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初めての旅 〜アンティティラ〜
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「「「キレー・・・。」」」
子供達の視線には金色の光を発した真紅のフェニックス・ソルが成獣の大きさに変化してバサバサとイオリの腕の上でバランスを取っていた。
「やっぱり、まだ赤ちゃんだからコントロールが難しいのかな。」
そう言いながら、スコルとパティによって誘導されたヒューゴがベットに腰を下ろした。
不安そうなニナを脇に腰を下ろし、ヒューゴは全てを任せるようにイオリに頷いた。
「ソル・・・。ヒューゴさんの怪我を治して欲しい。」
イオリの願いを聞いたソルはヒューゴの引きずる左足に乗り歌うように奏で始めた。
ピューロォォ♪ピュロー♪ピューロォピロロォォー♪
光っていたソルがもっと強い光りを出すと、見守っていたイオリ達も眩しくて目を閉じた。
ピロロォォ♪ピローピューロォ♪
ソルの歌声が聞こえなくなり、イオリ達が再び目を開けるとヒューゴの足の上で小鳥に戻ったソルが首をキュルキュルと動かしていた。
『聖水くれって。』
イオリは腰バックから聖水を出してやるとソルはコクコクと飲み干しイオリの掌でコトンと眠り始めた。
ヒューゴを覗いて見れば瞳を閉じたまま寝息を立てていた。
イオリの鑑定によると、左足の怪我は治っているようだが本人が目覚めないのでは確認しようもない。
「うん。今までの疲れが出ちゃったんだね。
寝かせてあげよう。足が治ったかはヒューゴさんが起きてから確認しよう。」
ヒューゴに上掛けを掛けてやるとニナが隣に潜り込んだ。
イオリが頭を撫でてやるとニナもうつらうつらし始め、いつの間にか眠りについた。
「フフフ。そっくりだね。」
口に手を当てて笑うパティにスコルとナギもクスクスと笑った。
「さぁ、まだ3人とも寝ないならリビングに行こう。起こさないように。」
「「「はーぃ・・・。」」」
ベットのカーテンを引くとイオリ達は新しい家族の疲れが癒える事を祈った。
_________
ヒューゴは黄金に光る麦畑を歩いていた。
遠い遠い記憶の中を一歩一歩と進んでいると、笑い声が聞こえた。
遠くの方で女性が子供と笑っていた。
その女性が自分の母で子供は自分の幼い頃だと分かった。
「夢の中か・・・。」
分かっていても、目覚めるのが怖い自分がいた。
《さぁ、帰りましょう。お父様が帰ってくるわ。》
《はい!母様。》
・・・こんな時もあったな。
母様が早くに死ななければ・・・。
一度、目を閉じると今度は目の前に母が笑ってヒューゴを見ていた。
《相変わらずお寝坊さんね。早く起きなさい。》
《母様・・・。》
《新しい家族を守るのでしょう?》
《一番、守りたかった人は守れなかった・・・。》
《母を守るつもりでいてくれたなら、代わりに妹を守りなさい。
新たな弟達や妹を守りなさい。
貴方が信じた主人を守りなさい。》
《こんな足で出来るでしょうか?》
《目を覚まして確認すればいいわ。》
《そうしましょう。》
《いつも貴方を思っているわ。》
《夢と分かっていても会えて嬉しかったです。》
《私もよ。愛しい子。父様にはきっちりお説教しておくわね。》
《お手数おかけします。》
《さぁさぁ。行きなさい。》
《母様・・・またお会いしましょう。》
_________
目を覚ましたヒューゴは自分が泣いていた事に気づき目を拭った。
起き上がって見れば隣にはニナがしがみ付くように眠っていた。
ニナの向こうには子供達が思い思いの寝相で眠っている。
『起きれる?気分はどう?』
気づいたゼンに声をかけられ、昨日ソルに癒して貰ったのを思い出した。
「どうだろう。気分は悪くないよ。」
そう言うと立ち上がってみれば、殊の外体が軽い事に驚いた。
そのまま屈伸やら足上げなどしてみたら、今までとは明らかに違く足の動きが良い。
「どうやら良さそうだ。」
『それなら外で試そう。まだ、早朝だけど明るいよ。それに、テントの中は安全だよ。』
言われるがままにゼンと外に出れば、空が白んでいた。
ヒューゴはもう一度、ありとあらゆる動き無心でこなした。
大剣を出しては振って、ジャンプしては振って・・・。
何の問題もない足に戻っている事に呆然としていると後ろから声がかかった。
「あれ?起きたんですか?調子はどうです??」
ブラックパンサーを片手に持ったイオリがにこやかに歩いて来た。
「・・・た。」
「え?何です?」
獲物を置き、手をパンパンと叩くイオリにヒューゴは叫んだ。
「足が動いた!何の問題もなく!」
「おぉぉ!良かった!良かったです!!」
イオリはヒューゴに近づき肩をパンパンと叩いた。
ガバっと顔を上げると、ヒューゴは顔をグシャグシャにして泣きながら笑っていた。
「ありがとう・・・俺は、また奇跡を見ている・・・。
イオリに出会えた事で全てが変わった。」
「「あー!またヒューゴが泣いてる!!」」
双子の声が響くとヒューゴは慌てて顔を擦って泣いた顔を誤魔化そうとしてイオリとゼンにゲラゲラと笑われた。
「足治ったの?」
「ああ。」
「痛くないの?」
「ああ。」
「違和感は?」
「ない。」
子供達の質問責めに合いながらもヒューゴは嬉しそうに笑った。
そんなヒューゴにニナがテトテトと走り寄るとヒューゴはしゃがみ込み抱きしめた。
「ニナ!もう、大丈夫だ。治ったぞ。」
目を大きくするニナは大きな足を撫でていた。
もう一度ニッコリ笑う兄を見てニナは口をパカーと開けて笑った。
「嬉しいって。」
「そうか!ニナも嬉しいか!俺はもっと嬉しいぞ。」
ナギの通訳によりニナの言葉が分かったヒューゴはニナのオデコにオデコをくっつけて笑い合った。
「それで?ちゃんと仕事してもらえるんですか?」
ニヤニヤとするイオリにヒューゴを頷いた。
「任せろ。これで心配はいらない。すまないが次の街でランク上げをしたい。
お前と一緒にいるならAランクは必要だろ?」
「それなら、ダグスクまでの道中で良い魔獣がいたらお任せしましょう。」
「助かる。」
「なら、まずは腹ごしらえです。
みんな川で顔を洗っておいで!朝ごはんにするよ!」
「「「はーい!」」」
子供達の声に誘われるようにヒューゴもニナを連れて川へ向かった。
そんなヒューゴの後ろ姿をイオリとゼンが微笑んで見ていた。
子供達の視線には金色の光を発した真紅のフェニックス・ソルが成獣の大きさに変化してバサバサとイオリの腕の上でバランスを取っていた。
「やっぱり、まだ赤ちゃんだからコントロールが難しいのかな。」
そう言いながら、スコルとパティによって誘導されたヒューゴがベットに腰を下ろした。
不安そうなニナを脇に腰を下ろし、ヒューゴは全てを任せるようにイオリに頷いた。
「ソル・・・。ヒューゴさんの怪我を治して欲しい。」
イオリの願いを聞いたソルはヒューゴの引きずる左足に乗り歌うように奏で始めた。
ピューロォォ♪ピュロー♪ピューロォピロロォォー♪
光っていたソルがもっと強い光りを出すと、見守っていたイオリ達も眩しくて目を閉じた。
ピロロォォ♪ピローピューロォ♪
ソルの歌声が聞こえなくなり、イオリ達が再び目を開けるとヒューゴの足の上で小鳥に戻ったソルが首をキュルキュルと動かしていた。
『聖水くれって。』
イオリは腰バックから聖水を出してやるとソルはコクコクと飲み干しイオリの掌でコトンと眠り始めた。
ヒューゴを覗いて見れば瞳を閉じたまま寝息を立てていた。
イオリの鑑定によると、左足の怪我は治っているようだが本人が目覚めないのでは確認しようもない。
「うん。今までの疲れが出ちゃったんだね。
寝かせてあげよう。足が治ったかはヒューゴさんが起きてから確認しよう。」
ヒューゴに上掛けを掛けてやるとニナが隣に潜り込んだ。
イオリが頭を撫でてやるとニナもうつらうつらし始め、いつの間にか眠りについた。
「フフフ。そっくりだね。」
口に手を当てて笑うパティにスコルとナギもクスクスと笑った。
「さぁ、まだ3人とも寝ないならリビングに行こう。起こさないように。」
「「「はーぃ・・・。」」」
ベットのカーテンを引くとイオリ達は新しい家族の疲れが癒える事を祈った。
_________
ヒューゴは黄金に光る麦畑を歩いていた。
遠い遠い記憶の中を一歩一歩と進んでいると、笑い声が聞こえた。
遠くの方で女性が子供と笑っていた。
その女性が自分の母で子供は自分の幼い頃だと分かった。
「夢の中か・・・。」
分かっていても、目覚めるのが怖い自分がいた。
《さぁ、帰りましょう。お父様が帰ってくるわ。》
《はい!母様。》
・・・こんな時もあったな。
母様が早くに死ななければ・・・。
一度、目を閉じると今度は目の前に母が笑ってヒューゴを見ていた。
《相変わらずお寝坊さんね。早く起きなさい。》
《母様・・・。》
《新しい家族を守るのでしょう?》
《一番、守りたかった人は守れなかった・・・。》
《母を守るつもりでいてくれたなら、代わりに妹を守りなさい。
新たな弟達や妹を守りなさい。
貴方が信じた主人を守りなさい。》
《こんな足で出来るでしょうか?》
《目を覚まして確認すればいいわ。》
《そうしましょう。》
《いつも貴方を思っているわ。》
《夢と分かっていても会えて嬉しかったです。》
《私もよ。愛しい子。父様にはきっちりお説教しておくわね。》
《お手数おかけします。》
《さぁさぁ。行きなさい。》
《母様・・・またお会いしましょう。》
_________
目を覚ましたヒューゴは自分が泣いていた事に気づき目を拭った。
起き上がって見れば隣にはニナがしがみ付くように眠っていた。
ニナの向こうには子供達が思い思いの寝相で眠っている。
『起きれる?気分はどう?』
気づいたゼンに声をかけられ、昨日ソルに癒して貰ったのを思い出した。
「どうだろう。気分は悪くないよ。」
そう言うと立ち上がってみれば、殊の外体が軽い事に驚いた。
そのまま屈伸やら足上げなどしてみたら、今までとは明らかに違く足の動きが良い。
「どうやら良さそうだ。」
『それなら外で試そう。まだ、早朝だけど明るいよ。それに、テントの中は安全だよ。』
言われるがままにゼンと外に出れば、空が白んでいた。
ヒューゴはもう一度、ありとあらゆる動き無心でこなした。
大剣を出しては振って、ジャンプしては振って・・・。
何の問題もない足に戻っている事に呆然としていると後ろから声がかかった。
「あれ?起きたんですか?調子はどうです??」
ブラックパンサーを片手に持ったイオリがにこやかに歩いて来た。
「・・・た。」
「え?何です?」
獲物を置き、手をパンパンと叩くイオリにヒューゴは叫んだ。
「足が動いた!何の問題もなく!」
「おぉぉ!良かった!良かったです!!」
イオリはヒューゴに近づき肩をパンパンと叩いた。
ガバっと顔を上げると、ヒューゴは顔をグシャグシャにして泣きながら笑っていた。
「ありがとう・・・俺は、また奇跡を見ている・・・。
イオリに出会えた事で全てが変わった。」
「「あー!またヒューゴが泣いてる!!」」
双子の声が響くとヒューゴは慌てて顔を擦って泣いた顔を誤魔化そうとしてイオリとゼンにゲラゲラと笑われた。
「足治ったの?」
「ああ。」
「痛くないの?」
「ああ。」
「違和感は?」
「ない。」
子供達の質問責めに合いながらもヒューゴは嬉しそうに笑った。
そんなヒューゴにニナがテトテトと走り寄るとヒューゴはしゃがみ込み抱きしめた。
「ニナ!もう、大丈夫だ。治ったぞ。」
目を大きくするニナは大きな足を撫でていた。
もう一度ニッコリ笑う兄を見てニナは口をパカーと開けて笑った。
「嬉しいって。」
「そうか!ニナも嬉しいか!俺はもっと嬉しいぞ。」
ナギの通訳によりニナの言葉が分かったヒューゴはニナのオデコにオデコをくっつけて笑い合った。
「それで?ちゃんと仕事してもらえるんですか?」
ニヤニヤとするイオリにヒューゴを頷いた。
「任せろ。これで心配はいらない。すまないが次の街でランク上げをしたい。
お前と一緒にいるならAランクは必要だろ?」
「それなら、ダグスクまでの道中で良い魔獣がいたらお任せしましょう。」
「助かる。」
「なら、まずは腹ごしらえです。
みんな川で顔を洗っておいで!朝ごはんにするよ!」
「「「はーい!」」」
子供達の声に誘われるようにヒューゴもニナを連れて川へ向かった。
そんなヒューゴの後ろ姿をイオリとゼンが微笑んで見ていた。
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