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帰還  〜ポーレット〜

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 星空の下、大きなテーブルに並べられた料理達は湯気を上げ良い匂いを漂わせていた。

「おぉ、旨そうだ。
 これらは海で手に入れた物なのか?」

 ヴァルトの問にイオリは微笑んで説明を始めた。

「ダグスクで手に入れたのは乾物です。
 主に出汁に・・・スープに使われます。
 
 今度、グラトニー商会のアーベルさんとバートさんもご招待して乾物の魅力を知ってもらう機会は作りますんで今日は簡単に・・・。
 お味噌汁ですよ。
 味噌をといたスープです。

 あとは、カツ丼をメインに牛すじ煮込み、ポテトサラダとか葉野菜のお浸しなどを用意しましたよ。
 味付けには乾物が使われてますから、どうぞ召し上がってください。」

「「「「いただきまーす!!」

 これは何だ?と首を傾げる大人達とは裏腹にゼンを始めとした子供達はかぶりつく様にカツ丼を食べ始めた。

「「美味しい!!カツ美味しい!!」」

「サクサクとしっとり美味しい!」

「うまうま。」

『何これ!止まんない!何これ!!』

 ガッツく子供達を見た大人達は唾を飲み込むと一斉に食べ始めた。

「!!!旨い・・・。モグモグ・・・。」

「豚の塊が柔らかいぞ。」

「何よりも味が食べた事がない・・・。美味です。」

「これは米に乗せる事で完成なのか?確かに米に合うな。」

「さしずめ、パンでいうとサンドイッチと同じでしょうか?イオリ君は本当に驚かしてくれる。」

「旨い!良いぞ!」

 どうやら、お気に召したらしいと安心したイオリも箸をつけ始めた。

「うーん。旨い。
 出汁がなければこの味は出せないよな。」

 満足そうに食べるイオリにヒューゴは微笑んだ。

「公爵様の元に戻っても、お前って変わらないんだな・・・。
 安心したよ。」

「???
 何の事です?俺は俺ですよ?
 旨いものには忠実なんです。さぁ、どんどん食べてください。」

 ニナのパンパンな口を拭いてやると、当たり障りのない夕食の時間を幸せだと感じるヒューゴであった。





__________


「それで?その冒険者達は、街を追放されたのか??」

 煌びやかとは無縁な質実剛健と絵に描いたような部屋で男が3人膝を突き合わせて話し合っていた。

「その方向性ではありますが、まだ治安維持隊預かりだそうです。
 御当人は何でも足だけで捌いただけで争いには積極的ではなかった様です。
 お近くにニコライ様がいらっしゃったので、確かな証拠になります。」

「傑物と聞いたが、なかなかもっての面白い御仁ですな。」

「だからこそ!!」

 ドンっ!!と1人の男がテーブルを叩いた。

「だからこそ、会わせて欲しいと何度もグラトニーのアーベル殿に申し入れているのに!!
 あの人は、のらりくらりとはぐらかす!!
 会わせたくないと言っているのと同じだ!」

「最近の流行のどこからどこまでが御当人の考えなのかも知りたいですね・・・。
 儲けを1人で抱え込むホワイトキャビンについては監視をつけています。
 良い加減に公爵様へ直接に交渉されたらいかがです?」

 ここ最近の食文化への変化について商人ギルドが関わる事なく行われている事に腹を据えかねているのは商人ギルド・ギルドマスター・ゲーザは歯痒い思いをしていた。

 グラトニー商会へ問い合わせても、冒険者ギルドに問い合わせても良い返事が聞けないからであった。
 会費を含め税の徴収などは滞りなく済まされている手前、文句を付け入る隙がないのである。

「わかった・・・。明日にでも手紙を書こう。
 一度お会いしてでもお話を聞かなくては・・・。」

 商人ギルドでは逃した魚を追う為に柵を練り始めたところで会った。
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