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初めての旅 〜ダグスク〜
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「ソフィア・・・すまないな。
Sランク冒険者に不名誉な事だ。」
「所詮、冒険者は荒くればかりイオリだって気にしてはいませんよ。
問題はこの後です。
イオリの名で悪事をする事こそ不名誉。
それを早く片付けましょう。
冒険者ギルドとしてはSランク冒険者に政治の面倒ごとを押し付けるのは本意じゃない。」
オーウェンはソフィアンヌの言葉に気圧されながらも頷いた。
「初めに言っておきます。
今回のイオリの旅は私的な旅でした。
当然、旅先では何かしらに合うでしょう。
それは、彼らも覚悟してきたはずです。
しかし、アンティティラで依頼を受けた時点で我々の介入は必須になります。」
ソフィアンヌは主導権を渡さないと矢継ぎ早に話す。
「それならば、イオリ殿の依頼を一度整理しよう。」
オーウェンはソフィアンヌではなくイオリに言った。
イオリは頷くとアンティティラでの山喰いの話と集落の話を聞かせた。
「集落を襲った犯人は拘束され、俺がアンティティラを出る時も尋問されていたようです。
問題は犯人ロッタの共犯・・・。
いや、ロッタを誘い込んだエルネという人がダグスクへ逃げたという事です。
アンティティラ伯爵から俺への依頼はエルネの拘束です。」
イオリが把握している事を話すとオーウェンとソフィアンヌは頷いた。
「私もアンティティラのギルドから同じように聞いています。
そして、ポーレットのギルドからはイオリに一任すると連絡を受けています。
するもしないも本人次第と。」
「私も、同じ様に言われている。
だた、ポーレット公爵側は心配していた様だがな。」
オーウェンの言葉にイオリは苦笑する。
「普通に心配して頂いてるのだと思いますが、恐らく今回が今までと違うからでしょうね。」
「違うとは?」
オーウェンはイオリの言葉に首を傾げた。
「ターゲットが人間だという事です。
俺は今まで魔獣しか狙ってきませんでしたから。」
「なるほど・・・。」
オーウェンは深く頷いた。
Sランクとはいえ若い、経験が薄いのがイオリの難点なのかもしれない。
しかし、それを踏まえてもSランクを得ているイオリは攻撃力を評価されているのだと気づいてしまった。
「それについては私達も協力します。
冒険者を支えるのもギルドの務めですからね。」
「お世話になります。
では、こちらの事情を教えてもらえますか?」
イオリに促されるままにオーウェンは話し始めた。
「ご覧の通り、私は若くして当主となり侯爵となりました。
理由は父が2年前に亡くなったからです。」
_________
オーウェンの父アンドレアス・ダグスク侯爵は大らかな優しい人だった。
歴史ある港街であるダグスクを護り続ける一族として、誇りを一人息子のオーウェンにも教え込んだ。
オーウェンの母が亡くなったのは彼が17歳の時、突然の死だった。
打ちひしがれた侯爵は愛情を一人息子に向け、なお一層彼に教養を身につけさせた。
そんな侯爵が体調を崩し早々とこの世をさったのが2年前。
成人を迎えているとはいえ24歳の若輩侯爵への期待は大きく、とてつもなく重かった。
それを支えてくれているのが、騎士団長のレイナードや執事のカールなどの家の者と冒険者ギルドのギルマス・ソフィアンヌを始めとした街の人達だった。
ダグスク侯爵家を愛してやまない街の住人達は必死に働く若輩侯爵を暖かく見守った。
そんな若輩者に群れる野獣共がいる。
貴族達だ。
彼らは我先にと自分の娘を送り込んだり、商売で侯爵家より優位に立とうとした。
甘い汁や鋭い剣を向け若輩侯爵の心は疲弊してきた。
それでも耐え2年かけて落ち着きを取り戻そうとしてきたというのに今回の話である。
_________
「なるほど・・・。
オーウェンさん。疲れてるんですねー。」
「おい。そーじゃないだろ。」
イオリの反応に思わずヒューゴは突っ込んでしまった。
「えっ?そういう事でしょ?
休んだ方がいいですよ。
って事でちゃっちゃと片付けましょう。
俺も海産物とか見て歩きたいんですよね。」
イオリの反応にヒューゴは頭を抱え、ソフィアンヌは笑いオーウェンは困惑しレイナードは目を丸くした。
「海産物・・・?」
「はい!俺達が住んでるポーレットでは手に入れるのが難しいです。
それを楽しみにダグスクへ来ました。
落ちつていて街を堪能する為には仕事を終わらせましょう。」
ヒューゴに頭を小突かれ口を尖らすイオリを見てオーウェンは目を煌めかせた。
彼なら・・・彼と一緒ならなんとかなるかもしれないと
Sランク冒険者に不名誉な事だ。」
「所詮、冒険者は荒くればかりイオリだって気にしてはいませんよ。
問題はこの後です。
イオリの名で悪事をする事こそ不名誉。
それを早く片付けましょう。
冒険者ギルドとしてはSランク冒険者に政治の面倒ごとを押し付けるのは本意じゃない。」
オーウェンはソフィアンヌの言葉に気圧されながらも頷いた。
「初めに言っておきます。
今回のイオリの旅は私的な旅でした。
当然、旅先では何かしらに合うでしょう。
それは、彼らも覚悟してきたはずです。
しかし、アンティティラで依頼を受けた時点で我々の介入は必須になります。」
ソフィアンヌは主導権を渡さないと矢継ぎ早に話す。
「それならば、イオリ殿の依頼を一度整理しよう。」
オーウェンはソフィアンヌではなくイオリに言った。
イオリは頷くとアンティティラでの山喰いの話と集落の話を聞かせた。
「集落を襲った犯人は拘束され、俺がアンティティラを出る時も尋問されていたようです。
問題は犯人ロッタの共犯・・・。
いや、ロッタを誘い込んだエルネという人がダグスクへ逃げたという事です。
アンティティラ伯爵から俺への依頼はエルネの拘束です。」
イオリが把握している事を話すとオーウェンとソフィアンヌは頷いた。
「私もアンティティラのギルドから同じように聞いています。
そして、ポーレットのギルドからはイオリに一任すると連絡を受けています。
するもしないも本人次第と。」
「私も、同じ様に言われている。
だた、ポーレット公爵側は心配していた様だがな。」
オーウェンの言葉にイオリは苦笑する。
「普通に心配して頂いてるのだと思いますが、恐らく今回が今までと違うからでしょうね。」
「違うとは?」
オーウェンはイオリの言葉に首を傾げた。
「ターゲットが人間だという事です。
俺は今まで魔獣しか狙ってきませんでしたから。」
「なるほど・・・。」
オーウェンは深く頷いた。
Sランクとはいえ若い、経験が薄いのがイオリの難点なのかもしれない。
しかし、それを踏まえてもSランクを得ているイオリは攻撃力を評価されているのだと気づいてしまった。
「それについては私達も協力します。
冒険者を支えるのもギルドの務めですからね。」
「お世話になります。
では、こちらの事情を教えてもらえますか?」
イオリに促されるままにオーウェンは話し始めた。
「ご覧の通り、私は若くして当主となり侯爵となりました。
理由は父が2年前に亡くなったからです。」
_________
オーウェンの父アンドレアス・ダグスク侯爵は大らかな優しい人だった。
歴史ある港街であるダグスクを護り続ける一族として、誇りを一人息子のオーウェンにも教え込んだ。
オーウェンの母が亡くなったのは彼が17歳の時、突然の死だった。
打ちひしがれた侯爵は愛情を一人息子に向け、なお一層彼に教養を身につけさせた。
そんな侯爵が体調を崩し早々とこの世をさったのが2年前。
成人を迎えているとはいえ24歳の若輩侯爵への期待は大きく、とてつもなく重かった。
それを支えてくれているのが、騎士団長のレイナードや執事のカールなどの家の者と冒険者ギルドのギルマス・ソフィアンヌを始めとした街の人達だった。
ダグスク侯爵家を愛してやまない街の住人達は必死に働く若輩侯爵を暖かく見守った。
そんな若輩者に群れる野獣共がいる。
貴族達だ。
彼らは我先にと自分の娘を送り込んだり、商売で侯爵家より優位に立とうとした。
甘い汁や鋭い剣を向け若輩侯爵の心は疲弊してきた。
それでも耐え2年かけて落ち着きを取り戻そうとしてきたというのに今回の話である。
_________
「なるほど・・・。
オーウェンさん。疲れてるんですねー。」
「おい。そーじゃないだろ。」
イオリの反応に思わずヒューゴは突っ込んでしまった。
「えっ?そういう事でしょ?
休んだ方がいいですよ。
って事でちゃっちゃと片付けましょう。
俺も海産物とか見て歩きたいんですよね。」
イオリの反応にヒューゴは頭を抱え、ソフィアンヌは笑いオーウェンは困惑しレイナードは目を丸くした。
「海産物・・・?」
「はい!俺達が住んでるポーレットでは手に入れるのが難しいです。
それを楽しみにダグスクへ来ました。
落ちつていて街を堪能する為には仕事を終わらせましょう。」
ヒューゴに頭を小突かれ口を尖らすイオリを見てオーウェンは目を煌めかせた。
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