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帰還  〜ポーレット〜

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 一先ず帰還の挨拶とヒューゴとアーベルの再会を果たし、イオリ達は近々公爵邸で会う事を約束してグラトニー商会を後にした。

 部屋を出る時、ヒューゴに抱かれたニナがバートに「バイバイ。」と言った事で泣き出した若き商人に一同が呆れたのは忘れずにしておくとしよう。

『イオリ・・・。大丈夫?』

「うーん。面倒な事を逃げてきた結果かね・・・。
 それでも、あまり前面に出るのもな。」

「それで良いんじゃないか?
 前に出なければいけない時は来るだろうが、それまではお前は冒険者だ。
 政治や商売は、その方面の人に任せれば良い。

 イオリを見ていて思ったんだ。1人でなんでもやろうとしてはいけなかったと。
 人は人と関わるから社会が生まれるんだ。
 お前は俺と違う。助言をくれる人もいれば、聞き入れる心を持っている。」

 イオリはヒューゴの言葉に安心した様に頷いた。



 次に向かった先の冒険者ギルドでは久々に鎧の騎士ことガンツのパーティーに遭遇した。
 仕事が終わりポーレットへは3日ぶりだと言う。

「にしても久しぶりな気がするな。
 イオリが帰ってきたって聞いていたけど、パーティー増えたのか?」

「はい。ヒューゴさんです。
 また、仕事でご一緒出来れば良いですね。」

「イヤ、お前と一緒の仕事なんてロクな事にならない気がする・・・。」

 そう言うガンツの後ろで仲間達がゲラゲラと笑っていた。

「ガンツさんはポーレットのAランク冒険者で、皆さんに信頼されてるんですよ。」

 イオリはヒューゴに紹介すると2人は握手を交わした。

「ヒューゴです。俺達もAランクに昇格したばかりです。どうぞ宜しく。」

「おお。それは心強いな!・・・俺たち?」

 ヒューゴの挨拶に首を傾げるガンツ達に双子は腰バックからカードを出し見せた。

「おい!いつの間に!まぁ、双子ならいつかとは思ってたけどな。早くねーか?
 追いつかれたぞ!」

 笑うガンツ達に双子はニコニコとしてナギに肘を小突いた。
 ナギはモジモジと自分のカードを見せるとガンツ達はこれまた、驚いた。

「おい!ちびっ子まで、昇格してんじゃねーか!
 Cランク?立派なもんじゃねーか!」

 ハニカむナギにカードを返すとガンツはこそっとイオリに耳打ちした。

「こないだ面倒臭いのに捕まったって?
 あいつら、まだ街にいるらしい。何があるか分からねーから用心しろよ?」

 イオリはガンツに目礼すると別れを告げて受付に向かった。

「ラーラさん。こんにちわ。
 狩ってきた魔獣を買い取ってもらいたいんですけど、良いですか?
 それと、ギルマスとお会いできますか?」

「こんにちわ。イオリさん。皆さん。
 えぇ、できますよ。直接、解体場へどうぞ。
 ギルマスにも伝えておきます。」

 礼を言うとイオリ達は解体場に行き、作業をしていたベルハルトに声をかけた。

「ベルさん。お久しぶりです。魔獣の買取と解体をお願いします。」

 汗を拭いながら近寄ってきたベルハルトはイオリだと気付くと笑顔で迎えた。

「お帰りー。お久しぶりですねぇ。魔獣の買取と解体、了解しましたぁ。
 ここに出してくださーい。」

 ベルが指差す場所にイオリを初めに、魔獣を狩りまくった双子とヒューゴ、そして植物などの採取をしてきたナギは続々と並べて行く。

「あぁー。忘れてたぁ。イオリ君の規格外さを・・・。
 これ、今すぐは査定額出ませんよぉ。」

「はい。大丈夫です。お任せします。」

 ベルハルトは他の職員に指示を出しながら、イオリ達に手を振った。

「了解でーす。それじゃーねぇ。」

 その後は子供達が競う様に階段を登るとギルマスの部屋をノックした。
 中からはエルノールが出てきて、子供達だと分かると笑顔で部屋に入れてくれた。

「こんにちわ。報告っていうのをしに来ました。」

 イオリもヒョコっと顔を出すと、ギルマスは苦笑し手招きをしてきた。

「アンティティラでもダグスクでも、良い仕事をしてくれたらしいな。
 珍しく、ヨルマの奴が褒めてたぞ。
 
 ヒューゴだったか?お前さんの話も聞いてる。ヒュドラをやったって?
 イオリが認めたんなら、大丈夫だと思うがお前も大変な奴に気に入られたな。」

 そんなギルマスに頬を膨らませて抗議するイオリとギルマスの苦労が想像できるヒューゴはなんとも言えない笑顔をした。



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