106 / 472
初めての旅 〜アンティティラ〜
178
しおりを挟む
両手に屋台で買った食べ物を持ちギルドの扉を開くと、中は静かだった。
むしろシーンと聞こえるのではなかろうか程静かな食堂エリアを進み解体場に行くと、多くの人が解体場を静かに覗き込んでいた。
イオリ達は顔を見合わせ首を傾げると近くにいた人に声をかけた。
「あのー。これ何して・・・」
るんですか?を言わせて貰えず、見物人が口元に指を持っていった。
「「「「「シーーーーー!!」」」」」
困惑しているイオリに気づいたマスターがイオリ達を通してくれた。
そこには真剣な顔をしたパティが鳥類魔獣である“シュトラス”の解体の最終局面を迎えていた。
周りには、オインをはじめ解体場の職人が見守り、それをギルドにいた人達が固唾を飲んでいた。
イオリ達は優しく微笑むと最後まで静かに見守る事にした。
「ふー。出来た!!!見て!」
パティはオインを見上げるると、オインは満足そうに頷いた。
「よし。完璧だ。よくやったな。」
その言葉に見守っていた面々から歓声が上がった。
沢山の人が見守っていた事に気づき、驚いて惑っていたパティにスコルが駆け寄った。
「上手に出来たね。パティ!」
スコルに続きナギも駆け寄り褒めるとパティはやっと笑顔になった。
「オインさん。皆さんお世話になりました。」
イオリが言うとオイン達はニカっと笑った。
「嬢ちゃんは飲み込みが早い。教えてる方も楽だったよ。
お前さんも解体するって言ってたぞ。」
「はい。俺の場合、本職ではないんで褒められたもんじゃないですけどね。
今回の旅は子供達の目標を叶える旅でもあったんで助かりました。」
パティはイオリに褒めてもらいたくてソワソワと体を動かした。
「どれ。見せてくれ。・・・・。苦手だった関節の部分が上手く剥がせてるじゃないか。
凄いな。パティ。」
嬉しそうに微笑むパティにイオリは昼食を取ろうと誘い。
この日のパティによる解体訓練は終わりを迎えた。
「いつでも来いよ!本職になるには場数だからな。」
オインの言葉を背にパティはニッコリ頷いた。
部屋に帰るとテントを張り、パティがシャワーを浴びている間にイオリ達は昼食の準備をした。
「会いに行った人どうだったの?」
すっかり着替えたパティがスコル達に聞くとスコルは首を横に振った。
「スコル達は今日会えなかったんだ。イオリとゼンちゃんが会ったよ。
後は返事待ちだって。」
「ふーん。」
「でも・・・。女の子は楽しそうだったよ。」
ナギの言葉にイオリはハッとした。
「そうか!ナギはニナの声が聞こえるんだね?」
「うーん。小さく笑ってる声が聞こえただけだよ。」
「???なーに?」
イオリはパティに今日会ったコリンズ兄妹の事を教えた。
初めは驚き悲しむこそしたが、心的要因で声が出ないことを知ると笑顔になった。
「じゃあ。楽しい事してたらいつか話せるかもしれないね。」
「確かにね。ニナが楽しいって思うことをやろう。」
「うん!ボク、本を読んであげる!」
逞しい子供達にイオリとゼンは顔を見合わせ安心するのだった。
「さぁ、食べちゃおう!」
「「「はーい」」」
むしろシーンと聞こえるのではなかろうか程静かな食堂エリアを進み解体場に行くと、多くの人が解体場を静かに覗き込んでいた。
イオリ達は顔を見合わせ首を傾げると近くにいた人に声をかけた。
「あのー。これ何して・・・」
るんですか?を言わせて貰えず、見物人が口元に指を持っていった。
「「「「「シーーーーー!!」」」」」
困惑しているイオリに気づいたマスターがイオリ達を通してくれた。
そこには真剣な顔をしたパティが鳥類魔獣である“シュトラス”の解体の最終局面を迎えていた。
周りには、オインをはじめ解体場の職人が見守り、それをギルドにいた人達が固唾を飲んでいた。
イオリ達は優しく微笑むと最後まで静かに見守る事にした。
「ふー。出来た!!!見て!」
パティはオインを見上げるると、オインは満足そうに頷いた。
「よし。完璧だ。よくやったな。」
その言葉に見守っていた面々から歓声が上がった。
沢山の人が見守っていた事に気づき、驚いて惑っていたパティにスコルが駆け寄った。
「上手に出来たね。パティ!」
スコルに続きナギも駆け寄り褒めるとパティはやっと笑顔になった。
「オインさん。皆さんお世話になりました。」
イオリが言うとオイン達はニカっと笑った。
「嬢ちゃんは飲み込みが早い。教えてる方も楽だったよ。
お前さんも解体するって言ってたぞ。」
「はい。俺の場合、本職ではないんで褒められたもんじゃないですけどね。
今回の旅は子供達の目標を叶える旅でもあったんで助かりました。」
パティはイオリに褒めてもらいたくてソワソワと体を動かした。
「どれ。見せてくれ。・・・・。苦手だった関節の部分が上手く剥がせてるじゃないか。
凄いな。パティ。」
嬉しそうに微笑むパティにイオリは昼食を取ろうと誘い。
この日のパティによる解体訓練は終わりを迎えた。
「いつでも来いよ!本職になるには場数だからな。」
オインの言葉を背にパティはニッコリ頷いた。
部屋に帰るとテントを張り、パティがシャワーを浴びている間にイオリ達は昼食の準備をした。
「会いに行った人どうだったの?」
すっかり着替えたパティがスコル達に聞くとスコルは首を横に振った。
「スコル達は今日会えなかったんだ。イオリとゼンちゃんが会ったよ。
後は返事待ちだって。」
「ふーん。」
「でも・・・。女の子は楽しそうだったよ。」
ナギの言葉にイオリはハッとした。
「そうか!ナギはニナの声が聞こえるんだね?」
「うーん。小さく笑ってる声が聞こえただけだよ。」
「???なーに?」
イオリはパティに今日会ったコリンズ兄妹の事を教えた。
初めは驚き悲しむこそしたが、心的要因で声が出ないことを知ると笑顔になった。
「じゃあ。楽しい事してたらいつか話せるかもしれないね。」
「確かにね。ニナが楽しいって思うことをやろう。」
「うん!ボク、本を読んであげる!」
逞しい子供達にイオリとゼンは顔を見合わせ安心するのだった。
「さぁ、食べちゃおう!」
「「「はーい」」」
1,203
お気に入りに追加
18,142
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜
ぽん
ファンタジー
⭐︎書籍化決定⭐︎
『拾ってたものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』
第2巻:2024年5月20日(月)に各書店に発送されます。
書籍化される[106話]まで引き下げレンタル版と差し替えさせて頂きます。
第1巻:2023年12月〜
改稿を入れて読みやすくなっております。
是非♪
==================
1人ぼっちだった相沢庵は小さな子狼に気に入られ、共に異世界に送られた。
絶対神リュオンが求めたのは2人で自由に生きる事。
前作でダークエルフの脅威に触れた世界は各地で起こっている不可解な事に憂慮し始めた。
そんな中、異世界にて様々な出会いをし家族を得たイオリはリュオンの願い通り自由に生きていく。
まだ、読んでらっしゃらない方は先に『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』をご覧下さい。
前作に続き、のんびりと投稿してまいります。
気長なお付き合いを願います。
よろしくお願いします。
※念の為R15にしています。
※誤字脱字が存在する可能性か高いです。
苦笑いで許して下さい。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。