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新たな旅 ー王都ー
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その後、滞りなく王妃主催の茶会は大盛況の内に終わりを迎えた。
「本当に今回の茶会は面白い物が沢山見ることができました。
世の中にはまだまだ知らない事があるのですね。
勉強になりました。有り難う。
是非、またお会いしましょうね。」
王妃の挨拶が終わると王家一家とココ嬢がエトワールを後にして行った。
ポーレット公爵一家も席を立ち会場を後にしようとした時だった。
「ポーレット公爵!お待ち下さい。」
1人の男に声を掛けられた。
「これはタヴァロス侯爵・・・。」
退出の時に声をかけるのは失礼と知りながらも、今がチャンスとばかりにタヴァロス侯爵は立ち上がった。
「退出時に失礼を・・・。
久しぶりにお会いするのに、ご挨拶も出来ないのではと思い、声をかけさせて頂きました。
王都滞在の折には是非、我が家へも足をお運び下さい。
奥方も御子息もご一緒に・・・我が家にも家内と娘もお待ちしておりますので。」
汗を拭きながらも、必死に誘うタヴァロス侯爵にポーレット公爵は微笑んだ。
「機会があれば、寄らせて頂きましょう。
それでは。」
簡単に答えを済ませたポーレット公爵の後を同じく微笑んでついていくオルガ夫人と2人の息子達。
「ニコライ様!!」
女性の声に振り向いたニコライが見たのはハンカチを握り必死に手を振るタヴァロス侯爵息女・ギゼラだった。
ニコライはぎこちない笑顔を貼り付け会釈をして会場を後にした。
「やっぱり素敵・・・。」
ギゼラの声を振り払うように足早にさるニコライだった。
__________
『ククク。』
『ふふふ。』
『あははは!』
デニ、ルチア、ゼンの3匹の従魔たちは堪えられないのか体を震わせて笑っていた。
「うるさいぞ。お前達・・・。」
『だって、ニコライお前・・・ククッ』
『ふふふ。』
『ニコライ、変な顔で笑ってたよ?』
ゼンの言葉に従魔達だけでなく、ポーレット公爵一家は大笑いに包まれた。
「どんだけ嫌なんだ。お前は・・・」
「本当よ。ギゼラちゃん。
もう少し、合ったドレスを着た方が可愛いけどね。」
「やめてくださいよ。
私がどれだけ我慢したと思っているんですか?」
溜息を吐くニコライにエドガーは同情の声をあげた。
「確かに、あの視線は堪えるでしょうね。
ずっとニコライ様を見つめていましたよ。」
「蜂蜜よりもドロっとした目で見てたな。」
フランも心配そうに主を慮った。
「やめろ・・・蜂蜜まで嫌いになりそうだ。」
「兄上が嫌がるから、ギゼラ嬢のテーブルは私が行ったんですよ。
全くもって、私にまで媚を売ってくるんですから早めに決着をつけた方がいいですよ。」
初めは笑っていたヴァルトも、どうやらウンザリしたようだった。
「まぁ、良い。
それよりも、先程の話を聞かせてくれ。」
ポーレット公爵・テオルドが声をかけるとノアが小さな声で報告をしていた。
「ならば、直ぐに兄上に会うべきだな。」
テオルドの指示のもと足早に離れていくトゥーレは1人王城の奥へ進んで行った。
「イオリ達の予感が当たったな。」
「気づいたのはヒューゴさんですけどね。
屋根に登る人なんて、そうそう居ませんしね。
気付かれないと思っていたんですかね?」
「魔石の存在も気になります。
今、王城の魔導師が解析中との事ですが、大惨事もあり得たわけですから用心に越した事はありません。」
エドガーは涼しい顔をしかめさせていた。
そんな中、廊下の先からトゥーレが走ってきた。
「国王陛下がお会いになります。」
ポーレット公爵一行は国王の執務室まで移動して行った。
「本当に今回の茶会は面白い物が沢山見ることができました。
世の中にはまだまだ知らない事があるのですね。
勉強になりました。有り難う。
是非、またお会いしましょうね。」
王妃の挨拶が終わると王家一家とココ嬢がエトワールを後にして行った。
ポーレット公爵一家も席を立ち会場を後にしようとした時だった。
「ポーレット公爵!お待ち下さい。」
1人の男に声を掛けられた。
「これはタヴァロス侯爵・・・。」
退出の時に声をかけるのは失礼と知りながらも、今がチャンスとばかりにタヴァロス侯爵は立ち上がった。
「退出時に失礼を・・・。
久しぶりにお会いするのに、ご挨拶も出来ないのではと思い、声をかけさせて頂きました。
王都滞在の折には是非、我が家へも足をお運び下さい。
奥方も御子息もご一緒に・・・我が家にも家内と娘もお待ちしておりますので。」
汗を拭きながらも、必死に誘うタヴァロス侯爵にポーレット公爵は微笑んだ。
「機会があれば、寄らせて頂きましょう。
それでは。」
簡単に答えを済ませたポーレット公爵の後を同じく微笑んでついていくオルガ夫人と2人の息子達。
「ニコライ様!!」
女性の声に振り向いたニコライが見たのはハンカチを握り必死に手を振るタヴァロス侯爵息女・ギゼラだった。
ニコライはぎこちない笑顔を貼り付け会釈をして会場を後にした。
「やっぱり素敵・・・。」
ギゼラの声を振り払うように足早にさるニコライだった。
__________
『ククク。』
『ふふふ。』
『あははは!』
デニ、ルチア、ゼンの3匹の従魔たちは堪えられないのか体を震わせて笑っていた。
「うるさいぞ。お前達・・・。」
『だって、ニコライお前・・・ククッ』
『ふふふ。』
『ニコライ、変な顔で笑ってたよ?』
ゼンの言葉に従魔達だけでなく、ポーレット公爵一家は大笑いに包まれた。
「どんだけ嫌なんだ。お前は・・・」
「本当よ。ギゼラちゃん。
もう少し、合ったドレスを着た方が可愛いけどね。」
「やめてくださいよ。
私がどれだけ我慢したと思っているんですか?」
溜息を吐くニコライにエドガーは同情の声をあげた。
「確かに、あの視線は堪えるでしょうね。
ずっとニコライ様を見つめていましたよ。」
「蜂蜜よりもドロっとした目で見てたな。」
フランも心配そうに主を慮った。
「やめろ・・・蜂蜜まで嫌いになりそうだ。」
「兄上が嫌がるから、ギゼラ嬢のテーブルは私が行ったんですよ。
全くもって、私にまで媚を売ってくるんですから早めに決着をつけた方がいいですよ。」
初めは笑っていたヴァルトも、どうやらウンザリしたようだった。
「まぁ、良い。
それよりも、先程の話を聞かせてくれ。」
ポーレット公爵・テオルドが声をかけるとノアが小さな声で報告をしていた。
「ならば、直ぐに兄上に会うべきだな。」
テオルドの指示のもと足早に離れていくトゥーレは1人王城の奥へ進んで行った。
「イオリ達の予感が当たったな。」
「気づいたのはヒューゴさんですけどね。
屋根に登る人なんて、そうそう居ませんしね。
気付かれないと思っていたんですかね?」
「魔石の存在も気になります。
今、王城の魔導師が解析中との事ですが、大惨事もあり得たわけですから用心に越した事はありません。」
エドガーは涼しい顔をしかめさせていた。
そんな中、廊下の先からトゥーレが走ってきた。
「国王陛下がお会いになります。」
ポーレット公爵一行は国王の執務室まで移動して行った。
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