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新たな旅 ー王都ー
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王家一家は貴族達が持ち寄ったお菓子を堪能すると、満足したようだった。
「実に良い味であった。
皆も楽しむと良い。
ギルバート、ディビット2人で令嬢達に配ってやりなさい。」
「承知しました。」
「はい。」
「殿下達だけでは手が足りまい。
ポーレットの品に繋がるものだ。
ニコライ、ヴァルトも手伝ってきなさい。」
「「はい。」」
4人が立ち上がると令嬢達が喜びで沸き立った。
特にギルバートは婚約者候補の席に向かわねばならない。
期待する令嬢達の視線に微笑みながら従者が持つ籠からクッキーやカステラを配っていった。
そんな4人の王子と御曹司を見て拍手や黄色い声がかかったのであった。
「ククク。見ろギルとディーの嫌そうな顔を・・・。」
「ニコライとヴァルトの貼りついた笑顔も見れたもんではないぞ。兄上。」
国王と公爵の兄弟は己達の息子の表情を見て笑っていた。
「貴方。4人が可哀想だわ。
それにしてもオルガちゃん。このクッキーは本当に美味しいわ。
いつも食べれるなんて羨ましい!!」
「まぁまぁまぁ!ありがとう!シシィちゃん。
でも、本物はもっと美味しいわよ。
いつか是非食べて欲しいわ!」
王妃と公爵夫人はニコニコとクッキーを半分個にしながら楽しんだ。
「何!?これよりも旨いのか?」
「あぁ、驚くほど旨い。
なんせ、あの子は楽しそうに作るからな。
食べるこちらも実に楽しい。」
「お前がそこまで言うとはな・・・。
あの黒い小僧であろう?怠そうにしておるが、実に隙のない出立だ。
早く話してみたいぞ。」
夫達の話を聞きながら微笑んでいた王妃であったが、ピクリと驚いた顔をした。
「ココ・・・。
貴方!ココが・・・。」
「ん?
誠だ!ココ!」
エトワールの入り口に立つ可憐な少女が恥ずかしそうに頭を下げていた。
紛れもなく、息子ディビットの婚約者であるクラーク伯爵家長女ココであった。
ざわめくエトワールの中、テーブルを避け婚約者に駆け寄ったディビットは嬉しそうに手を握った。
「本当に来てくれたのかい?
無理はしてない?
ドレス、よく似合っているよ。」
そんなディビットに微笑みかけるとココは頷いた。
「私なら大丈夫よ。ディー。
心配かけてごめんなさい。
私、気づいたの。
私には愛してくれる家族がいて、大好きな本が読めて、貴方と共に歩く足があって、笑い合う声がある。
何よりも貴方と一緒に生きていく事ができる・・・。
それ以上に望む事なんてないわ。
ご心配かけたのだもの、陛下と王妃様にご挨拶しなければ。」
「それならば、僕の腕を貸そう。」
「ふふふ。光栄です。
ディビット殿下。」
ココはディビットの腕に手をやり国王夫婦のもとまでやってきて、見事なカーテシーでお辞儀をした。
「息災であったか?ココ嬢。
もう、具合は良いのか?」
「さぁ、ココ。顔を見せて頂戴。」
「はい。陛下、王妃様。
大変ご心配をおかけしました。
この度、お茶会にご招待いただきまして嬉しく存じます。
久々の出席で遅れました事、平にご容赦ください。」
深く頭を下げたココは国王夫婦に顔をあげるとニッコリとした。
「その笑顔を見れただけで満足だ。
さぁ、座るが良い。」
「皆さんがポーレットからの珍しいお菓子を持ってきてくださったのよ。」
慌てて、メイドが席を作るとココは微笑んで座った。
「まぁ、クッキーですか?
私も大好きです。」
手を叩いて喜ぶココに国王はハテと首を傾げた。
「ココ嬢はクッキーを知っていたのか?
勉強家であるのは変わりないな。」
「いいえ、先日お客様より頂き初めて知りました。
心の籠もった贈り物に感激いたしました。」
そう微笑むココに王は庭の端に立っている真っ黒な青年に目をやった。
気づいた青年はビクッとしつつもニッコリと微笑み頭を下げたのであった。
「そうか・・・彼が・・・」
国王は周りに気づかれないように笑みを返した。
「実に良い味であった。
皆も楽しむと良い。
ギルバート、ディビット2人で令嬢達に配ってやりなさい。」
「承知しました。」
「はい。」
「殿下達だけでは手が足りまい。
ポーレットの品に繋がるものだ。
ニコライ、ヴァルトも手伝ってきなさい。」
「「はい。」」
4人が立ち上がると令嬢達が喜びで沸き立った。
特にギルバートは婚約者候補の席に向かわねばならない。
期待する令嬢達の視線に微笑みながら従者が持つ籠からクッキーやカステラを配っていった。
そんな4人の王子と御曹司を見て拍手や黄色い声がかかったのであった。
「ククク。見ろギルとディーの嫌そうな顔を・・・。」
「ニコライとヴァルトの貼りついた笑顔も見れたもんではないぞ。兄上。」
国王と公爵の兄弟は己達の息子の表情を見て笑っていた。
「貴方。4人が可哀想だわ。
それにしてもオルガちゃん。このクッキーは本当に美味しいわ。
いつも食べれるなんて羨ましい!!」
「まぁまぁまぁ!ありがとう!シシィちゃん。
でも、本物はもっと美味しいわよ。
いつか是非食べて欲しいわ!」
王妃と公爵夫人はニコニコとクッキーを半分個にしながら楽しんだ。
「何!?これよりも旨いのか?」
「あぁ、驚くほど旨い。
なんせ、あの子は楽しそうに作るからな。
食べるこちらも実に楽しい。」
「お前がそこまで言うとはな・・・。
あの黒い小僧であろう?怠そうにしておるが、実に隙のない出立だ。
早く話してみたいぞ。」
夫達の話を聞きながら微笑んでいた王妃であったが、ピクリと驚いた顔をした。
「ココ・・・。
貴方!ココが・・・。」
「ん?
誠だ!ココ!」
エトワールの入り口に立つ可憐な少女が恥ずかしそうに頭を下げていた。
紛れもなく、息子ディビットの婚約者であるクラーク伯爵家長女ココであった。
ざわめくエトワールの中、テーブルを避け婚約者に駆け寄ったディビットは嬉しそうに手を握った。
「本当に来てくれたのかい?
無理はしてない?
ドレス、よく似合っているよ。」
そんなディビットに微笑みかけるとココは頷いた。
「私なら大丈夫よ。ディー。
心配かけてごめんなさい。
私、気づいたの。
私には愛してくれる家族がいて、大好きな本が読めて、貴方と共に歩く足があって、笑い合う声がある。
何よりも貴方と一緒に生きていく事ができる・・・。
それ以上に望む事なんてないわ。
ご心配かけたのだもの、陛下と王妃様にご挨拶しなければ。」
「それならば、僕の腕を貸そう。」
「ふふふ。光栄です。
ディビット殿下。」
ココはディビットの腕に手をやり国王夫婦のもとまでやってきて、見事なカーテシーでお辞儀をした。
「息災であったか?ココ嬢。
もう、具合は良いのか?」
「さぁ、ココ。顔を見せて頂戴。」
「はい。陛下、王妃様。
大変ご心配をおかけしました。
この度、お茶会にご招待いただきまして嬉しく存じます。
久々の出席で遅れました事、平にご容赦ください。」
深く頭を下げたココは国王夫婦に顔をあげるとニッコリとした。
「その笑顔を見れただけで満足だ。
さぁ、座るが良い。」
「皆さんがポーレットからの珍しいお菓子を持ってきてくださったのよ。」
慌てて、メイドが席を作るとココは微笑んで座った。
「まぁ、クッキーですか?
私も大好きです。」
手を叩いて喜ぶココに国王はハテと首を傾げた。
「ココ嬢はクッキーを知っていたのか?
勉強家であるのは変わりないな。」
「いいえ、先日お客様より頂き初めて知りました。
心の籠もった贈り物に感激いたしました。」
そう微笑むココに王は庭の端に立っている真っ黒な青年に目をやった。
気づいた青年はビクッとしつつもニッコリと微笑み頭を下げたのであった。
「そうか・・・彼が・・・」
国王は周りに気づかれないように笑みを返した。
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