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初めての旅 〜アンティティラ〜
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「今日からまた旅に出ます。リュオン様。」
《旅の無事を祈ります。相沢さん。》
いつのも如く、虹色の髪をしたリュオンがゼンとソルを撫でてニコニコと笑っていた。
《何か考え事ですか?》
「依頼を受けました。
国の問題に関わるであろう仕事です。
一つの国に固執してはいけないと思っていました。
でも、俺はこの国に大事なものを作りすぎてしまった様です。」
《それも、人との出会いの成果でしょう。
何も悪い事ではありませんよ?》
「でも、俺にはリュオン様がくれた力があります。
恐らく、国同士が争えば絶対に影響を与えます。」
《確かに、私は相沢さんに力を与えた。でも、それは相沢さんだけではありません。
この世界の全ての人にそれぞれ力を与えていますよ。
火魔法が使える人間が竈門に火をくべるのか、争いで戦火を切るのかの違いです。
要は力の使い方は人それぞれと言う事です。
水魔法で実らす為に畑に雨を降らすのか、相手を溺れさせるために洪水を起こすのか。
食べる為に銃を撃つのか、争いの為に人を撃つのか同じ事です。》
「使い方・・・。」
《相沢さんは人間です。
大切な物が増えて良いし、守る為に戦って良いんです。
平等に愛するのは神の役目。
そこまで背負わなくて良いのですよ。
代わりに、貴方は人間であり万能ではない。
怪我だってするし、死んでしまう事もあるんです。
身近な人らが悲しむ結果にならない様に無理をしてはいけませんよ。》
「はい。」
《さぁ、そろそろ行きなさい。
ゼン、ソル。相沢さんを頼みます。
次の街で会える事を楽しみにしています。》
「行ってきます。リュオン様」
『任せて!行ってきまーす』
ゆっくりと目を開けるとアンティティラの教会に戻っていて、ゼンとソルが覗き込んでいた。
イオリは微笑むと2匹を撫でた。
「お前さんは何を考えて祈った?」
ダーグルがヒューゴに向かって聞いていた。
ヒューゴは気まずそうにダーグルから目を逸らし祭壇に目をやった。
「自分の身に起こった事で神を恨んだ事があった。
何故、俺がこんな目に遭わなければいけない。
何故、小さい妹を救ってくれなかった。
試練など知らない。
己で解決できる事なら耐えてみせる。
でも、争う方法すらなかった・・・。
一筋の光が見えたのはイオリに会ったから。
妹が笑う様になったから。
その光は神にもたらされたものではなく、イオリが俺たちにくれた物。
恨んだ俺が神に祈りを捧げるなど可笑しな話だ。
でも、俺の主が神に祈りを捧げてる。
だったら俺は自分ではない家族の為に祈る。
小さな妹の未来を子供達の笑いある世界を、何より世情に巻き込まれていく主人の身の安全を。」
ダーグルはヒューゴの肩を優しく叩き同じく祭壇を見た。
「教会は神の拠り所、願いや感謝だけでなく人の想いを捨てる場所でもある。
恨み言すら神は包み込んでくれるさ。
お前さんが家族を想うのなら、家族だって、お前さんの未来を祈ってる。
それがお前さんと神の距離の取り方だと言うのなら、俺はそれで良いと思うぞ。
俺も、ココでお前さん達の無事を祈ろう。」
ヒューゴはダーグルに頷いた。
「ありがとうございます。
ダーグルさん。お世話になりました。」
そう言い教会を後にするイオリ達の後ろ姿をダーグルは祈った。
「全ての奴隷が小僧のような人間に出会えたら、世界はまた違うのかもしれんな。
なぁ、エドバルド・・・。」
違う街で祈る友を想いダーグルは教会の扉を閉めた。
《旅の無事を祈ります。相沢さん。》
いつのも如く、虹色の髪をしたリュオンがゼンとソルを撫でてニコニコと笑っていた。
《何か考え事ですか?》
「依頼を受けました。
国の問題に関わるであろう仕事です。
一つの国に固執してはいけないと思っていました。
でも、俺はこの国に大事なものを作りすぎてしまった様です。」
《それも、人との出会いの成果でしょう。
何も悪い事ではありませんよ?》
「でも、俺にはリュオン様がくれた力があります。
恐らく、国同士が争えば絶対に影響を与えます。」
《確かに、私は相沢さんに力を与えた。でも、それは相沢さんだけではありません。
この世界の全ての人にそれぞれ力を与えていますよ。
火魔法が使える人間が竈門に火をくべるのか、争いで戦火を切るのかの違いです。
要は力の使い方は人それぞれと言う事です。
水魔法で実らす為に畑に雨を降らすのか、相手を溺れさせるために洪水を起こすのか。
食べる為に銃を撃つのか、争いの為に人を撃つのか同じ事です。》
「使い方・・・。」
《相沢さんは人間です。
大切な物が増えて良いし、守る為に戦って良いんです。
平等に愛するのは神の役目。
そこまで背負わなくて良いのですよ。
代わりに、貴方は人間であり万能ではない。
怪我だってするし、死んでしまう事もあるんです。
身近な人らが悲しむ結果にならない様に無理をしてはいけませんよ。》
「はい。」
《さぁ、そろそろ行きなさい。
ゼン、ソル。相沢さんを頼みます。
次の街で会える事を楽しみにしています。》
「行ってきます。リュオン様」
『任せて!行ってきまーす』
ゆっくりと目を開けるとアンティティラの教会に戻っていて、ゼンとソルが覗き込んでいた。
イオリは微笑むと2匹を撫でた。
「お前さんは何を考えて祈った?」
ダーグルがヒューゴに向かって聞いていた。
ヒューゴは気まずそうにダーグルから目を逸らし祭壇に目をやった。
「自分の身に起こった事で神を恨んだ事があった。
何故、俺がこんな目に遭わなければいけない。
何故、小さい妹を救ってくれなかった。
試練など知らない。
己で解決できる事なら耐えてみせる。
でも、争う方法すらなかった・・・。
一筋の光が見えたのはイオリに会ったから。
妹が笑う様になったから。
その光は神にもたらされたものではなく、イオリが俺たちにくれた物。
恨んだ俺が神に祈りを捧げるなど可笑しな話だ。
でも、俺の主が神に祈りを捧げてる。
だったら俺は自分ではない家族の為に祈る。
小さな妹の未来を子供達の笑いある世界を、何より世情に巻き込まれていく主人の身の安全を。」
ダーグルはヒューゴの肩を優しく叩き同じく祭壇を見た。
「教会は神の拠り所、願いや感謝だけでなく人の想いを捨てる場所でもある。
恨み言すら神は包み込んでくれるさ。
お前さんが家族を想うのなら、家族だって、お前さんの未来を祈ってる。
それがお前さんと神の距離の取り方だと言うのなら、俺はそれで良いと思うぞ。
俺も、ココでお前さん達の無事を祈ろう。」
ヒューゴはダーグルに頷いた。
「ありがとうございます。
ダーグルさん。お世話になりました。」
そう言い教会を後にするイオリ達の後ろ姿をダーグルは祈った。
「全ての奴隷が小僧のような人間に出会えたら、世界はまた違うのかもしれんな。
なぁ、エドバルド・・・。」
違う街で祈る友を想いダーグルは教会の扉を閉めた。
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