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新たな旅 ー王都ー

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「図書館とは王城にあるような物ですか?」

 ロスの問いにイオリは頷いた。

「そうですね。年齢を限定して自由に出入りの出来る物が良いと思うのですが・・・。
 図書館ほど大きくなくて良いんです。
 一般市民の中にも本を買えない者もいるでしょう。
 流石に貸し出すと管理などしきれませんからね。
 本が置けて、孤児や一般の子が気兼ねなく本を読め場所があると良いですね。」

 夢の様な話にイオリが想いを馳せているのをロスはニコニコしながら見ていた。

「それでいて、余計な資金がかからなく教会の孤児教育とも連携が取れる。
 そんな場所ですかな?」

「そうです!そうです!
 ロスさんの理解が早くて助かります。
 まぁ、大変難しい理想でしょうがね。」

 頭を掻くイオリにロスとリロイは顔を見合わせた。

「これは一度、ディビット殿下とココ様にお目通りしなければなりませんな。」

 ロスの言葉に早速リロイは王城への書類を作成し始めた。

「よろしければ、手紙をお持ちください。」

 リロイが作成しロスの印を押した手紙を渡されるとイオリは頷いた。

「孤児の教育には教会を無視するわけにはいきません。
 ミゲル枢機卿にもお話を伺わなければなりません。」

「分かりました。ディビット殿下に渡します。
 ロスさんにお話を聞いてもらって良かったです。
 ありがとうございました。」

 そんなイオリにロスはニヤリとした。

「本の製造はお任せを。
 ホワイトキャビン経由で仕事をいただければグラトニーも潤います。」

 強面のロスのニヤリ顔にイオリは苦笑しつつも、この日は別れた。

 
 グラトニー商会を出て、王城に戻りながら店を除いたりしているイオリにヒューゴは呆れた顔をした。

「お前な。さっきの手紙の事わかってるか?」

「ん?ロスさんからディビットさんへの手紙ですか?」

 イオリがきょとんとするとヒューゴは溜息を吐いた。

「お前な・・・。
 通常、貴族でさえも王族には簡単に会えないんだよ。
 グラトニー商会の会頭といえど一般市民が第2王子に色んな役所を飛び越えて手紙を渡すなんてありえないんだ。」

 指摘されて初めて気づいたイオリは愕然とした。

「マズい!感覚が麻痺してた!!
 どうしましょう??」

「どうしましょうって、もう断れないんだから責任持って渡すしかないだろう。
 でもな。グラトニー商会だからいいものの、そうやってお前を利用する奴らだって出てきてもおかしくないんだから気を付けろ。」

 「はーい。」と肩を落とすイオリにヒューゴは苦笑するとニナを抱き上げて頭を撫でさせてやった。

「イオリ、良い子良い子。」

「ありがとう。ニナ。
 ニナも良い子だよ。」

 二パァと笑うニナに癒されながらもイオリは国王一家の存在を改めた。

「でもなー。
 アルフレッドさんはアルフレッドさんだしなぁ。
 いつも、摘み食いしているおじさんだしなぁ。」

 やっぱり分かってないイオリにヒューゴは不安になるのであった。

 
 
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