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新たな旅 ー王都ー
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「・・・と言うわけでディビット殿下へ手紙をお持ちしました。」
イオリは国王アルフレッドの執務室にて国王アルフレッドと宰相グレン、第2王子ディビットにポーレット公爵テオルドを前におずおずと手紙を差し出した。
「どうした?」
いつもと違うイオリにテオルドが訝しがる。
「・・・ヒューゴさんに普通は王族へ簡単に手紙を渡せないと聞かされて、なんか申し訳ないなと・・・。」
「「「「今更か!!」」」」
ゲラゲラ笑う国王とポーレット公爵にクスクスしている第2王子を前に顔を赤くしたイオリであった。
「気づいただけ、良いですよ。
最早、我々は貴方を規格外で見てますのでお気になさらず。」
宰相グレンだけは冷静に頷いた。
「ククク。やぱりイオリは面白いね。
グラトニーの会頭からの手紙読ませてもらうね。」
ディビットは手紙を開くと目を見開き、グレンにそのまま渡した。
「・・・・・土地を譲渡する?
グラトニー商会が所有する王都の土地の一部を国へ譲渡すると書かれています。
《子供達が気軽に本を読める図書館やガーデンに利用して欲しい》と書かれていますね。」
「ほう・・・。
グラトニーに何を話した?」
目をキラっとさせて国王がイオリに目をやるとニヤリとした。
イオリはグラトニー会頭ロスに相談に乗ってもらった内容を話すと一同が驚いた顔をした。
「でも、土地をくださいなんて言ってませんよ?
寧ろ驚いてます。」
眉を下げたイオリにアルフレッドは首を横に振った。
「豪商アーベル・グラトニーの血筋は人傑なんだ。
ただの金儲けの商人ではない。
そこいらの貴族よりもよっぽど国の為に働いている。
人脈しかり金の使い方しかり・・・。
何代前だったか、当時の国王がグラトニー当主に貴族位を授けようとしたら断られたそうだ。
《一般人である事の方が国に貢献できる》と見事な逸話だよ。
金で貴族位を買って大きな顔をしている者もいると言うのにな。
アーベル商会も我が国の宝だ。
ディビット。行ってまいれ。
ロス・グラトニー・・・かの者に学んでくるが良い。」
「はい。承知しました。」
ディビットはやる気に満ちた顔で頷くとグラトニー商会へ承知の手紙を送ったのであった。
_________
その日の夜の事だった。
残りの仕事を片付けてから帰宅しようとしていた宰相グレンは自身の執務室に籠もっていた。
人払いをしたはずの部屋に人の気配を感じた。
「誰です?」
ボロボロな姿を現したリルラの姿に眉を潜め手に持っていた武器を下ろすと椅子を立った。
「さぁ、座りなさい。
怪我を負ったのですね?」
「大丈夫。しくじったわけではない。
ポーションも飲んだから、見た目ほど体は酷くないよ。」
一息つくとグレンはお茶を入れた。
「イオリがポーレットで広めたお茶だそうですよ。
カモミールティーです。心が落ち着きますからお飲みなさい。」
「ありがとう・・・。」
リルラは安らぐ匂いの熱いお茶を一口飲むとテーブルに置いた。
「報告がある。
良い話じゃなくて悪い。」
「聞きましょう。」
グレンはリルラの焦りに気づき頷いた。
「数年前にミズガルドで“悪魔に魂を売った”男がいた。」
「魔術師ドミトリー・ドナードですね?
確か、収監の末に処刑されたと聞いています。」
「死んでなんかいない。
この目で見たんだ。
ヴァハマンがドミトリー・ドナードを囲っている。」
リルラの報告にグレンは顔色を変えた。
イオリは国王アルフレッドの執務室にて国王アルフレッドと宰相グレン、第2王子ディビットにポーレット公爵テオルドを前におずおずと手紙を差し出した。
「どうした?」
いつもと違うイオリにテオルドが訝しがる。
「・・・ヒューゴさんに普通は王族へ簡単に手紙を渡せないと聞かされて、なんか申し訳ないなと・・・。」
「「「「今更か!!」」」」
ゲラゲラ笑う国王とポーレット公爵にクスクスしている第2王子を前に顔を赤くしたイオリであった。
「気づいただけ、良いですよ。
最早、我々は貴方を規格外で見てますのでお気になさらず。」
宰相グレンだけは冷静に頷いた。
「ククク。やぱりイオリは面白いね。
グラトニーの会頭からの手紙読ませてもらうね。」
ディビットは手紙を開くと目を見開き、グレンにそのまま渡した。
「・・・・・土地を譲渡する?
グラトニー商会が所有する王都の土地の一部を国へ譲渡すると書かれています。
《子供達が気軽に本を読める図書館やガーデンに利用して欲しい》と書かれていますね。」
「ほう・・・。
グラトニーに何を話した?」
目をキラっとさせて国王がイオリに目をやるとニヤリとした。
イオリはグラトニー会頭ロスに相談に乗ってもらった内容を話すと一同が驚いた顔をした。
「でも、土地をくださいなんて言ってませんよ?
寧ろ驚いてます。」
眉を下げたイオリにアルフレッドは首を横に振った。
「豪商アーベル・グラトニーの血筋は人傑なんだ。
ただの金儲けの商人ではない。
そこいらの貴族よりもよっぽど国の為に働いている。
人脈しかり金の使い方しかり・・・。
何代前だったか、当時の国王がグラトニー当主に貴族位を授けようとしたら断られたそうだ。
《一般人である事の方が国に貢献できる》と見事な逸話だよ。
金で貴族位を買って大きな顔をしている者もいると言うのにな。
アーベル商会も我が国の宝だ。
ディビット。行ってまいれ。
ロス・グラトニー・・・かの者に学んでくるが良い。」
「はい。承知しました。」
ディビットはやる気に満ちた顔で頷くとグラトニー商会へ承知の手紙を送ったのであった。
_________
その日の夜の事だった。
残りの仕事を片付けてから帰宅しようとしていた宰相グレンは自身の執務室に籠もっていた。
人払いをしたはずの部屋に人の気配を感じた。
「誰です?」
ボロボロな姿を現したリルラの姿に眉を潜め手に持っていた武器を下ろすと椅子を立った。
「さぁ、座りなさい。
怪我を負ったのですね?」
「大丈夫。しくじったわけではない。
ポーションも飲んだから、見た目ほど体は酷くないよ。」
一息つくとグレンはお茶を入れた。
「イオリがポーレットで広めたお茶だそうですよ。
カモミールティーです。心が落ち着きますからお飲みなさい。」
「ありがとう・・・。」
リルラは安らぐ匂いの熱いお茶を一口飲むとテーブルに置いた。
「報告がある。
良い話じゃなくて悪い。」
「聞きましょう。」
グレンはリルラの焦りに気づき頷いた。
「数年前にミズガルドで“悪魔に魂を売った”男がいた。」
「魔術師ドミトリー・ドナードですね?
確か、収監の末に処刑されたと聞いています。」
「死んでなんかいない。
この目で見たんだ。
ヴァハマンがドミトリー・ドナードを囲っている。」
リルラの報告にグレンは顔色を変えた。
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