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初めての旅 〜ダグスク〜
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朝ごはんも食べ、片付けを終えるとイオリ達はいよいよダグスクの街へ繰り出した。
別宅を出て道沿いに行けば海まで着くとの事だったので、軽い散歩だと徒歩で行くことにした。
快晴の空は同じ空だというのに何故か山で見た色とは違う気がする。
ささやかな違いを楽しみつつイオリ達は道を進んだ。
大通りに出ると朝市とやらが終わった時間なのか人の出入りもあり賑わっていた。
荷車や人の行き来の邪魔にならないようにイオリ達は避けながら歩いた。
「朝の時間はポーレットより人が多いな・・・。
みんな逸れないようにね。」
ゼンの背に双子を乗せ。ナギとニナをアウラに乗せた。
イオリとヒューゴで挟むように歩いた。
ソルはイオリの肩にとまり、首を動かし色んなものを見ていた。
「イオリ。アレだ。」
ヒューゴが指さす建物には冒険者ギルドのマークが掲げられた看板があった。
木の扉を開くと、中は冒険者達で賑わっていた。
ダグスクの冒険者ギルドは一回の正面に受付があり、左に依頼ボードがある。
右側は酒場になっていた。
今までのギルドと違うのは、裏にも出入り口があるのか、冒険者が出入りしている。
イオリ達は受付に並ぶと新顔に興味深々の冒険者達が視線を向けて来た。
順番になると受付の男性が笑顔で迎えた。
「おはようございます。
ダグスクへは初めてですか?
ギルドカードはお持ちですか?」
「はい。みんな出してー。」
イオリ達がカードを出すと男性はそれぞれを確認していった。
イオリのプラチナカードを手にするとビクっ!と止まったが笑顔を崩す事なくカードを返してくれた。
「確認しました。
次回は2階の受付をお使い下さい。
上位ランク依頼の受付は2階にございます。
パーティーランクもAランクとあるので問題ないです。
こちらで、何か御用はありますか?承ります。」
そんな男性にイオリはギルマスへの取り継ぎを頼んだ。
「昨日、訪問すると約束したんです。
イオリが来たと言えば分かると思います。」
「承りました。少々お待ちください。」
足早に席を離れ、戻り次第、受付を別の人に任せイオリ達を案内した。
「お待たせしました。ギルマスのお部屋へ案内します。」
男性についていくと3階まで階段で上った。
3階には何個か扉があって男性はその中の赤い扉をノックした。
「お連れしました!」
扉が開くと中にソフィアンヌと男性が待っていた。
「おはよう。早速、来てくれて良かったわ。
この人はサブマスのブルック。
私がいない時は頼りにすると良いわ。
さぁ、入ってお座りなさい。」
受付の男性に礼を言い。ブルックに会釈をした。
「イオリです。よろしくお願いします。」
いつもの通り家族を紹介すると、ブルックは豪快に笑った。
「ワハハ!
本当に新しいSランクがこんな若造とはな!?
時々いるんだ。桁違いの奴が。」
ハァーとソフィアンヌは溜息をつくとブルックの頭を殴りとソファーに座った。
「ごめんなさい。御行儀がなってないの。
強い者をみれば今でもウズくって。
何歳になっても、子供でしょう?」
「うるせー!!ババアの説教は面倒なんだよ。」
「あぁん!?」
怖い顔で睨み合う2人を放ってイオリはソファーに座り子供達にも座らせた。
ヒューゴだけはイオリの背後に立ち耳打ちした。
「本当にお前はこういう時、気にしないな・・・。
普通だったらビビってるぞ?」
「そうですか?仲良さそうで良いじゃないですか?」
イオリの言葉が耳に入ったのかギルマス・サブマスコンビは目くじらを立てて叫んだ。
「「仲良くねーよ(わよ)!!」」
「ほらー!」
ゲラゲラとイオリが笑うと子供達もキャッキャと笑った。
「本当に馬鹿らしくなるわ・・・。
イオリ、エルネの捕獲依頼は私の権限で完了と見なすわ。
後で、受付に行きなさいな。
2階の受付よ。Aランク以上はそっちを使うようになってるの。」
「ランクによって、階が分かれてるのは初めてです。
意味があるんですか?」
「あぁ、ここは港町でしょう?
上位ランクは此処を他国の依頼の出発地点としてるから集まりやすいのよ。」
「なるほど・・・。
じゃあ、高ランクが集まる凄い街ですね。」
「そうもいかないの。
高ランク冒険者ってのはプライドの塊が服を着てる連中ですからね。
揉め事もしょっちゅう。
アンタのような穏やかなのが珍しいのよ。」
ソフィアンヌは苦笑すると話を続けた。
「アンタの依頼は完了だけどね。
エルネが変な事を言ってたから一応伝えとくわね。
イオリって名前を使ったのはフードをかぶった奴に指示されたんだって。
ミケルセン伯爵のコインもその人物からもらっているし、アンティティラでの事件もその人物から依頼されたらしいわ。
もっとも、その人物も裏に別の人物がいるみたいだけどね。
イオリがSランク冒険者だったのは知らなかったらしいわ。」
「・・・・ふーん。
その人が誰だかはわからないけど、裏にいるのはミズカルドのメンドー侯爵ですかね。」
「イオリ・・・メンドーじゃない。
メドゥイ侯爵だ。」
ヒューゴが言い直すとイオリは「それそれ」とニコニコした。
ソフィアンヌは呆れたように笑った。
「アナタは・・・。
メドゥイ侯爵・・・そうだろうと私たちも睨んでるの。
でも、大きな証拠があるわけではないしわ。
何にしても、イオリの名前を使いイオリの存在を利用しようとした人間がいる事は間違いないわ。
注意しなさいな。」
「ありがとうございます。
そうしましょう。俺はまだしも子供達に危害を加えられるのは本望じゃありませんから・・・。」
ニコニコしていたイオリの目が光った事にソフィアンヌは気づき、相手が誰であろうと起こった狼を刺激している事に気づいた。
別宅を出て道沿いに行けば海まで着くとの事だったので、軽い散歩だと徒歩で行くことにした。
快晴の空は同じ空だというのに何故か山で見た色とは違う気がする。
ささやかな違いを楽しみつつイオリ達は道を進んだ。
大通りに出ると朝市とやらが終わった時間なのか人の出入りもあり賑わっていた。
荷車や人の行き来の邪魔にならないようにイオリ達は避けながら歩いた。
「朝の時間はポーレットより人が多いな・・・。
みんな逸れないようにね。」
ゼンの背に双子を乗せ。ナギとニナをアウラに乗せた。
イオリとヒューゴで挟むように歩いた。
ソルはイオリの肩にとまり、首を動かし色んなものを見ていた。
「イオリ。アレだ。」
ヒューゴが指さす建物には冒険者ギルドのマークが掲げられた看板があった。
木の扉を開くと、中は冒険者達で賑わっていた。
ダグスクの冒険者ギルドは一回の正面に受付があり、左に依頼ボードがある。
右側は酒場になっていた。
今までのギルドと違うのは、裏にも出入り口があるのか、冒険者が出入りしている。
イオリ達は受付に並ぶと新顔に興味深々の冒険者達が視線を向けて来た。
順番になると受付の男性が笑顔で迎えた。
「おはようございます。
ダグスクへは初めてですか?
ギルドカードはお持ちですか?」
「はい。みんな出してー。」
イオリ達がカードを出すと男性はそれぞれを確認していった。
イオリのプラチナカードを手にするとビクっ!と止まったが笑顔を崩す事なくカードを返してくれた。
「確認しました。
次回は2階の受付をお使い下さい。
上位ランク依頼の受付は2階にございます。
パーティーランクもAランクとあるので問題ないです。
こちらで、何か御用はありますか?承ります。」
そんな男性にイオリはギルマスへの取り継ぎを頼んだ。
「昨日、訪問すると約束したんです。
イオリが来たと言えば分かると思います。」
「承りました。少々お待ちください。」
足早に席を離れ、戻り次第、受付を別の人に任せイオリ達を案内した。
「お待たせしました。ギルマスのお部屋へ案内します。」
男性についていくと3階まで階段で上った。
3階には何個か扉があって男性はその中の赤い扉をノックした。
「お連れしました!」
扉が開くと中にソフィアンヌと男性が待っていた。
「おはよう。早速、来てくれて良かったわ。
この人はサブマスのブルック。
私がいない時は頼りにすると良いわ。
さぁ、入ってお座りなさい。」
受付の男性に礼を言い。ブルックに会釈をした。
「イオリです。よろしくお願いします。」
いつもの通り家族を紹介すると、ブルックは豪快に笑った。
「ワハハ!
本当に新しいSランクがこんな若造とはな!?
時々いるんだ。桁違いの奴が。」
ハァーとソフィアンヌは溜息をつくとブルックの頭を殴りとソファーに座った。
「ごめんなさい。御行儀がなってないの。
強い者をみれば今でもウズくって。
何歳になっても、子供でしょう?」
「うるせー!!ババアの説教は面倒なんだよ。」
「あぁん!?」
怖い顔で睨み合う2人を放ってイオリはソファーに座り子供達にも座らせた。
ヒューゴだけはイオリの背後に立ち耳打ちした。
「本当にお前はこういう時、気にしないな・・・。
普通だったらビビってるぞ?」
「そうですか?仲良さそうで良いじゃないですか?」
イオリの言葉が耳に入ったのかギルマス・サブマスコンビは目くじらを立てて叫んだ。
「「仲良くねーよ(わよ)!!」」
「ほらー!」
ゲラゲラとイオリが笑うと子供達もキャッキャと笑った。
「本当に馬鹿らしくなるわ・・・。
イオリ、エルネの捕獲依頼は私の権限で完了と見なすわ。
後で、受付に行きなさいな。
2階の受付よ。Aランク以上はそっちを使うようになってるの。」
「ランクによって、階が分かれてるのは初めてです。
意味があるんですか?」
「あぁ、ここは港町でしょう?
上位ランクは此処を他国の依頼の出発地点としてるから集まりやすいのよ。」
「なるほど・・・。
じゃあ、高ランクが集まる凄い街ですね。」
「そうもいかないの。
高ランク冒険者ってのはプライドの塊が服を着てる連中ですからね。
揉め事もしょっちゅう。
アンタのような穏やかなのが珍しいのよ。」
ソフィアンヌは苦笑すると話を続けた。
「アンタの依頼は完了だけどね。
エルネが変な事を言ってたから一応伝えとくわね。
イオリって名前を使ったのはフードをかぶった奴に指示されたんだって。
ミケルセン伯爵のコインもその人物からもらっているし、アンティティラでの事件もその人物から依頼されたらしいわ。
もっとも、その人物も裏に別の人物がいるみたいだけどね。
イオリがSランク冒険者だったのは知らなかったらしいわ。」
「・・・・ふーん。
その人が誰だかはわからないけど、裏にいるのはミズカルドのメンドー侯爵ですかね。」
「イオリ・・・メンドーじゃない。
メドゥイ侯爵だ。」
ヒューゴが言い直すとイオリは「それそれ」とニコニコした。
ソフィアンヌは呆れたように笑った。
「アナタは・・・。
メドゥイ侯爵・・・そうだろうと私たちも睨んでるの。
でも、大きな証拠があるわけではないしわ。
何にしても、イオリの名前を使いイオリの存在を利用しようとした人間がいる事は間違いないわ。
注意しなさいな。」
「ありがとうございます。
そうしましょう。俺はまだしも子供達に危害を加えられるのは本望じゃありませんから・・・。」
ニコニコしていたイオリの目が光った事にソフィアンヌは気づき、相手が誰であろうと起こった狼を刺激している事に気づいた。
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