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初めての旅 〜アンティティラ〜

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 街へ入る門が近づいてきた為、子供達に声をかけるとテントから飛び出てきた。

「ここ?なんか山みたい・・・。」

「街どこ?」

 スコルとパティは不思議そうに馬車から顔を出した。
 ナギはニコニコとイオリの肩にソルを乗せた。

「ナギは知ってたんだな?教えてあげて。」

 ナギは指をさして説明した。

「あの御山の下に街があるんだよ。
 地下都市って言うんだって。
 エルノールさんが言ってたよ。
 物作りの得意なドワーフは地下の方が仕事が捗るんだって。
 でも、一日に一回は太陽の光を街に入れるために鏡が沢山あるんだって。」

「「鏡?」」

 双子は分からないと首を傾げる。

「鏡の反射で光を地下に呼び込むんだって。
 ドワーフが街を造るまでのお話を書いた絵本もあって読んだよ。
 ドワーフは短気なところもあるけれど、仕事は手を抜かずに努力するんだって。」

「「ナギすごーい!」」

 双子は感心したようにナギを褒めた。
 ナギは恥ずかしそうにイオリを見てモジモジした。

「双子が料理や解体を頑張ってるようにナギは本を読んで知識を得る事に努力を惜しまないんだね。
 素晴らしい事じゃないか。
 俺も知らない事だったから、ありがとう。」

 イオリの言葉にナギは嬉しそうに頷いた。
 
 スコルの指示のもと子供達はテントを片付け街へ入る準備をした。
 列はどんどん進み、いよいよイオリ達の番になった。

「次!」

 門兵の呼び込みに馬車を進めた。

「身分証は?」

 門兵はポーレットとは違い必要以外話す気がなさそうだ。
 イオリ達はカードを出すと説明した。

「ダンジョンから出てきたら後の男達に襲われたんで、捕まえたんです。
 どうしたらいいですか?」

 ガタイは良いが身長は低いドワーフの門兵は馬車をジャンプして覗くとイオリ達を見上げた。

「アレか?ギルド協会から連絡があった。
 報告はきてる。預かろう。
 Sランクの冒険者にしては若いな。
 冒険者ギルドは街へ入って最初のエリアを左から3つ目の穴を進むとある。
 馬車は入れないから最初のエリアで置いていってくれ。
 Sランクからは金は取らない。子供も一緒に入って良いぞ。」

 門兵のドワーフは簡潔に説明すると道を開けてくれた。
 イオリ達を襲撃未遂をした冒険者達はすでに他の門兵により下ろされ、石や岩など関係なく引きずられていった。

「スミマセン。あの人達の馬は開放してしまいました。」

 入る時に慌てて報告すると門兵は手をあげて答えた。

 最初のエリアは広く高く掘られていて、多くの人が街へ入る準備をしていた。
 馬車置き場近くで馬車から降りると、ドワーフの男が近づいてきて声をかけてきた。

「馬車停めるか?銀貨1枚だ。」

「イベントリあるんでしまっちゃいます。少し場所貸してください。」

「そうか、邪魔にならなきゃいいぞ。
 馬はどうする?」

「この子小さくなるんで一緒に入ります。大丈夫ですよね?」

 ドワーフは眉間にシワを寄せた。
 イオリ達がハーネスを外しアウラが小さくなると納得したように頷いた。

「バトルホースか、この大きさならいいぞ。
 大きいままだと住人しか許されてないんだ。
 珍しいもんをみた。
 じゃあ、アンティティラを楽しんでくれ。」

 すぐに別の旅人に声をかけにいった。

「ドワーフさんって、カサドさんみたいかと思ったけど大人しいね。」

 イオリも笑いながら頷いた。

「出会った人は2人だけだけど、親切だったね。
 怒ったら怖そうだけど。」

 あははは。子供達も笑い声をあげた。

「さぁ、冒険者ギルドに向おう。」

 イオリは肩にのり首にもたれかかったソルを指で撫でて左から3つ目の穴に向かった。


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