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新たな旅 ー王都ー
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ロザリンダの帰国の準備は静かに進められた。
国王夫婦からの労いの言葉を貰い馬車に乗り込んだロザリンダはすでに自国へ帰ってからの身の守り方を考えていた。
そんなロザリンダを乗せた馬車は王都マテオールを出て街道を行き森に入って行く。
王族の旅など何処も同じように物々しい警護がついている。
今回は軍が派遣されていた。
行きの馬車には婆やも一緒に乗り込み、たわいの無い会話をしたものだが今は1人で馬車に揺られている。
旅の数日の間は穏やかだった。
ガタンっ!!
もう少しでミズガルドの領地だという所で馬車が大きく揺れて止まってしまった。
「如何した!?」
慌てて声を荒げ馬車の外を見たロザリンダが見たものは・・・。
________
ロザリンダの帰国が決まり、ミズガルドへの報告と抗議を決めたアースガイルの首脳陣が王の執務室にて話を進めていると、窓の外を見て考え事をしているイオリにヴァルトが声をかけた。
「どうした?慣れない城生活に疲れたか?」
「あー。それもそうですけど、別の事を考えていて。」
促すヴァルトにイオリは深い息を吐いた。
「俺は、国の政治やら他国との関係とかは分かりませんけどね。
今回の様に明確な悪意が存在して他国に諜報員を潜り込ませ内部から崩壊させようと考えている人がですよ。
姫様を無事にお返しして終わると思いますか?」
イオリの言葉はヴァルトだけでなく他の大人達にも聞こえていた。
「分かっている。そんな甘い事ではないであろうな。
他に考えられるとしたら・・・。」
国王アルフレッドの言葉にイオリは頷いた。
「もし、俺が相手の立場になったとしてですよ?
現在は確実にアースガイルに分があり、謝罪をしなければなりません。
今後の国交にも影響があるでしょう。
その立場を逆転するのに手っ取り早いのは“ロザリンダ姫の死”ですよ。」
王子達はイオリの言葉に驚き息を吸った。
「帰国の途中、アースガイル領内でロザリンダ姫が命を落とす様な事があれば一気に責め立てられるでしょうね。
最悪、戦争ですよ。
どの様な手段をとるかは分かりません。
でも、俺が危惧するのはミズガルドの魔獣を転移させるやり方です。」
________
そして、現在。
森の木をなぎ倒していく様に巨大な熊の魔獣が一行に襲いかかった。
「ギガントベアーだ!!馬車を守れ!」
「通常のギガントベアーより遥かにデカいぞ!!」
「4・・・いや、5倍はある!」
軍人や兵士達が慌て出し武器を構える中、1人の男が馬の上からギガントベアーを嬉しそうに眺めていた。
「わはははは!!やはり出たな!」
「将軍、笑い事ではありません。」
アースガイル将軍ザックス・ヒルの隣で冷静にギガントベアーを観察しているのは副官のオーブリーであった。
「せっかくイオリさんの読みが当たったんです。
始めましょう。」
「そうだな。やるか!」
ザックス将軍が手を挙げると、軍の陣形が変わり将軍とワイルドベアーの間に道ができた。
「他の者はあのデカ熊の出没によって暴れ出した魔獣達の対処をしろ!
あのデカ熊は俺達に任せろ。」
「おぉ・・・。
ザックス将軍が出張られるぞ!
俺達は他の魔獣をやるんだ!!」
「「「「「オォォ!!!」」」」」
ザックスの言葉に軍の士気が一気に上がった。
そんなザックスとオリビアに黒い馬がトコトコと近寄ってきた。
「始めますか?」
「おぉ!ヒューゴ!!
そりゃ、いつも子供達の子守をしてる小せえ馬か?」
ヒューゴと共に現れたアウラをザックスが見つめた。
「えぇ、この子は普段優しい子ですけどね。
本来はバトルホース。
信頼している家族です。」
ヒューゴが首を撫でるとアウラは「そうよ!」とでもいう様にザックスにフンッ!とやった。
「そりゃ、スゲーな!頼むぜ!嬢ちゃん!!
あのデカ熊を蹴ってやれ!」
「ヒンっ!」
頷くアウラに満足したのかザックスはヒューゴに首を傾げた。
「で?お前の大将は何処にいんだ?」
「あそこです。」
ヒューゴが指を指したのは背の高いチュペロの木の天辺に足をかけたイオリが黒い筒の武器を構えていた姿だった。
「行きましょう!!」
ヒューゴがアウラと共に走り出したのと同時にイオリはスナイパーライフルを打ち込んだ。
ドカーンッッ!!!
ザックス将軍・副官オーブリーが経験した事の無い戦いが今始まった。
国王夫婦からの労いの言葉を貰い馬車に乗り込んだロザリンダはすでに自国へ帰ってからの身の守り方を考えていた。
そんなロザリンダを乗せた馬車は王都マテオールを出て街道を行き森に入って行く。
王族の旅など何処も同じように物々しい警護がついている。
今回は軍が派遣されていた。
行きの馬車には婆やも一緒に乗り込み、たわいの無い会話をしたものだが今は1人で馬車に揺られている。
旅の数日の間は穏やかだった。
ガタンっ!!
もう少しでミズガルドの領地だという所で馬車が大きく揺れて止まってしまった。
「如何した!?」
慌てて声を荒げ馬車の外を見たロザリンダが見たものは・・・。
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ロザリンダの帰国が決まり、ミズガルドへの報告と抗議を決めたアースガイルの首脳陣が王の執務室にて話を進めていると、窓の外を見て考え事をしているイオリにヴァルトが声をかけた。
「どうした?慣れない城生活に疲れたか?」
「あー。それもそうですけど、別の事を考えていて。」
促すヴァルトにイオリは深い息を吐いた。
「俺は、国の政治やら他国との関係とかは分かりませんけどね。
今回の様に明確な悪意が存在して他国に諜報員を潜り込ませ内部から崩壊させようと考えている人がですよ。
姫様を無事にお返しして終わると思いますか?」
イオリの言葉はヴァルトだけでなく他の大人達にも聞こえていた。
「分かっている。そんな甘い事ではないであろうな。
他に考えられるとしたら・・・。」
国王アルフレッドの言葉にイオリは頷いた。
「もし、俺が相手の立場になったとしてですよ?
現在は確実にアースガイルに分があり、謝罪をしなければなりません。
今後の国交にも影響があるでしょう。
その立場を逆転するのに手っ取り早いのは“ロザリンダ姫の死”ですよ。」
王子達はイオリの言葉に驚き息を吸った。
「帰国の途中、アースガイル領内でロザリンダ姫が命を落とす様な事があれば一気に責め立てられるでしょうね。
最悪、戦争ですよ。
どの様な手段をとるかは分かりません。
でも、俺が危惧するのはミズガルドの魔獣を転移させるやり方です。」
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そして、現在。
森の木をなぎ倒していく様に巨大な熊の魔獣が一行に襲いかかった。
「ギガントベアーだ!!馬車を守れ!」
「通常のギガントベアーより遥かにデカいぞ!!」
「4・・・いや、5倍はある!」
軍人や兵士達が慌て出し武器を構える中、1人の男が馬の上からギガントベアーを嬉しそうに眺めていた。
「わはははは!!やはり出たな!」
「将軍、笑い事ではありません。」
アースガイル将軍ザックス・ヒルの隣で冷静にギガントベアーを観察しているのは副官のオーブリーであった。
「せっかくイオリさんの読みが当たったんです。
始めましょう。」
「そうだな。やるか!」
ザックス将軍が手を挙げると、軍の陣形が変わり将軍とワイルドベアーの間に道ができた。
「他の者はあのデカ熊の出没によって暴れ出した魔獣達の対処をしろ!
あのデカ熊は俺達に任せろ。」
「おぉ・・・。
ザックス将軍が出張られるぞ!
俺達は他の魔獣をやるんだ!!」
「「「「「オォォ!!!」」」」」
ザックスの言葉に軍の士気が一気に上がった。
そんなザックスとオリビアに黒い馬がトコトコと近寄ってきた。
「始めますか?」
「おぉ!ヒューゴ!!
そりゃ、いつも子供達の子守をしてる小せえ馬か?」
ヒューゴと共に現れたアウラをザックスが見つめた。
「えぇ、この子は普段優しい子ですけどね。
本来はバトルホース。
信頼している家族です。」
ヒューゴが首を撫でるとアウラは「そうよ!」とでもいう様にザックスにフンッ!とやった。
「そりゃ、スゲーな!頼むぜ!嬢ちゃん!!
あのデカ熊を蹴ってやれ!」
「ヒンっ!」
頷くアウラに満足したのかザックスはヒューゴに首を傾げた。
「で?お前の大将は何処にいんだ?」
「あそこです。」
ヒューゴが指を指したのは背の高いチュペロの木の天辺に足をかけたイオリが黒い筒の武器を構えていた姿だった。
「行きましょう!!」
ヒューゴがアウラと共に走り出したのと同時にイオリはスナイパーライフルを打ち込んだ。
ドカーンッッ!!!
ザックス将軍・副官オーブリーが経験した事の無い戦いが今始まった。
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