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美食の旦那さん
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『何するの?』
イオリと木々の中に戻ってきたゼンは不思議そうに首を傾けた。
「ちょっと考えてた事があって、ヨーグルトに合うんだよね。
手っ取り早く作るからゼンに力を貸して欲しいんだ。」
イオリは早速、腰バックからコンロと鍋を出した。
鍋の蓋の開けて見せるとゼンは花が舞うような笑顔を見せて尻尾をブンブンと振った。
『何これ!何これ!絶対に美味しいじゃん!』
「フフン。でしょう?楽しみに待ってて。」
イオリは鍋をコンロの火にかけるとクツクツと煮ていった。
暫くすると火から降ろしゼンに氷と風魔法で冷やしてもらいパウロ&カーラで買った小さい蓋付きの陶器でできた小鉢に入れ替え、ゼンにニッコリ笑った。
「出来たよ。皆んなのところに戻ろうか。」
いい匂いをさせたイオリの隣をゼンは尻尾どころかお尻をフリフリしながら歩いた。
「お待たせしました!」
ガゼボの中は話が尽きないのか賑やかだった。
「「何?何を作ったの?」」
双子は待ちきれないと体を揺らして催促した。
「待って。待って。
クリストフさん。モーナさん手伝って下さい。」
2人はすぐさま行動した。
瓶に入ったヨーグルトを小さい皿に移しスプーンを添えてオルガ夫人に出してもらった。
「「「ヨーグルト!」」」
「ヨーグルト?何です?」
子供達の興奮した声にオルガは驚いた。
「ヨーグルトと言いまして、牛の乳から出来る料理にも使えるデザートです。
先ずはお召し上がりください。酸っぱいですよ。」
オルガは少しスプーンに乗せて舐めると顔を歪めた。
「確かに酸っぱいわ。本当にデザートなの?」
イオリは蓋を外してクリストフに小鉢を渡した。
「スプーン2杯程入れて下さい。」
クリストフはオルガの皿に言われた通りに入れた。
「ヨーグルトだけでは酸っぱいので甘い物と足すんです。
牧場では砂糖と蜂蜜で試してもらいましたが、今日はベリーソースを作ってみました。」
ニッコリ笑うイオリに促されオルガ夫人はベリーソースがかかっているヨーグルトを再び口にした。
「んーーー!まぁまぁまぁ。
なんて美味しいの?!ベリーソースの甘酸っぱさとヨーグルトがよく合うわ!」
オルガの言葉に目をキラキラさせた子供達は自分もと主張して手をあげる。
それをクリストフと侍女頭モーナが取り分け差し出してくれた。
「ベリーソースを煮詰めるとジャムといって、もっと濃厚なものが出来ます。
ジャムは少し炙ったパンにつけて食べたり甘さを控えたクッキーなどに合うんです。
果実なら何でも出来ますよ。お好みの果実と砂糖で料理長さんに作ってもらって下さい。」
「果実だけでも甘いのに砂糖で煮るとこんなに美味しいなんて。
イオリさん。私コレ好きだわ!」
「お気に召して良かったです。」
2人の会話の間も子供達は嬉しそうにヨーグルトを食べていた。
「「美味しい!蜂蜜も好きだけどコレも好き!」」
「ナギもー」
喜ぶ子供達を見てイオリは微笑んだ。
「今回、牧場に行って見つけた宝はヨーグルトです。
牛の乳が固まった物ですがチーズと違います。
俺の故郷では今のようにして食べていました。
ヨーグルトは腸の働きを良くして美肌にも良いんです。
ただ沢山食べすぎるとお腹を下してしまうので注意が必要です。」
「美肌!!素敵!」
「ヨーグルトは乳屋の家族も出来るのは時折と言っていました。
たまたま出来ていたんです。
でも、ヨーグルトの量産は可能なので初めは希少価値を出して貴族の皆さんに食べてもらい、その後一般流通を目指そうと考えています。」
初めは美肌に釣られたオルガもイオリの言っている事がわかるとニッコリ頷いた。
「私の茶会で出せばいいのね?
手に入りづらい商品だと。」
「仰る通りです。先ずはニコライさんが1樽購入されていましたので後ほどバートさんがお持ちする思いますよ。」
オルガ夫人はニッコリと頷いた。
ヨーグルトは瞬く間に貴族や富裕層に人気になるのだが手に入りづらく一般流通まで時間を有した。
しかし、それに伴う果実のソース・ジャムの流通が早かった。
安い果物、砂糖で作れるそのレシピにより砂糖の広がりが早まったと言われている。
一方、その頃ニコライ・ヴァルト兄弟はにこやかな顔で応対するラモン家当主スティーグ・ラモンに冷たい目を向けているところだった。
イオリと木々の中に戻ってきたゼンは不思議そうに首を傾けた。
「ちょっと考えてた事があって、ヨーグルトに合うんだよね。
手っ取り早く作るからゼンに力を貸して欲しいんだ。」
イオリは早速、腰バックからコンロと鍋を出した。
鍋の蓋の開けて見せるとゼンは花が舞うような笑顔を見せて尻尾をブンブンと振った。
『何これ!何これ!絶対に美味しいじゃん!』
「フフン。でしょう?楽しみに待ってて。」
イオリは鍋をコンロの火にかけるとクツクツと煮ていった。
暫くすると火から降ろしゼンに氷と風魔法で冷やしてもらいパウロ&カーラで買った小さい蓋付きの陶器でできた小鉢に入れ替え、ゼンにニッコリ笑った。
「出来たよ。皆んなのところに戻ろうか。」
いい匂いをさせたイオリの隣をゼンは尻尾どころかお尻をフリフリしながら歩いた。
「お待たせしました!」
ガゼボの中は話が尽きないのか賑やかだった。
「「何?何を作ったの?」」
双子は待ちきれないと体を揺らして催促した。
「待って。待って。
クリストフさん。モーナさん手伝って下さい。」
2人はすぐさま行動した。
瓶に入ったヨーグルトを小さい皿に移しスプーンを添えてオルガ夫人に出してもらった。
「「「ヨーグルト!」」」
「ヨーグルト?何です?」
子供達の興奮した声にオルガは驚いた。
「ヨーグルトと言いまして、牛の乳から出来る料理にも使えるデザートです。
先ずはお召し上がりください。酸っぱいですよ。」
オルガは少しスプーンに乗せて舐めると顔を歪めた。
「確かに酸っぱいわ。本当にデザートなの?」
イオリは蓋を外してクリストフに小鉢を渡した。
「スプーン2杯程入れて下さい。」
クリストフはオルガの皿に言われた通りに入れた。
「ヨーグルトだけでは酸っぱいので甘い物と足すんです。
牧場では砂糖と蜂蜜で試してもらいましたが、今日はベリーソースを作ってみました。」
ニッコリ笑うイオリに促されオルガ夫人はベリーソースがかかっているヨーグルトを再び口にした。
「んーーー!まぁまぁまぁ。
なんて美味しいの?!ベリーソースの甘酸っぱさとヨーグルトがよく合うわ!」
オルガの言葉に目をキラキラさせた子供達は自分もと主張して手をあげる。
それをクリストフと侍女頭モーナが取り分け差し出してくれた。
「ベリーソースを煮詰めるとジャムといって、もっと濃厚なものが出来ます。
ジャムは少し炙ったパンにつけて食べたり甘さを控えたクッキーなどに合うんです。
果実なら何でも出来ますよ。お好みの果実と砂糖で料理長さんに作ってもらって下さい。」
「果実だけでも甘いのに砂糖で煮るとこんなに美味しいなんて。
イオリさん。私コレ好きだわ!」
「お気に召して良かったです。」
2人の会話の間も子供達は嬉しそうにヨーグルトを食べていた。
「「美味しい!蜂蜜も好きだけどコレも好き!」」
「ナギもー」
喜ぶ子供達を見てイオリは微笑んだ。
「今回、牧場に行って見つけた宝はヨーグルトです。
牛の乳が固まった物ですがチーズと違います。
俺の故郷では今のようにして食べていました。
ヨーグルトは腸の働きを良くして美肌にも良いんです。
ただ沢山食べすぎるとお腹を下してしまうので注意が必要です。」
「美肌!!素敵!」
「ヨーグルトは乳屋の家族も出来るのは時折と言っていました。
たまたま出来ていたんです。
でも、ヨーグルトの量産は可能なので初めは希少価値を出して貴族の皆さんに食べてもらい、その後一般流通を目指そうと考えています。」
初めは美肌に釣られたオルガもイオリの言っている事がわかるとニッコリ頷いた。
「私の茶会で出せばいいのね?
手に入りづらい商品だと。」
「仰る通りです。先ずはニコライさんが1樽購入されていましたので後ほどバートさんがお持ちする思いますよ。」
オルガ夫人はニッコリと頷いた。
ヨーグルトは瞬く間に貴族や富裕層に人気になるのだが手に入りづらく一般流通まで時間を有した。
しかし、それに伴う果実のソース・ジャムの流通が早かった。
安い果物、砂糖で作れるそのレシピにより砂糖の広がりが早まったと言われている。
一方、その頃ニコライ・ヴァルト兄弟はにこやかな顔で応対するラモン家当主スティーグ・ラモンに冷たい目を向けているところだった。
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