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新たな旅 ー王都ー
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ミズガルドから来たロザリンダ姫の舞台になるはずであった時間が1人の貴族夫人によって掠め取られてしまった。
それには貴族達も失笑するしかなかった。
何せ、ただの貴族夫人ではない。
国王陛下の双子の弟であるポーレット公爵の妻であるオルガであるならば致し方ない。
名庭エトワールはそんな空気に包まれていった。
「・・・・今の絶対にワザとですよね?」
イオリの言葉にポーレットの従者軍団は嬉しそうだった。
「そうですね。ワザとです。」
「さすがオルガ様。空気が読めない夫人を演じるのが上手い!」
「本当に度胸がおありになる。」
「絶妙な切り返しですよね。
しっかりと、自分は悪くないですよ。空気が出ています。」
「ほら、喋ってないで呼ばれているぞ。
トゥーレ。」
ノアからの指示を受けたトゥーレはイオリから預かっていた箱を持って歩き出した。
視線を一身に受けたトゥーレは動揺するでもなくスタスタと公爵の側に立ったニコライの元へ向かった。
トゥーレから受け取るとニコライは静かに王妃の前に置いた。
「宝石箱・・・?」
首を傾げる王妃シシリアにオルガ夫人はニコニコと鍵を渡した。
「開けて見て。喜ぶと思うわ。」
鍵を受け取ると王妃は悪戯顔のオルガを笑顔で見つめ箱を開けた。
「まぁ・・・。これは宝石?
それとも魔石??」
王妃の言葉にざわめく貴族達。
当然であろう。
茶会の席に金銭や高価な物をお土産として出すなどは社交の場として恥ずべき行為であった。
「オルガこれは・・・。」
流石の国王アルフレッドも何とも言えない顔で驚いていた。
「フフフ。綺麗でしょう?安心して。
これもお菓子なの。
私も初めて見た時、驚いたわ。
えっと・・・。
“琥珀糖”っていうんですって。
騙されたと思って食べて見て!絶品よ。」
王妃は恐る恐る手にとり口に入れた。
シャリシャリ・・・。
1口食べると、徐々に顔を綻ばしていった王妃が喜びの声を上げた。
「まぁ!なんて豊潤な香りと心地の良い甘さなの!
これなら、紅茶に砂糖など入れずに楽しんだ方がいいわね。
貴方も食べてごらんになって、食べられる宝石なんて初めて!
流石、ポーレットの妖精ね。
いつも驚かせてくれるわ。」
王妃の言葉に国王も一つ口に入れ破顔をした。
「ハハハハハ!やってくれるわ!
今まで出会った中で1番美味い石だ!
食感といい香りといい何もかもが初めての物。
先ほどのクッキーやら飴やらとはまた違う、面白い菓子よの。」
ご機嫌な国王に貴族は驚きをもって見つめていた。
「食べられる宝石?
そんな物知らないな。」
「この場から見たら只の石に見えるが・・・。」
「やはりポーレット公爵家。
素晴らしい物を隠されていたか・・・。」
メイド達により各テーブルに用意された琥珀糖に令嬢達がうっとりと眺めている。
「宝石を食べるなんて。流石は王城のお茶会だわ。」
「確かに、別の場で自慢しましょう。」
「あら、本当に美味しいわ。
先ほどの飴とは違い、噛めますのね。」
つい先程まで目立っていたロザリンダの事などすっかり忘れて茶会の場はポーレット公爵家が持ち込んだ
新しいお菓子に夢中になっていた。
《なんてこと・・・。私が注目を浴びるはずでしたのに。
途中から現れた田舎夫人に全てを持っていかれてしまったわ。》
苛立ちを持ってエトワールを見渡したロザリンダの目に自身の連れてきたローブの男が見えた。
《ブリエ・・・。》
ロザリンダと目が合ったローブを羽織ったブリエは人の目を掻い潜る様に姿を消していった・・・。
「やはり、目障りな存在だな・・・ポーレット。」
男の呟きは誰にも聞かれる事はなかった。
それには貴族達も失笑するしかなかった。
何せ、ただの貴族夫人ではない。
国王陛下の双子の弟であるポーレット公爵の妻であるオルガであるならば致し方ない。
名庭エトワールはそんな空気に包まれていった。
「・・・・今の絶対にワザとですよね?」
イオリの言葉にポーレットの従者軍団は嬉しそうだった。
「そうですね。ワザとです。」
「さすがオルガ様。空気が読めない夫人を演じるのが上手い!」
「本当に度胸がおありになる。」
「絶妙な切り返しですよね。
しっかりと、自分は悪くないですよ。空気が出ています。」
「ほら、喋ってないで呼ばれているぞ。
トゥーレ。」
ノアからの指示を受けたトゥーレはイオリから預かっていた箱を持って歩き出した。
視線を一身に受けたトゥーレは動揺するでもなくスタスタと公爵の側に立ったニコライの元へ向かった。
トゥーレから受け取るとニコライは静かに王妃の前に置いた。
「宝石箱・・・?」
首を傾げる王妃シシリアにオルガ夫人はニコニコと鍵を渡した。
「開けて見て。喜ぶと思うわ。」
鍵を受け取ると王妃は悪戯顔のオルガを笑顔で見つめ箱を開けた。
「まぁ・・・。これは宝石?
それとも魔石??」
王妃の言葉にざわめく貴族達。
当然であろう。
茶会の席に金銭や高価な物をお土産として出すなどは社交の場として恥ずべき行為であった。
「オルガこれは・・・。」
流石の国王アルフレッドも何とも言えない顔で驚いていた。
「フフフ。綺麗でしょう?安心して。
これもお菓子なの。
私も初めて見た時、驚いたわ。
えっと・・・。
“琥珀糖”っていうんですって。
騙されたと思って食べて見て!絶品よ。」
王妃は恐る恐る手にとり口に入れた。
シャリシャリ・・・。
1口食べると、徐々に顔を綻ばしていった王妃が喜びの声を上げた。
「まぁ!なんて豊潤な香りと心地の良い甘さなの!
これなら、紅茶に砂糖など入れずに楽しんだ方がいいわね。
貴方も食べてごらんになって、食べられる宝石なんて初めて!
流石、ポーレットの妖精ね。
いつも驚かせてくれるわ。」
王妃の言葉に国王も一つ口に入れ破顔をした。
「ハハハハハ!やってくれるわ!
今まで出会った中で1番美味い石だ!
食感といい香りといい何もかもが初めての物。
先ほどのクッキーやら飴やらとはまた違う、面白い菓子よの。」
ご機嫌な国王に貴族は驚きをもって見つめていた。
「食べられる宝石?
そんな物知らないな。」
「この場から見たら只の石に見えるが・・・。」
「やはりポーレット公爵家。
素晴らしい物を隠されていたか・・・。」
メイド達により各テーブルに用意された琥珀糖に令嬢達がうっとりと眺めている。
「宝石を食べるなんて。流石は王城のお茶会だわ。」
「確かに、別の場で自慢しましょう。」
「あら、本当に美味しいわ。
先ほどの飴とは違い、噛めますのね。」
つい先程まで目立っていたロザリンダの事などすっかり忘れて茶会の場はポーレット公爵家が持ち込んだ
新しいお菓子に夢中になっていた。
《なんてこと・・・。私が注目を浴びるはずでしたのに。
途中から現れた田舎夫人に全てを持っていかれてしまったわ。》
苛立ちを持ってエトワールを見渡したロザリンダの目に自身の連れてきたローブの男が見えた。
《ブリエ・・・。》
ロザリンダと目が合ったローブを羽織ったブリエは人の目を掻い潜る様に姿を消していった・・・。
「やはり、目障りな存在だな・・・ポーレット。」
男の呟きは誰にも聞かれる事はなかった。
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