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初めての旅 〜アンティティラ〜
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部屋に戻るとスコルとナギが期待した顔を向けてきた。
「俺の気持ちを伝えてきたよ。あとは2人に任せて待とう。」
今日は会えないのかと少しがっかりしたスコルとナギにイオリは頭を撫でた。
「アンナさん。今日はありがとうございました。
良い返事を期待して待つことにします。」
「そうかい。受けてくれると良いね。
他に何か役立てる事はあるかい?」
イオリは腰バックから魔石化した宝石の原石を出して見せた。
「ご主人をご紹介いただきたいです。」
アンナは美しい原石に目を奪われた。
「ダンジョンの報酬かい?見事な原石だ。」
「はい。魔石化していてスキルが付与されてるんです。
子供達に持たせようと思って。」
アンナは頷いて胸を叩いた。
「任せておくれ、旦那に加工を依頼して装備やらを作る職人も紹介しよう。」
「ありがとうございます。あと、魔道具が欲しいんです。オーダーって出来ますか?」
「グラトニーに任せておくれ。アンティティラには良い職人がゴロゴロいるから、帰ったら打ち合わせだ。」
アンナと話しているとスティールが戻ってきた。
「お疲れ様でした。いかがでしたでしょう?」
「はい。良い人だと思いましたよ。あとは彼らに任せます。
ギルドの宿に泊まっています。何かあればお伝えください。」
「承知いたしました。」
深々と頭を下げるスティールに別れを告げてイオリ達は奴隷商ホープをあとにした。
_____
いつもと同じ朝のはずだった。
起きたら鍛錬をして妹に洗浄と乾燥の魔法を掛けてもらい。
朝ごはんを食べ、喋らぬ妹に話しかけ頷けばホッとしていた。
毎日、同じ事の繰り返し。
妹と初めて出会ったのは約一年前、クソ親父とあの女の所為だった。
いや、逃げていた俺が言える事ではない。
正直、妹に兄として認識されてるかも不安だ。
言えば頷き動く妹を見ていて、このままで良い筈がないと分かっていながらも
仕事に就こうとは思えなかった。
どれもこれも、護衛や戦争の要因だったり妹に目をつける連中もいた。
こればかりはアースガイルの法律で奴隷も選ぶ権利があって良かったと思わずにはいられない。
今日もスティールの旦那が客を連れてきた。
ここでの待遇は悪くないが最早、上客は見込めない。
部屋に入ってきたのは、まだ若い男と白い狼だった。
こんなのが主人に?何かの冗談かと思い、牽制してみれば相手にもされなかった。
男は真っ直ぐに妹に目線を合わせ挨拶をした。
こんな奴・・・。いたことなかったな。
ニナが笑った・・・。頬を緩めて笑った・・・。
妹に話しているようで自分に聞かせている事は分かっていたが男の言葉を静かに聞く。
妹にも存在意識を持たせ。俺には冒険者をやれと言う。家族を守れ?
俺の足はもうこんなだというのに・・・。
信じて良いのだろうか?ロクでもない親に振り回された妹を外に出しても大丈夫だろうか?
あの手と共に鉄格子の扉を出る事を望んで良いのだろうか・・・。
「ニナ。あいつはどうだった?」
俺が聞いた事に妹はニッコリ笑い頷いた。
「そうか・・・。」
後は、俺が覚悟を決めなければいけない。
「俺の気持ちを伝えてきたよ。あとは2人に任せて待とう。」
今日は会えないのかと少しがっかりしたスコルとナギにイオリは頭を撫でた。
「アンナさん。今日はありがとうございました。
良い返事を期待して待つことにします。」
「そうかい。受けてくれると良いね。
他に何か役立てる事はあるかい?」
イオリは腰バックから魔石化した宝石の原石を出して見せた。
「ご主人をご紹介いただきたいです。」
アンナは美しい原石に目を奪われた。
「ダンジョンの報酬かい?見事な原石だ。」
「はい。魔石化していてスキルが付与されてるんです。
子供達に持たせようと思って。」
アンナは頷いて胸を叩いた。
「任せておくれ、旦那に加工を依頼して装備やらを作る職人も紹介しよう。」
「ありがとうございます。あと、魔道具が欲しいんです。オーダーって出来ますか?」
「グラトニーに任せておくれ。アンティティラには良い職人がゴロゴロいるから、帰ったら打ち合わせだ。」
アンナと話しているとスティールが戻ってきた。
「お疲れ様でした。いかがでしたでしょう?」
「はい。良い人だと思いましたよ。あとは彼らに任せます。
ギルドの宿に泊まっています。何かあればお伝えください。」
「承知いたしました。」
深々と頭を下げるスティールに別れを告げてイオリ達は奴隷商ホープをあとにした。
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いつもと同じ朝のはずだった。
起きたら鍛錬をして妹に洗浄と乾燥の魔法を掛けてもらい。
朝ごはんを食べ、喋らぬ妹に話しかけ頷けばホッとしていた。
毎日、同じ事の繰り返し。
妹と初めて出会ったのは約一年前、クソ親父とあの女の所為だった。
いや、逃げていた俺が言える事ではない。
正直、妹に兄として認識されてるかも不安だ。
言えば頷き動く妹を見ていて、このままで良い筈がないと分かっていながらも
仕事に就こうとは思えなかった。
どれもこれも、護衛や戦争の要因だったり妹に目をつける連中もいた。
こればかりはアースガイルの法律で奴隷も選ぶ権利があって良かったと思わずにはいられない。
今日もスティールの旦那が客を連れてきた。
ここでの待遇は悪くないが最早、上客は見込めない。
部屋に入ってきたのは、まだ若い男と白い狼だった。
こんなのが主人に?何かの冗談かと思い、牽制してみれば相手にもされなかった。
男は真っ直ぐに妹に目線を合わせ挨拶をした。
こんな奴・・・。いたことなかったな。
ニナが笑った・・・。頬を緩めて笑った・・・。
妹に話しているようで自分に聞かせている事は分かっていたが男の言葉を静かに聞く。
妹にも存在意識を持たせ。俺には冒険者をやれと言う。家族を守れ?
俺の足はもうこんなだというのに・・・。
信じて良いのだろうか?ロクでもない親に振り回された妹を外に出しても大丈夫だろうか?
あの手と共に鉄格子の扉を出る事を望んで良いのだろうか・・・。
「ニナ。あいつはどうだった?」
俺が聞いた事に妹はニッコリ笑い頷いた。
「そうか・・・。」
後は、俺が覚悟を決めなければいけない。
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