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新たな旅 ー王都ー

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「誰です?
 君達にそれを教えたのは?」

 笑顔を貼り付けていても、こめかみがピクピクと動いているのが分かるギルマス・ハンターは前屈みに双子に聞いた。

「ギルマスが言ってたよ。
 ねー」

「「「ねー。」」」

 他の子供達も一緒に頷くと、ハンターはブリキの人形のように顔をイオリにむけた。

「ポーレットのギルマス・コジモさんからの伝言です。
 妖怪ジジイと毒蜘蛛ババアに宜しくな。
 との事です。」

 これは巻き込まれてはマズいとイオリは、直ぐに口を割った。
 サブマス・ミラが肩を震わせ笑う横でギルマス・ハンターは青筋を浮かべ指をポキポキと鳴らした。

「あの小僧。
 まだまだ、教育が足りないらしいな。」

 コジモの未来を祈るばかりであるが、イオリは咳払いをした。

「ゴホン。
 ギルマス。初めまして。
 ポーレットで冒険者をしています。
 イオリと申します。
 こちらは俺のパーティーメンバーで家族です。」

 現実に戻ってきたギルマスはニッコリとすると握手をしてきた。

「失礼。最初が肝心でしたね。
 ようこそ。王都へ。
 
 最速でSランクへ駆け上がったルーキーの事は聞き及んでいました。
 会えて嬉しいですよ。
 皆さんもよくぞ来ました。歓迎します。」

 ギルマスは怒らせるとマズい学んだイオリはしっかりと握手を返した。

「それで、今回は公爵の護衛依頼でしたね。
 仕事を優先して下さって、構いませんが時にはギルドにも顔を出して下さい。

 ミラ、王都の話は?」

「まだだよ。
 お前さんを待ってたからね。」

「良い子ですね。
 それでは、私からお話しましょう。
 王都の冒険者ギルドは各地のギルドを束ねる役割もしています。
 先の事件の違法冒険者達を最終的に捌くのはココです。

 それから、各地の特別な依頼も集まってきます。
 誰も達成出来ない依頼とかね。
 Sランクの仕事などは誰にでも頼めるものではありませんからね。
 しかし、Sランクは専属になっている事も多くお抱え貴族との交渉もこちらでやっています。
 
 現在、王都に滞在するSランク冒険者は貴方を含めて3人。
 何か、ある時は3人で事にあたってもらいます。

 まぁ、そんな事がない事を願いますがね。」

 一思いに話すとギルマス・ハンターは紅茶を一口飲んだ。

「やはり、ミラの紅茶は素晴らしいですね。 うん。

 では、王都での受付の事ですが、このミラが受けます。
 Sランクの依頼ですからね。中には、秘密も存在します。
 余裕が出来れば是非にも受けて頂きたいものですね。

 えぇ、今回は結構。」

「それは、パーティーで受ける事ができますか? 
 俺は、この子達と離れる気はないんです。」

「勿論ですよ。
 ただ、先ほども言った通り他のSランク冒険者と協力する時は緊急依頼となりますので同行は認められません。
 それほど、緊迫した状況とお考えください。

 以前の魔の森の巨大な鹿の出現。
 本来あれは緊急依頼に相当します。

 ギルドが所有する転移魔法でSランクを送る事になっていたところに解決の報告があり驚きましたよ。」

「なるほど・・・。
 理解しました。ただ、従魔のゼンは一緒に行きます。それは譲れません。」

「それは構いませんよ。
 貴方の従魔ですからね。他のSランク冒険者も連れている人もいますから。
 それに純白のフェンリルを認めないなんてあり得ませんよ。」

 興味深そうに覗き込んできたハンターにゼンはイオリの足に擦り付き言った。

『ハンター。
 ボクはイオリの言う事しか聞かないよ。』

「なんと!フェンリルと話す機会があるとは・・・。
 勿論、構いませんよ。
 主人と従魔は一心一体。
 貴方達もそうですよ?」

 アウラとソルに目を細めるハンターは思わず溜息を吐いた。

「本当に美しい従魔に好かれているのですね。
 目の保養です。眼福です。」

 子供達が引いた目でハンターを見てアウラとソルを隠していた。
 そんなハンターを横目で見ていたミラはうんざりした顔をした。

「気持ち悪いだろう?
 美しいものが好きな変態なんだ。
 でも、強いし頼りがいのある男だよ。
 
 こう見えて、私より年上の立派なジジイなんだ。」

「え・・・。息子さんくらいかと思っていました。」

 ミラはイオリをジトッとした目で睨むと舌打ちをした。

「チッ!
 コイツは魔法で外見を変えてる変態なんだ。
 コジモが妖怪というのは、そんな理由さね。
 あの子は、私らの弟子だからね。
 こいつの素顔を知ってしまったのさ。あの時はあの子慌ててたねー。」

「ミラ!その話はなしですよ!!
 全く、デリカシーがない!」

「・・・・なるほどねー。」

 プンスカ怒るハンターに戸惑うイオリだった考えても意味ないかと直ぐに受け入れた。
 それをヒューゴ苦笑して見ていた。
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