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帰還 〜ポーレット〜
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「どれどれ。腕を上げてくれ。
それで、お前さんの武器はなんだって?」
早速カサドはヒューゴの採寸をしながらメモをとっていく。
「大剣です。でも、俺はシールドのスキル持ちなんで盾役もやります。
基本は動ける方がいいんですけど、必要な時は防御の力も必要なんです。」
ヒューゴの分かりやすい回答にカサドは頷くと
「なるほどなるほど。」
と満足そうだった。
「それなら、一つ試してみたいことがあるな。
うん。お前ら全員そうしちまおう。
おい!イオリ!!」
ヒューゴは暖炉で寛いでいるイオリに声をかけ手招きをした。
「お前ら、全員分の戦闘服を置いていけ。
やりたい事がある。
どうせ、すぐには仕事なんてしないだろう?
2週間くれ。
面白いもん作ってやるよ。」
そんなカサドにイオリは戸惑いながら、外を指差した。
「えー。だって、これから絶対に一悶着あるじゃないですか!
俺はともかく子供達のは心配ですよ。」
「アホか!あんな奴ら、双子のキックで十分だ。
あー。パティは今日はスカートだから禁止な。
どの道、街中じゃ喧嘩もできないだろう?
それにヒューゴのスキルがあれば安心じゃねーか。
ほら、ほら、出してけ。」
イオリが渋々戦闘服を出していくと、子供達も習うようにテーブルに置いていった。
「それと、ちびっ子嬢ちゃんのもいるんだろ?
採寸の手伝いをしてくれ。
こんなちびっ子だと壊しちまいそうで怖いんだ。」
そう話すカサドにニナはトコトコと近づくと、ヒューゴを真似て両手をあげた。
「いいよ。」
カサドは苦笑すると、ヒューゴとともにニナの採寸を始めた。
「とりあえず、ちびっ子嬢ちゃんは防御特化に注視すればいいんだろ?
流石に戦闘は早ぇもんな。
いいか、ちびっ子嬢ちゃん。こいつらを真似するんじゃねーぞ?
こいつらが出来てるからって、自分もやると大怪我に繋がるからな。
おじさんと約束な。」
そう言うとカサドはニナと指を交差した。
「うん。マネしない。」
「よしよし。本当にお前んとこの子は良い子が集まるな。」
「ふふふ。ありがとうございます。
今回も、色々と素材持ってきましたよ。
ダンジョンも行ったんで、良いのもあると思うんで使ってください。」
イオリがゴロゴロと素材を出し始めると、カサドはキラリと目を光らせ確認していった。
「おぉ、みんな上質な素材ばかりだ。
使わせてもらうよ。任せてくれ。
いいな?2週間だ。」
「それじゃ、2週間後に旨いものを持ってきますよ。
宜しくお願いします。」
イオリ達がカサドの工房を出ようとすると、前の建物の影から件の男達が飛び出してきた。
「おい!お前、俺達の仕事は受けねーくせにガキの仕事を請け負うってのはどーゆことだ?」
イオリ達を見送りにきたカサドに文句を言う男達に呆れた様にカサドが言い放つ。
「鍛冶屋が、この街のSランク冒険者とそのパーティーの仕事を請け負って何が悪い?」
悔しそうに顔を顰める冒険者達のリーダー格が吠え出した。
「大体、そのガキがSランクっていうのも変だろうが!
大方ギルマスの機嫌をとって昇格したんだろうよ。
この街も“明けない魔の森”なんて物があるから、スゲー冒険者がいると思えばトップがガキとはな。
シケた街だせ!」
そんな男にイオリは飄々と近づくとニコニコと聞いた。
「それは、この街の全冒険者を馬鹿にしたと捉えて良いんですか?」
当然、道の往来には冒険者達の姿がチラホラとある。
吠える男達の言葉に眉間にシワを寄せている者もいるし、ギルドに報告に走る者もいる。
しかし、当の男は言わずにはいられないのか止まらない。
「冒険者が武器職人に仕事を依頼して何が悪い!
それなのに、客を選びやがって!
国に選ばれた名工だか知らねーが、こんなシミッたれた街で埋もれてちゃ世話ねーな!」
見守っていたギャラリーまでもが“シミッたれた街”と言う言葉に反応して怒気を孕んで囲み出した。
カサドは鼻で笑うとイオリの隣まで来て男達に言いはなった。
「俺は自分の力量も分からねーアホの武器を作るつもりわねーよ。
あぁ、客は選ぶさ。何が悪い。
お前らだって、仕事を選ぶだろーが!
大体な。そこのお前!」
そう言うとカサドは1人を指差した。
「お前の背中には弓があるが、お前に向いているのは短剣だ。
その隣の奴は斧を振り回すほど筋肉が定まってねーし。
そっちのお前は魔法使いなんだろうーが、杖がお前さんを認めてねー。
んで、リーダーのお前な。
お前は腰に立派な長剣をぶら下げているが、本来は・・・。
まぁ、俺がここまで教えてやる義理わねーわ。
俺が仕事を受けない理由を知ったら、さっさと帰んな。
こんなシミッたれた街よりもお前さん達に合う街があるんだろうよ。」
そう告げたカサドにギャラリーが頷いた。
顔を真っ赤にした男達はブルブルと震えるとキッとイオリを睨むと一斉に飛びかかってきた。
イオリはヒョイっと避けると首を傾げた。
「何がしたいんですか?」
とぼけた様に言うイオリに我慢の限界が来たのか、武器を取り出し襲いかかった。
その剣先をイオリが足で捌いていくとギャラリーが盛り上がりを見せた。
「おいおいおい!工房前で迷惑だ。
治安維持隊はまだ来ねーのか?」
そんな時だった。ヒューゴの隣に立った男性がニコニコとイオリと男達の様子を見ていた。
「・・・ニコライ様?止めますか?」
ヒューゴの戸惑いの声にニコライは首を横に振った。
「まぁ、酷い事にはならないだろうから良いよ。
ほら、治安維持隊と冒険者ギルドがやってきた。
イオリも気付いたみたいだし。平気じゃない?」
ニコライの首にはカーバンクルが目をつむり、時々争いを見てはつまらなそうに欠伸をした。
「お前達!!こんな街中で何をしている!!」
治安維持隊の怒号が響き、ストリートファイトは終焉を迎えたのであった。
それで、お前さんの武器はなんだって?」
早速カサドはヒューゴの採寸をしながらメモをとっていく。
「大剣です。でも、俺はシールドのスキル持ちなんで盾役もやります。
基本は動ける方がいいんですけど、必要な時は防御の力も必要なんです。」
ヒューゴの分かりやすい回答にカサドは頷くと
「なるほどなるほど。」
と満足そうだった。
「それなら、一つ試してみたいことがあるな。
うん。お前ら全員そうしちまおう。
おい!イオリ!!」
ヒューゴは暖炉で寛いでいるイオリに声をかけ手招きをした。
「お前ら、全員分の戦闘服を置いていけ。
やりたい事がある。
どうせ、すぐには仕事なんてしないだろう?
2週間くれ。
面白いもん作ってやるよ。」
そんなカサドにイオリは戸惑いながら、外を指差した。
「えー。だって、これから絶対に一悶着あるじゃないですか!
俺はともかく子供達のは心配ですよ。」
「アホか!あんな奴ら、双子のキックで十分だ。
あー。パティは今日はスカートだから禁止な。
どの道、街中じゃ喧嘩もできないだろう?
それにヒューゴのスキルがあれば安心じゃねーか。
ほら、ほら、出してけ。」
イオリが渋々戦闘服を出していくと、子供達も習うようにテーブルに置いていった。
「それと、ちびっ子嬢ちゃんのもいるんだろ?
採寸の手伝いをしてくれ。
こんなちびっ子だと壊しちまいそうで怖いんだ。」
そう話すカサドにニナはトコトコと近づくと、ヒューゴを真似て両手をあげた。
「いいよ。」
カサドは苦笑すると、ヒューゴとともにニナの採寸を始めた。
「とりあえず、ちびっ子嬢ちゃんは防御特化に注視すればいいんだろ?
流石に戦闘は早ぇもんな。
いいか、ちびっ子嬢ちゃん。こいつらを真似するんじゃねーぞ?
こいつらが出来てるからって、自分もやると大怪我に繋がるからな。
おじさんと約束な。」
そう言うとカサドはニナと指を交差した。
「うん。マネしない。」
「よしよし。本当にお前んとこの子は良い子が集まるな。」
「ふふふ。ありがとうございます。
今回も、色々と素材持ってきましたよ。
ダンジョンも行ったんで、良いのもあると思うんで使ってください。」
イオリがゴロゴロと素材を出し始めると、カサドはキラリと目を光らせ確認していった。
「おぉ、みんな上質な素材ばかりだ。
使わせてもらうよ。任せてくれ。
いいな?2週間だ。」
「それじゃ、2週間後に旨いものを持ってきますよ。
宜しくお願いします。」
イオリ達がカサドの工房を出ようとすると、前の建物の影から件の男達が飛び出してきた。
「おい!お前、俺達の仕事は受けねーくせにガキの仕事を請け負うってのはどーゆことだ?」
イオリ達を見送りにきたカサドに文句を言う男達に呆れた様にカサドが言い放つ。
「鍛冶屋が、この街のSランク冒険者とそのパーティーの仕事を請け負って何が悪い?」
悔しそうに顔を顰める冒険者達のリーダー格が吠え出した。
「大体、そのガキがSランクっていうのも変だろうが!
大方ギルマスの機嫌をとって昇格したんだろうよ。
この街も“明けない魔の森”なんて物があるから、スゲー冒険者がいると思えばトップがガキとはな。
シケた街だせ!」
そんな男にイオリは飄々と近づくとニコニコと聞いた。
「それは、この街の全冒険者を馬鹿にしたと捉えて良いんですか?」
当然、道の往来には冒険者達の姿がチラホラとある。
吠える男達の言葉に眉間にシワを寄せている者もいるし、ギルドに報告に走る者もいる。
しかし、当の男は言わずにはいられないのか止まらない。
「冒険者が武器職人に仕事を依頼して何が悪い!
それなのに、客を選びやがって!
国に選ばれた名工だか知らねーが、こんなシミッたれた街で埋もれてちゃ世話ねーな!」
見守っていたギャラリーまでもが“シミッたれた街”と言う言葉に反応して怒気を孕んで囲み出した。
カサドは鼻で笑うとイオリの隣まで来て男達に言いはなった。
「俺は自分の力量も分からねーアホの武器を作るつもりわねーよ。
あぁ、客は選ぶさ。何が悪い。
お前らだって、仕事を選ぶだろーが!
大体な。そこのお前!」
そう言うとカサドは1人を指差した。
「お前の背中には弓があるが、お前に向いているのは短剣だ。
その隣の奴は斧を振り回すほど筋肉が定まってねーし。
そっちのお前は魔法使いなんだろうーが、杖がお前さんを認めてねー。
んで、リーダーのお前な。
お前は腰に立派な長剣をぶら下げているが、本来は・・・。
まぁ、俺がここまで教えてやる義理わねーわ。
俺が仕事を受けない理由を知ったら、さっさと帰んな。
こんなシミッたれた街よりもお前さん達に合う街があるんだろうよ。」
そう告げたカサドにギャラリーが頷いた。
顔を真っ赤にした男達はブルブルと震えるとキッとイオリを睨むと一斉に飛びかかってきた。
イオリはヒョイっと避けると首を傾げた。
「何がしたいんですか?」
とぼけた様に言うイオリに我慢の限界が来たのか、武器を取り出し襲いかかった。
その剣先をイオリが足で捌いていくとギャラリーが盛り上がりを見せた。
「おいおいおい!工房前で迷惑だ。
治安維持隊はまだ来ねーのか?」
そんな時だった。ヒューゴの隣に立った男性がニコニコとイオリと男達の様子を見ていた。
「・・・ニコライ様?止めますか?」
ヒューゴの戸惑いの声にニコライは首を横に振った。
「まぁ、酷い事にはならないだろうから良いよ。
ほら、治安維持隊と冒険者ギルドがやってきた。
イオリも気付いたみたいだし。平気じゃない?」
ニコライの首にはカーバンクルが目をつむり、時々争いを見てはつまらなそうに欠伸をした。
「お前達!!こんな街中で何をしている!!」
治安維持隊の怒号が響き、ストリートファイトは終焉を迎えたのであった。
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