53 / 433
初めての旅 〜アンティティラ〜
167
しおりを挟む
街歩きスタイルに着替え受付に行くと依頼受付とは別のカウンターがあって“宿泊受付”と書いてあった。
「街に出ようと思うんですけど。」
「はーい。イオリさんパーティーですね。鍵はお預かりします。
お帰り次第、声をかけてください。」
長い耳をピョコピョコと動かしたウサギの獣人であろう女性が笑顔で言った。
「分かりました。あのー。
教会ってあります?」
「教会ですか?1番ロードの入り口にありますよ。
行けばすぐに分かります。」
受付の女性にお礼を言い外に出た。
「ウサギの獣人さんだったね。」
「うん!アンティティラでも、獣人は笑ってたね。」
双子は嬉しそうに話している。
その時になって初めてポーレット以外の街で不安だったのかとイオリは気付いた。
「この国は基本的にどんな人種でも平等なんだね。
人それぞれ良い人、悪い人がいるけど、獣人さんが笑顔で生活してるのは2人にとって安心だね。」
「「うん!」」
来た道を引き返し1番ロードの入り口に行けば、何やら騒がしい。
「何だってんだよ!俺達が何したよ?!」
冒険者であろう男女5人が地面に転がされていた。
「じゃかーしー!ココが何処かわかってんのか?
神聖な教会で裏取引なんかしてんじゃねー!!
はっ倒すぞ!」
もう、はっ倒してないか?とも思うが怒るドワーフの男性と冒険者達をイオリは暫く観察していた。
「う うるせー!お前には関係ないだろーが!!」
「そうよ!それに、コイツらから言ってきたんだから私は悪くないわ!」
ドワーフは女の頭を鷲掴みにすると引き摺るように放り投げた。
「きゃーーー!」
「誰か、冒険者ギルドへ通報してくれ。
違法に依頼取引してる連中がいるってな。」
それを見物人が請負い、ギルドに走っていき別の見物人が男女の冒険者を捕まえていた。
ドワーフの男は手をパンパンと打ち汚れを払いながらイオリ達に気づいた。
「おう。教会に用か?」
「はい。リュオン様に旅の無事を報告させてもらえたらなって。」
ドワーフの男はニッコリ笑うと頷いた。
「そうか!ゆっくりしていけ!
俺はアンティティラの教会で神父をしてるダーグルだ。
あーなんだ。怖がらせて悪かったよ。」
イオリの後で怯える子供達に申し訳なさそうな顔をしてダーグルは謝った。
「みんな、ご挨拶しよう。
ポーレットから来ました。
冒険者をしてます。イオリです。
従魔のゼン、アウラ、ソル。
双子のスコル、パティにナギです。
今日、アンティティラに着いたんですよ。」
子供達はイオリの真似をして挨拶をした。
ダーグルはニッカリ笑い教会へ入れてくれた。
「ポーレットって事はエドバルドは元気か?
相変わらず、ニヤけた顔してんだろうな。」
「はい。お元気ですよ。お知り合いですか?」
「教会の神父になるには、王都の教会本部で研修を受ける必要があってな。
その時一緒だった。良いやつだが、アイツの口車に乗って何回騙されて用事を押し付けられたか。」
「はははは。
俺達は優しいエドバルドさんしか知らないんで、意外な話です。
ところでさっきの人達がしてた違法な依頼取引ってなんですか?」
ダーグルは顔をしかめ憮然とした。
「男達が女の代わりに依頼をこなし報酬を得るって言う、言わばズルだ。
女の名前で依頼を受け、男達が依頼をする。男達は金を稼ぎ、女はランクが上がるって寸法だ。
まあ、ランク上げの為に人に協力を仰ぐ事は普通にあるがあの女のやってる事は丸投げだ。それは違法だ。
大方、ランクを上げて何処ぞの貴族の目に留まれば良いと思ったんだろう。」
「なるほど・・・。」
確かにそれは頂けない。にしても、ポーレットのエドバルド達とは違い随分荒々しい神父だ。
「ねー。神父さん。この教会は掘ってるの?」
スコルがダーグルに話しかけた。
ダーグルは嬉しそうに説明した。
「そうだぞ、坊主。
アンティティラの街を作り出した先人達が、無事を祈願して一番最初に作った建造物が、この教会だ。
その他は木造や石、土を利用してるが、教会だけは掘って造られた。
かっこいいだろ。」
「「「うん!」」」
子供達の笑顔にダーグルは気分が良さそうに笑った。
「さぁ、ココが祭壇だ。ゆっくりしていけ。」
ダーグルは祭壇を指差し己は別の部屋に向かった。
イオリ達は跪き祈った。
「リュオン様、無事にアンティティラに着きました。」
《お疲れ様でした。相沢さん。》
リュオンの優しい声が響いた。
「街に出ようと思うんですけど。」
「はーい。イオリさんパーティーですね。鍵はお預かりします。
お帰り次第、声をかけてください。」
長い耳をピョコピョコと動かしたウサギの獣人であろう女性が笑顔で言った。
「分かりました。あのー。
教会ってあります?」
「教会ですか?1番ロードの入り口にありますよ。
行けばすぐに分かります。」
受付の女性にお礼を言い外に出た。
「ウサギの獣人さんだったね。」
「うん!アンティティラでも、獣人は笑ってたね。」
双子は嬉しそうに話している。
その時になって初めてポーレット以外の街で不安だったのかとイオリは気付いた。
「この国は基本的にどんな人種でも平等なんだね。
人それぞれ良い人、悪い人がいるけど、獣人さんが笑顔で生活してるのは2人にとって安心だね。」
「「うん!」」
来た道を引き返し1番ロードの入り口に行けば、何やら騒がしい。
「何だってんだよ!俺達が何したよ?!」
冒険者であろう男女5人が地面に転がされていた。
「じゃかーしー!ココが何処かわかってんのか?
神聖な教会で裏取引なんかしてんじゃねー!!
はっ倒すぞ!」
もう、はっ倒してないか?とも思うが怒るドワーフの男性と冒険者達をイオリは暫く観察していた。
「う うるせー!お前には関係ないだろーが!!」
「そうよ!それに、コイツらから言ってきたんだから私は悪くないわ!」
ドワーフは女の頭を鷲掴みにすると引き摺るように放り投げた。
「きゃーーー!」
「誰か、冒険者ギルドへ通報してくれ。
違法に依頼取引してる連中がいるってな。」
それを見物人が請負い、ギルドに走っていき別の見物人が男女の冒険者を捕まえていた。
ドワーフの男は手をパンパンと打ち汚れを払いながらイオリ達に気づいた。
「おう。教会に用か?」
「はい。リュオン様に旅の無事を報告させてもらえたらなって。」
ドワーフの男はニッコリ笑うと頷いた。
「そうか!ゆっくりしていけ!
俺はアンティティラの教会で神父をしてるダーグルだ。
あーなんだ。怖がらせて悪かったよ。」
イオリの後で怯える子供達に申し訳なさそうな顔をしてダーグルは謝った。
「みんな、ご挨拶しよう。
ポーレットから来ました。
冒険者をしてます。イオリです。
従魔のゼン、アウラ、ソル。
双子のスコル、パティにナギです。
今日、アンティティラに着いたんですよ。」
子供達はイオリの真似をして挨拶をした。
ダーグルはニッカリ笑い教会へ入れてくれた。
「ポーレットって事はエドバルドは元気か?
相変わらず、ニヤけた顔してんだろうな。」
「はい。お元気ですよ。お知り合いですか?」
「教会の神父になるには、王都の教会本部で研修を受ける必要があってな。
その時一緒だった。良いやつだが、アイツの口車に乗って何回騙されて用事を押し付けられたか。」
「はははは。
俺達は優しいエドバルドさんしか知らないんで、意外な話です。
ところでさっきの人達がしてた違法な依頼取引ってなんですか?」
ダーグルは顔をしかめ憮然とした。
「男達が女の代わりに依頼をこなし報酬を得るって言う、言わばズルだ。
女の名前で依頼を受け、男達が依頼をする。男達は金を稼ぎ、女はランクが上がるって寸法だ。
まあ、ランク上げの為に人に協力を仰ぐ事は普通にあるがあの女のやってる事は丸投げだ。それは違法だ。
大方、ランクを上げて何処ぞの貴族の目に留まれば良いと思ったんだろう。」
「なるほど・・・。」
確かにそれは頂けない。にしても、ポーレットのエドバルド達とは違い随分荒々しい神父だ。
「ねー。神父さん。この教会は掘ってるの?」
スコルがダーグルに話しかけた。
ダーグルは嬉しそうに説明した。
「そうだぞ、坊主。
アンティティラの街を作り出した先人達が、無事を祈願して一番最初に作った建造物が、この教会だ。
その他は木造や石、土を利用してるが、教会だけは掘って造られた。
かっこいいだろ。」
「「「うん!」」」
子供達の笑顔にダーグルは気分が良さそうに笑った。
「さぁ、ココが祭壇だ。ゆっくりしていけ。」
ダーグルは祭壇を指差し己は別の部屋に向かった。
イオリ達は跪き祈った。
「リュオン様、無事にアンティティラに着きました。」
《お疲れ様でした。相沢さん。》
リュオンの優しい声が響いた。
1,822
お気に入りに追加
18,917
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。