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帰還
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翌朝、早くに身支度を終えるとイオリ達は泉を後にした。
振り返るとキラキラしていた泉が消えて草むらには既に岩の壁が現れていた。
「本当に不思議だな・・・。」
「ですよね・・・。
さぁ、ここからは危険ですからね。さっさと行きましょう。」
一同はゼンとアウラに跨ると颯爽と出発をした。
「ゼンちゃんの背中に乗ってると風になったみたい。」
今日はパティとニナがゼンに乗っている。イオリはパティの頭を撫でると微笑んだ。
来た時とは違い、森を出る事だけを意識しているゼンとアウラのスピードは倍の速さだった。
しかし、2匹を信頼しているイオリ達は怖がる事などなく身を預けた。
陽が完全に上がる頃には森の3分の1ほどまでやって来た。
朝食という名の休憩を入れつつ進んでいくと昼をとっくに過ぎた頃には他の冒険者達の気配を感じとる事が出来るほど出口まで近づいた。
「やっぱり、最初の時よりもゼンの体も大きくなっているしスピードも速くなってる。
これは今日中にポーレットに着いちゃうんじゃない?」
他の冒険者がいるのならと体を小さくさせたゼンとアウラには子供達だけを乗せて、イオリとヒューゴは並走する事に切り替えた。
『もう少しで森は抜けるから、夕方くらいにはポーレットだね。』
ゼンの感覚を信じ歩みを止めず進むと先の方が明るくなった出口が見えた。
「出ますよ!!」
イオリの声に手を挙げて答えるヒューゴは笑顔だった。
「「「『ゴーーーーール!!!』」」」
双子とナギ、ゼンが声を上げながら森を向けた。
「「ハァハァハァハァ・・・・。」」
流石にイオリとヒューゴの息は荒いが、笑いながら野原に身を広げた。
「凄いな!1日で泉から此処まで来れた!
ヴァルトさんに言ったら絶対に大騒ぎだな。」
「アハハハ」と笑うイオリに釣られるようにヒューゴは笑った。
森を抜けた事で気を緩めていたイオリ達だったがゼンとアウラとソルの威嚇の声に反応して身を起こした。
複数の馬が土煙を上げながらやってくる。どうやら乗った男達が声を荒げている。
「あーーー。見た事のある光景だな・・・。」
面倒臭そうに立ち上がるイオリにヒューゴは首を傾げた。
「魔の森で疲弊した冒険者を狙った盗賊らしいですよ。
前回も遭遇してゼンと双子が捕まえたんですけど・・・残党かな?」
体力の有り余っている双子はワクワクしたようにイオリの顔を見ている。
「大丈夫なのか?」
「実に面倒です。本当に面倒臭い・・・。」
そう言うとイオリはゼンに合図した。
バァウ!!!
ゼンの雄叫びに盗賊達が乗っている馬達が気絶し、男達が投げ出されていった。
そこを、ニコニコした双子が滅多打ちにしていく。
「ぐあぁ!」
「ぎゃぁ!!」
「いてぇぇ!」
悲鳴をあげて気を失う男達をイオリ達は縛り上げていった。
人騒動終わり、アウラとゼンによって起こされた馬達の背に乗せているところだった。
別の蹄の音が聞こえてきた。
ヒューゴや子供達が警戒をしているとイオリが馬に乗った男を確認し笑いかけ手を振った。
「やっぱりそうか!おかえりイオリ君!!」
「ただいまです。ポルトスさん!!」
一番前を走ってきたのはポーレットで治安維持隊の務めをしているポルトスだった。
ポルトスは嬉しそうに馬から降りるとイオリに元へやって来た。
「前回と全く同じ状況じゃないか?
ハハハ。
全く、君は!無事の帰還で嬉しいよ。」
ポルトスの変わらない笑顔にイオリも微笑んだ。
振り返るとキラキラしていた泉が消えて草むらには既に岩の壁が現れていた。
「本当に不思議だな・・・。」
「ですよね・・・。
さぁ、ここからは危険ですからね。さっさと行きましょう。」
一同はゼンとアウラに跨ると颯爽と出発をした。
「ゼンちゃんの背中に乗ってると風になったみたい。」
今日はパティとニナがゼンに乗っている。イオリはパティの頭を撫でると微笑んだ。
来た時とは違い、森を出る事だけを意識しているゼンとアウラのスピードは倍の速さだった。
しかし、2匹を信頼しているイオリ達は怖がる事などなく身を預けた。
陽が完全に上がる頃には森の3分の1ほどまでやって来た。
朝食という名の休憩を入れつつ進んでいくと昼をとっくに過ぎた頃には他の冒険者達の気配を感じとる事が出来るほど出口まで近づいた。
「やっぱり、最初の時よりもゼンの体も大きくなっているしスピードも速くなってる。
これは今日中にポーレットに着いちゃうんじゃない?」
他の冒険者がいるのならと体を小さくさせたゼンとアウラには子供達だけを乗せて、イオリとヒューゴは並走する事に切り替えた。
『もう少しで森は抜けるから、夕方くらいにはポーレットだね。』
ゼンの感覚を信じ歩みを止めず進むと先の方が明るくなった出口が見えた。
「出ますよ!!」
イオリの声に手を挙げて答えるヒューゴは笑顔だった。
「「「『ゴーーーーール!!!』」」」
双子とナギ、ゼンが声を上げながら森を向けた。
「「ハァハァハァハァ・・・・。」」
流石にイオリとヒューゴの息は荒いが、笑いながら野原に身を広げた。
「凄いな!1日で泉から此処まで来れた!
ヴァルトさんに言ったら絶対に大騒ぎだな。」
「アハハハ」と笑うイオリに釣られるようにヒューゴは笑った。
森を抜けた事で気を緩めていたイオリ達だったがゼンとアウラとソルの威嚇の声に反応して身を起こした。
複数の馬が土煙を上げながらやってくる。どうやら乗った男達が声を荒げている。
「あーーー。見た事のある光景だな・・・。」
面倒臭そうに立ち上がるイオリにヒューゴは首を傾げた。
「魔の森で疲弊した冒険者を狙った盗賊らしいですよ。
前回も遭遇してゼンと双子が捕まえたんですけど・・・残党かな?」
体力の有り余っている双子はワクワクしたようにイオリの顔を見ている。
「大丈夫なのか?」
「実に面倒です。本当に面倒臭い・・・。」
そう言うとイオリはゼンに合図した。
バァウ!!!
ゼンの雄叫びに盗賊達が乗っている馬達が気絶し、男達が投げ出されていった。
そこを、ニコニコした双子が滅多打ちにしていく。
「ぐあぁ!」
「ぎゃぁ!!」
「いてぇぇ!」
悲鳴をあげて気を失う男達をイオリ達は縛り上げていった。
人騒動終わり、アウラとゼンによって起こされた馬達の背に乗せているところだった。
別の蹄の音が聞こえてきた。
ヒューゴや子供達が警戒をしているとイオリが馬に乗った男を確認し笑いかけ手を振った。
「やっぱりそうか!おかえりイオリ君!!」
「ただいまです。ポルトスさん!!」
一番前を走ってきたのはポーレットで治安維持隊の務めをしているポルトスだった。
ポルトスは嬉しそうに馬から降りるとイオリに元へやって来た。
「前回と全く同じ状況じゃないか?
ハハハ。
全く、君は!無事の帰還で嬉しいよ。」
ポルトスの変わらない笑顔にイオリも微笑んだ。
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