161 / 472
初めての旅 〜ダグスク〜
233
しおりを挟む
「さぁ、次はグラトニー商会に行こう!」
冒険者ギルドを出たイオリ達は港を歩きながらグラトニー商会を目指した。
やはり、朝市の影響だったのか先程よりは人の流れも落ち着いている。
お馴染みのグラトニー商会の看板を見つけるとイオリは扉を開いた。
「いらっしゃいませ・・・。
おや?ヒューゴじゃないか!!」
商会に入ってすぐに現れた男性がヒューゴに驚いて声を出した。
「フリオさん?フリオさん!!
どうして此処に?王都ではないんですか?」
2人はガッチリと握手をして再会を喜んだ。
「お前・・・聞いたぞ!自分の身を・・・。
全く!大旦那と旦那がどれだけ心配なさってた事か!馬鹿野郎!!」
泣くのか怒るのか忙しいフリオと呼ばれた男はヒューゴの胸をドンドン!と叩いた。
「すみません。
俺はするべき事をしていると思い込んでいたんです。
皆さんに心配をかけてる・・・そんな考えに余裕がなかった。
申し訳ないです。
でも、アーベルの大旦那さんが最高の主人に出会わせてくれました。
主人のイオリです。
支部長にお目通りしたいんですけど・・・。」
フリオはイオリに頭を下げると涙を拭きながら顔をあげた。
「ありがとうございます。イオリ様。
私はフリオ。今はカイ様の元におりますが、元々は王都の本店に所属していた旅団の一員でした。
大旦那様のお仕事で遠出する時にヒューゴとよく一緒に旅をした仲なのです。
ヒューゴのその後を大変心配しておりました。
やっと買い取られたと聞いていましたが、会えると思っていませんでした。
初めてのご挨拶に失礼を・・・。」
イオリは首を横に振るとフリオに頭を上げるように言った。
「ヒューゴさんは、どれだけ人に心配を掛けていたか知るべきなんです。
フリオさん。初めましてイオリです。
アーベルさんにはポーレットでお世話になっていました。
カイさんにお会いしたいんですが、お取り次ぎ願えますか?」
「そうでございました!
失礼いたしました。ただいま、確認してまいります!!」
走って階段を上がっていくフリオを見送るとヒューゴは恥ずかしそうに頬をかいた。
「フリオさんは年も近くて、旅の時によく話して気が合ったんだ。
兄のようだった。
あんなに心配してくれていたなんて・・・。
俺は幸せ者だな。」
そんなヒューゴに子供達が諫めるようにすり寄った。
「お待たせいたしました。お部屋へ案内します。」
フリオは慌てたように階段を降りてきた。
「フリオさん。妹のニナです。」
ヒューゴがニナを抱き上げてフリオに見せると、フリオは満面の笑みを浮かべた。
「そうか・・・君が・・・。
初めまして。」
ニナはフリオをしばらく観察すると両手を広げて抱っこしろとせがむ様に手を振った。
「えっ・・・。良いのかい?」
恐々ニナを抱いたフリオは顔を赤くしてニナを軽く揺すった。
ニッコリ笑うニナに心を撃ち抜かれたフリオは抱き上げたまま階段を登って行った。
イオリ達は後を追うように階段を登るとポーレットともアンティティラとも違うダグスクのグラトニー商会の港町ならではの派手な建物を楽しんだ。
冒険者ギルドを出たイオリ達は港を歩きながらグラトニー商会を目指した。
やはり、朝市の影響だったのか先程よりは人の流れも落ち着いている。
お馴染みのグラトニー商会の看板を見つけるとイオリは扉を開いた。
「いらっしゃいませ・・・。
おや?ヒューゴじゃないか!!」
商会に入ってすぐに現れた男性がヒューゴに驚いて声を出した。
「フリオさん?フリオさん!!
どうして此処に?王都ではないんですか?」
2人はガッチリと握手をして再会を喜んだ。
「お前・・・聞いたぞ!自分の身を・・・。
全く!大旦那と旦那がどれだけ心配なさってた事か!馬鹿野郎!!」
泣くのか怒るのか忙しいフリオと呼ばれた男はヒューゴの胸をドンドン!と叩いた。
「すみません。
俺はするべき事をしていると思い込んでいたんです。
皆さんに心配をかけてる・・・そんな考えに余裕がなかった。
申し訳ないです。
でも、アーベルの大旦那さんが最高の主人に出会わせてくれました。
主人のイオリです。
支部長にお目通りしたいんですけど・・・。」
フリオはイオリに頭を下げると涙を拭きながら顔をあげた。
「ありがとうございます。イオリ様。
私はフリオ。今はカイ様の元におりますが、元々は王都の本店に所属していた旅団の一員でした。
大旦那様のお仕事で遠出する時にヒューゴとよく一緒に旅をした仲なのです。
ヒューゴのその後を大変心配しておりました。
やっと買い取られたと聞いていましたが、会えると思っていませんでした。
初めてのご挨拶に失礼を・・・。」
イオリは首を横に振るとフリオに頭を上げるように言った。
「ヒューゴさんは、どれだけ人に心配を掛けていたか知るべきなんです。
フリオさん。初めましてイオリです。
アーベルさんにはポーレットでお世話になっていました。
カイさんにお会いしたいんですが、お取り次ぎ願えますか?」
「そうでございました!
失礼いたしました。ただいま、確認してまいります!!」
走って階段を上がっていくフリオを見送るとヒューゴは恥ずかしそうに頬をかいた。
「フリオさんは年も近くて、旅の時によく話して気が合ったんだ。
兄のようだった。
あんなに心配してくれていたなんて・・・。
俺は幸せ者だな。」
そんなヒューゴに子供達が諫めるようにすり寄った。
「お待たせいたしました。お部屋へ案内します。」
フリオは慌てたように階段を降りてきた。
「フリオさん。妹のニナです。」
ヒューゴがニナを抱き上げてフリオに見せると、フリオは満面の笑みを浮かべた。
「そうか・・・君が・・・。
初めまして。」
ニナはフリオをしばらく観察すると両手を広げて抱っこしろとせがむ様に手を振った。
「えっ・・・。良いのかい?」
恐々ニナを抱いたフリオは顔を赤くしてニナを軽く揺すった。
ニッコリ笑うニナに心を撃ち抜かれたフリオは抱き上げたまま階段を登って行った。
イオリ達は後を追うように階段を登るとポーレットともアンティティラとも違うダグスクのグラトニー商会の港町ならではの派手な建物を楽しんだ。
1,246
お気に入りに追加
18,186
あなたにおすすめの小説
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。