒソと話し、目をつけられないようにしていた。
夕方になり、伸びやかな声が響いた。
「カレリン公爵。
イグナート・カレリン様。
お母君。
ナターリャ・カレリン様。
ご入場!!」
会場は一気に沸いた。
イグナートだけでも話題に上がっているのに、先代の側室であった母ナターリャを伴ってとなると会場の盛り上がりは一段と上がった。
当の2人は涼しい顔で会場に入ると誰に挨拶をするでもなく颯爽と歩いていた。
王座に近い場所に用意された椅子にナターリャが座ればイグナートは隣に立った。
「これはこれは、珍しい事。
麗しの姫にお目見えできて、ヴァハマン嬉しく思いますぞ。
お久しぶりでございます。ナターリャ様。」
「・・・久しぶりです。
何年ぶりでしょうか・・・随分と王宮も品がなくなったものですね。
騒がしですわ。」
ナターリャの冷たい眼差しにもヴァハマンはニッコリと頷いた。
「最近はとんと、以前の皆様がいらっしゃらないので退屈でございました。
是非とも、ナターリャ様も王都へおいで下さい。」
「・・・今回は息子に言われてついてきただけ。
だいたい、王都は好きではありません。
私など、時代遅れの壺のような物です。
愛でても何も面白い事などありません。」
ナターリャはもう話すことは無いと扇子を開き顔を隠した。
「私が無理やり連れてきてご立腹なんだ。
控えてくれヴァハマン。」
同じく涼しく美しいイグナート・カレリンが一瞥すると、ヴァハマンは眉間にシワを寄せた。
最近ではヴァハマンに冷たい態度の人間など存在しない。
王でさえ困り事を頼み込んでくる。
嫌味の一つも言おうを口を開いた時だった。
「国王陛下のご入場!!」
再び澄んだ伸びやかな声が聞こえ、壇上を見上げれば国王が王妃を伴い入ってきた。
そして、ナターリャを見つけると実に嬉しそうな笑顔を見せた。
それはまるで、無くしたおもちゃを見つけた子供のような顔であった。
しかし、年を重ねている為に醜悪さがプラスされている。
「今年もこの日が来た。
犠牲者を祈り、皆の気持ちも晴れやかになれば良い。
式典を始めよ。」
王の言葉に式典は幕をあげたのであった。
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