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初めての旅 〜ダグスク〜
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街あげての騒動の後、3人のかつてのパーティーメンバーが話し合っていた。
見たものを報告するブルックを前にソファーに座るのは、腕を組み難しい顔をしているレイナードと呆れたように脱力しているソフィアンヌだった。
「それじゃ、本当にイオリ1人でクラーケンを倒してしまったと言うのね?」
「あぁ、俺だけじゃない。
あの場にいた連中は全員見ていた。
神業かと思ったよ・・・。
アイツが良い奴で良かったよ。
じゃなければ、化け物と思ってたろうよ。」
「そう・・・。
Sランクは伊達じゃないわね。」
「それは違う。
俺が今まで出会ってきたSランクの中でも別格だよ。
それに、一緒にいるヒューゴ。
アイツだって大したもんだ。
数人のスキル持ちに力を貸してもらったとはいえ、港を分厚いシールドで囲っちまった。
クラーケンを倒したと言っても、倒れた衝撃で津波並みの強い波が出来たんだ。
放っておいたら、少なくとも下町は被害が出ていたはずだぜ。
ビルデが助けられたとすれば、アイツらは俺の恩人でもある。」
ブルックの言葉にソフィアンヌは頷くと夫であるレイナードを見上げた。
黙って聞いていたレイナードは2人に話し始めた。
「双子を襲った男達は俺たちが預かる。
恐らく、イオリ殿達が言っていた通りだろう。
朝一番で執事のカールから、イオリ殿達が監視されてるようだと報告があった。
貴族の仕業としたら、主人の仕事になる。
この街でポーレット公爵家専属冒険者を傷つければどうなるか・・・。
頭が痛い話だ。」
諫めるようにレイナードの腕を摩るとソフィアンヌは眉間にシワを寄せた。
「冒険者達が貴族の仕事をボイコットし始めているから、街のゴロツキを雇ったのね。
私達に改めて喧嘩を売って来たようね。
Aランク冒険者の誘拐?やってくれるわ。
それで?こんな危機的状況下で気の抜けた挨拶をしてくれた坊や達はどうしたの?」
今回の功労者達にもギルドから話を聞かなければいけないし、報酬だって払わなければいけない。
「ククク。腹が減ったとビルデの店に行ってる。
食べ終わったら顔を出すそうだ。」
「ハァー。本当に変わった子ね。
まぁ、良いわ。
とりあえず、ここからは大人の仕事って事でしょう?」
3人は顔を合わすと自分達の仕事に戻っていった。
「「美味しい!!」」
双子の声が“珊瑚の小箱”に響き渡った。
「フフフ。ありがとう。
沢山食べてね。」
店主のビルデはとても小柄な女性だった。
1人で切り盛りをしている小さな店は居心地が良かった。
「主人に聞いたわ。クラーケンを倒してくれたって。
今日は主人の奢りよ。好きなだけ食べて行ってね。」
「そんな!悪いですよ!
お金はギルドから貰うから良いんですよ。」
ビルデは微笑むと首を横に振った。
「男が言った事だもの取り消せないわ。
主人を男のままにしてやって?
あの髭面が女の子になったら目も当てられないわ。」
想像して子供達はゲラゲラと笑った。
「アハハ。それじゃ、お言葉に甘えます。
ありがとうございます。」
イオリが食べているのはフワフワの卵の下に沢山の海鮮具材が入っている料理だった。
小麦粉を練った物を小さく摘んだ、お米の様なパスタの様な物に混ぜられている。
一見オムライスの様だった。
「暖かいスープもあるわ。
貝のスープよ。」
半透明のスープは磯の香りと塩味がマッチしていて美味しかった。
お腹一杯になったイオリ達はビルデにお礼を言った。
「とても美味しかったです。ごちそうさまでした。」
「「「「ごちそうさまでした。」」」」
「フフフ。良かったわ。
これからギルドへ行くのよね?頼まれてくれる?
どうせ食べてないのよ。あの人達。」
そう言うと箱を渡された。中には小麦粉に野菜や海鮮を混ぜ焼いた、お好み焼きの様な物が大量に入っていた。
「足りるか分からないけど、受付の子とかにもあげてね。
ソフィにもちゃんと食べさせてね。
あの子、忙しいと食べなくなっちゃうから。」
イオリは微笑むと頷いた。
「朝食代がわりに依頼受けました。
それじゃ!」
「「バイバイ。」」
手を振る子供達を見送るビルデはいつまでも微笑んでいた。
見たものを報告するブルックを前にソファーに座るのは、腕を組み難しい顔をしているレイナードと呆れたように脱力しているソフィアンヌだった。
「それじゃ、本当にイオリ1人でクラーケンを倒してしまったと言うのね?」
「あぁ、俺だけじゃない。
あの場にいた連中は全員見ていた。
神業かと思ったよ・・・。
アイツが良い奴で良かったよ。
じゃなければ、化け物と思ってたろうよ。」
「そう・・・。
Sランクは伊達じゃないわね。」
「それは違う。
俺が今まで出会ってきたSランクの中でも別格だよ。
それに、一緒にいるヒューゴ。
アイツだって大したもんだ。
数人のスキル持ちに力を貸してもらったとはいえ、港を分厚いシールドで囲っちまった。
クラーケンを倒したと言っても、倒れた衝撃で津波並みの強い波が出来たんだ。
放っておいたら、少なくとも下町は被害が出ていたはずだぜ。
ビルデが助けられたとすれば、アイツらは俺の恩人でもある。」
ブルックの言葉にソフィアンヌは頷くと夫であるレイナードを見上げた。
黙って聞いていたレイナードは2人に話し始めた。
「双子を襲った男達は俺たちが預かる。
恐らく、イオリ殿達が言っていた通りだろう。
朝一番で執事のカールから、イオリ殿達が監視されてるようだと報告があった。
貴族の仕業としたら、主人の仕事になる。
この街でポーレット公爵家専属冒険者を傷つければどうなるか・・・。
頭が痛い話だ。」
諫めるようにレイナードの腕を摩るとソフィアンヌは眉間にシワを寄せた。
「冒険者達が貴族の仕事をボイコットし始めているから、街のゴロツキを雇ったのね。
私達に改めて喧嘩を売って来たようね。
Aランク冒険者の誘拐?やってくれるわ。
それで?こんな危機的状況下で気の抜けた挨拶をしてくれた坊や達はどうしたの?」
今回の功労者達にもギルドから話を聞かなければいけないし、報酬だって払わなければいけない。
「ククク。腹が減ったとビルデの店に行ってる。
食べ終わったら顔を出すそうだ。」
「ハァー。本当に変わった子ね。
まぁ、良いわ。
とりあえず、ここからは大人の仕事って事でしょう?」
3人は顔を合わすと自分達の仕事に戻っていった。
「「美味しい!!」」
双子の声が“珊瑚の小箱”に響き渡った。
「フフフ。ありがとう。
沢山食べてね。」
店主のビルデはとても小柄な女性だった。
1人で切り盛りをしている小さな店は居心地が良かった。
「主人に聞いたわ。クラーケンを倒してくれたって。
今日は主人の奢りよ。好きなだけ食べて行ってね。」
「そんな!悪いですよ!
お金はギルドから貰うから良いんですよ。」
ビルデは微笑むと首を横に振った。
「男が言った事だもの取り消せないわ。
主人を男のままにしてやって?
あの髭面が女の子になったら目も当てられないわ。」
想像して子供達はゲラゲラと笑った。
「アハハ。それじゃ、お言葉に甘えます。
ありがとうございます。」
イオリが食べているのはフワフワの卵の下に沢山の海鮮具材が入っている料理だった。
小麦粉を練った物を小さく摘んだ、お米の様なパスタの様な物に混ぜられている。
一見オムライスの様だった。
「暖かいスープもあるわ。
貝のスープよ。」
半透明のスープは磯の香りと塩味がマッチしていて美味しかった。
お腹一杯になったイオリ達はビルデにお礼を言った。
「とても美味しかったです。ごちそうさまでした。」
「「「「ごちそうさまでした。」」」」
「フフフ。良かったわ。
これからギルドへ行くのよね?頼まれてくれる?
どうせ食べてないのよ。あの人達。」
そう言うと箱を渡された。中には小麦粉に野菜や海鮮を混ぜ焼いた、お好み焼きの様な物が大量に入っていた。
「足りるか分からないけど、受付の子とかにもあげてね。
ソフィにもちゃんと食べさせてね。
あの子、忙しいと食べなくなっちゃうから。」
イオリは微笑むと頷いた。
「朝食代がわりに依頼受けました。
それじゃ!」
「「バイバイ。」」
手を振る子供達を見送るビルデはいつまでも微笑んでいた。
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