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新たな旅

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「ポーレット公爵様一団とお見受けします。
 我らは王都より参りましたアースガイル国王立騎士団第一部隊に御座います。
 ポーレット公爵はおられますか?」

 馬を降りて待つ王立騎士団第一部隊はポーレット公爵テオルドが姿を表すと膝をついて敬意を態度で示した。

「ご苦労だった。王都で何かあったか?」

 その内の男が1人が出てきて甲冑をとってニヤリとした。

「おう。久しぶりだな。迎えにきてやったぞ。」

 髭を蓄えた男が顔を出すとテオルドは深い溜息を吐いた。

「はぁー。わざわざ、お前が出てこなくても良かろうに。
 王都で何かあったか?ザックス。」

「王命でな第一部隊をお前の迎えにやるって聞いたから、ついてきた!
 わははは!嬉しいか!」

 テオルドはザックスの後ろで気まずそうにしている第一部隊に気の毒な視線を送るとノアとポーレット騎士団団長アイザックに合図を送った。

 2人は頷くと、それぞれが出立の準備の人頭に立った。

「慌てなくても良いぞ?どうせ、俺は戻るとオーブリーに殺されるだけだからな!わははは。」



「あのオジサンは良い人なの?」

 首を傾げるパティにニコライは笑うと頷いた。

「ザックス・ヒル。
 アースガイルには守護者の王立騎士団とは別に軍がある。
 戦の最前線に立つ彼らを人は“シルバーファング”と呼ぶ。彼はそのトップに君臨する大将軍だよ。
 本来は地方貴族を迎えに来るような人じゃないんだ。
 父上の学友で豪快だが頼りになる人だよ。挨拶してくる。
 イオリ、お前らもここからは我々の馬車に乗れ。」

 そう言うとニコライは父とザックスの元に行き、バシバシと背中を叩かれていた。

「え・・・俺も、公爵家の馬車に乗るんですか?」

「その方がいい。そのまま王城へ着いた方が目立たないからな。」

 側に来たノアに薦められると嫌とは言えなくなった。
 自分達の馬車を腰バックにしまい子供達やオルガ夫人と共に馬車へ向かうと肩をガシっ!と掴まれた。

「お前がイオリか?思ったよりも若かったな。
 俺はザックス。将軍さんだ。よろしくな!
 困った事があったら俺に任せろ!わははは。」

「あっ・・・はい。
 冒険者をしていますイオリと申します。よろしくお願いします。」

 驚くイオリにザックスは満足気に頷くと今度はヴァルトを捕まえてバシバシと背中を叩いていた。

「すまんな。あーゆー奴だが、悪い奴ではないんだ。
 どうせ、国王より先にイオリを見に来て、後で自慢する気なんだ。
 昔から変わらんからな。
 まぁ、我らが信頼していると言えばイオリには安心か?」

 困った顔のテオルドにイオリも思わず笑って頷いた。

「そうですね。確実に信頼できる人というのは重要ですからね。
 何かあれば相談してみます。」

 そう言うとイオリは公爵家の馬車に乗り込んだ。

「フフフ。相変わらずな人ね。
 昔から、あんな感じなの。でも、奥様想いの良い方だから安心して。」

 みんな揃えて安心と言うわけで、第一印象が強烈なのは仕方のない事なのかもしれない。



 流石に全員乗れるわけではなかった為に、ヴァルトとヒューゴは馬に乗る事になった。

 子供達はイオリだけではなく、テオルドやニコライ、オルガ夫人と一緒に座れてご満悦だ。

「出発!!」

 ノアの声が響くと王立騎士団と含めた一団はゆっくりと王都へ向けて進み始めた。
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