64 / 472
美食の旦那さん
137
しおりを挟む
朝
「「ねー。イオリ?」」
双子の呼ぶ声でイオリは振り返った。
双子はまだ、眠そうな顔を擦ると身支度を終わらせたイオリにしがみついてきた。
「今日はバンデちゃんと遊んでいい?」
スコルが見上げながら聞いてきた。
ベットにいたナギも何処かソワソワと見つめている。
「今日は朝一番で冒険者ギルドに行かなきゃいけないから、帰ったら遊んでいいかクリストフさんに聞いてみよう。
テオさんの邪魔にならなかったら遊ばせてもらおう。」
「「「うん!!」」」
子供達も朝の身支度を始めテントを出るとアウラのブラッシングを始めた。
イオリはその間に土鍋で米を炊き、浅漬けと豚汁の用意をした。
厚焼き卵を焼き、浅漬けきゅうりをそえてテーブルに並べた。
炊けた白米をおにぎりにして何個も作っていく。
『おはよう・・・』
まだフラフラしているゼンがイオリに甘える。
「おはよう。昨日はお疲れ様。
今日はギルドに行って、午後は休みにするからゼンもブラッシングしてあげるね。」
ゼンは眠そうな目をアウラに向け子供達がブラッシングしているのを見ると嬉しそうに頷いた。
おにぎりは子供達にも好評でイオリは嬉しかった。
「鮭と海苔が欲しいな・・・。」
塩むすびも好きだがイオリは鮭の入ったおにぎりが好きだった。
「海の街もいいなぁ・・・。」
「うみ?」
イオリの呟きにナギが不思議そうに見てきた。
「そう、海。池はわかるかい?」
「・・・ご本で見たよ。」
ナギはしばし考えると答えた。
「水溜りは?」
「うん!」
この頃には双子とゼンも興味深そうに聞いていた。
「すっごく大きな水溜りなんだ。
魔の森の魔獣は歩いたり走ったりするだろう?
海の生き物は泳ぐんだ。」
「泳ぐ?・・・不思議。」
「そうだね。不思議だね。
いつか見にいこう。」
「「「うん!」」」
朝食を終えてギルドに向かうため出発するとクリストフが庭師のボーに頼んで花を摘んでもらっていた。
「おはようございます。」
イオリ達が挨拶をすると2人はニッコリと微笑んだ。
「ギルドに行かれるのですか?」
「はい。昨日の報告と報酬を貰いに。」
「恐らくギルドは忙しくしているでしょうからお気をつけて・・・。
討伐に参加してないのに報酬をねらう不届き者もおりますので。」
「分かりました。ありがとうございます。」
クリストフの忠告に気を引き締めていたイオリの袖をスコルがツンツンと引っ張った。
イオリはクスリッと笑うとクリストフに聞いた。
「今日はテオさんにお時間はありますか?
子供達がバンデに会いたがっているんです。」
クリストフは微笑んで頷いた。
「午後のお茶の時間にお時間をいただきましょう。
旦那様もバンデ様もお喜びになるでしょう。」
「「「わーい!」」」
子供達の喜ぶ声が裏庭に響いた。
街に降りて行くといつもと違って雑然とした風景だった。
所々で二日酔いの大人達が転がっていた。
『ボク嫌いな匂い!』
「ヒンッ!」
従魔2匹が顔をしかめた。
噴水広場に出て冒険者ギルドに行こうとしたがイオリは足を止め教会を見上げた。
「ギルドの前に教会に行っていいかな?」
頷く子供達と共にイオリは教会の分厚い扉を押した。
教会のホールの所々で眠ったり唸ったりする人達の間を教会の代表エドバルドが行き来していた。
イオリ達に気付くとエドバルドは満面の笑みを浮かべた。
「おはようございます。
なんだか忙しいそうですね。
お祈りをしに来たのですが後でにします。」
「いいえ。遠慮なさらずどうぞ。
この方達はスタンビートではなく昨夜の宴で帰り損ねたり、二日酔いで軽いポーションを求めにきた方達です。
ここまでなるのなら、お酒を飲むのをやめればいいと思うですが人は貪欲なものです。」
苦笑するエドバルドについて行くと祭壇まで歩いていく。
「昨日はお疲れ様でした。
ポーレットを救ってくれて何とお礼を言ったらいいか。」
「俺の力だけじゃないです。冒険者や騎士団の力です。
それと・・・。かの森の主が人を信じてくれたからです。」
そう言うイオリにエドバルドは神妙な顔で頷いた。
「さぁ、ごゆっくりどうぞ。
お子さん達もお疲れ様でした。
ありがとう。」
エドバルドに褒められ子供達は照れていた。
イオリが膝をつき祈りを捧げるといつもの通り光に包まれ祭壇には虹色の髪の男性が微笑んでいた。
『お久しぶりです。相沢さん。』
「「ねー。イオリ?」」
双子の呼ぶ声でイオリは振り返った。
双子はまだ、眠そうな顔を擦ると身支度を終わらせたイオリにしがみついてきた。
「今日はバンデちゃんと遊んでいい?」
スコルが見上げながら聞いてきた。
ベットにいたナギも何処かソワソワと見つめている。
「今日は朝一番で冒険者ギルドに行かなきゃいけないから、帰ったら遊んでいいかクリストフさんに聞いてみよう。
テオさんの邪魔にならなかったら遊ばせてもらおう。」
「「「うん!!」」」
子供達も朝の身支度を始めテントを出るとアウラのブラッシングを始めた。
イオリはその間に土鍋で米を炊き、浅漬けと豚汁の用意をした。
厚焼き卵を焼き、浅漬けきゅうりをそえてテーブルに並べた。
炊けた白米をおにぎりにして何個も作っていく。
『おはよう・・・』
まだフラフラしているゼンがイオリに甘える。
「おはよう。昨日はお疲れ様。
今日はギルドに行って、午後は休みにするからゼンもブラッシングしてあげるね。」
ゼンは眠そうな目をアウラに向け子供達がブラッシングしているのを見ると嬉しそうに頷いた。
おにぎりは子供達にも好評でイオリは嬉しかった。
「鮭と海苔が欲しいな・・・。」
塩むすびも好きだがイオリは鮭の入ったおにぎりが好きだった。
「海の街もいいなぁ・・・。」
「うみ?」
イオリの呟きにナギが不思議そうに見てきた。
「そう、海。池はわかるかい?」
「・・・ご本で見たよ。」
ナギはしばし考えると答えた。
「水溜りは?」
「うん!」
この頃には双子とゼンも興味深そうに聞いていた。
「すっごく大きな水溜りなんだ。
魔の森の魔獣は歩いたり走ったりするだろう?
海の生き物は泳ぐんだ。」
「泳ぐ?・・・不思議。」
「そうだね。不思議だね。
いつか見にいこう。」
「「「うん!」」」
朝食を終えてギルドに向かうため出発するとクリストフが庭師のボーに頼んで花を摘んでもらっていた。
「おはようございます。」
イオリ達が挨拶をすると2人はニッコリと微笑んだ。
「ギルドに行かれるのですか?」
「はい。昨日の報告と報酬を貰いに。」
「恐らくギルドは忙しくしているでしょうからお気をつけて・・・。
討伐に参加してないのに報酬をねらう不届き者もおりますので。」
「分かりました。ありがとうございます。」
クリストフの忠告に気を引き締めていたイオリの袖をスコルがツンツンと引っ張った。
イオリはクスリッと笑うとクリストフに聞いた。
「今日はテオさんにお時間はありますか?
子供達がバンデに会いたがっているんです。」
クリストフは微笑んで頷いた。
「午後のお茶の時間にお時間をいただきましょう。
旦那様もバンデ様もお喜びになるでしょう。」
「「「わーい!」」」
子供達の喜ぶ声が裏庭に響いた。
街に降りて行くといつもと違って雑然とした風景だった。
所々で二日酔いの大人達が転がっていた。
『ボク嫌いな匂い!』
「ヒンッ!」
従魔2匹が顔をしかめた。
噴水広場に出て冒険者ギルドに行こうとしたがイオリは足を止め教会を見上げた。
「ギルドの前に教会に行っていいかな?」
頷く子供達と共にイオリは教会の分厚い扉を押した。
教会のホールの所々で眠ったり唸ったりする人達の間を教会の代表エドバルドが行き来していた。
イオリ達に気付くとエドバルドは満面の笑みを浮かべた。
「おはようございます。
なんだか忙しいそうですね。
お祈りをしに来たのですが後でにします。」
「いいえ。遠慮なさらずどうぞ。
この方達はスタンビートではなく昨夜の宴で帰り損ねたり、二日酔いで軽いポーションを求めにきた方達です。
ここまでなるのなら、お酒を飲むのをやめればいいと思うですが人は貪欲なものです。」
苦笑するエドバルドについて行くと祭壇まで歩いていく。
「昨日はお疲れ様でした。
ポーレットを救ってくれて何とお礼を言ったらいいか。」
「俺の力だけじゃないです。冒険者や騎士団の力です。
それと・・・。かの森の主が人を信じてくれたからです。」
そう言うイオリにエドバルドは神妙な顔で頷いた。
「さぁ、ごゆっくりどうぞ。
お子さん達もお疲れ様でした。
ありがとう。」
エドバルドに褒められ子供達は照れていた。
イオリが膝をつき祈りを捧げるといつもの通り光に包まれ祭壇には虹色の髪の男性が微笑んでいた。
『お久しぶりです。相沢さん。』
1,321
お気に入りに追加
18,186
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。