異世界でネコとして人生を謳歌します。

2異世界でネコとしての一歩を踏み出します。

2-7異世界でネコになりましたが、ベッド下でのたうち回ってます。

カナが絶叫している間に、父親は涙し、侍女は母親を呼びに行きと慌ただしく周りが動いていく。

カナは発動しなくても良い時に発動した、「幸運スキル」を恨んでいた。


（今のいままでスキルの存在感ゼロだったのに、どうしてこういう場面で発動しちゃうのよ！）


頭を抱えた格好でのたうち回り、ごろごろと床を転がってベッド下へと潜り込む。

令嬢として過ごしている間に発動しなかったことを、吉ととるか凶ととるか。


（今まさに凶となっている気がしなくもないけれど……。
驚異となる人物が近づいてきていることを知ることが出来たと考えれば、吉なのだろうか……）


人目を忍んで、もんもんと現状の打開策はないかと頭を悩ませる。


ネコ化が解かれる方法は２つ。


１つはカナ自身が人間に戻りたいと願った時。
これはネコとなった今でもカナ自身が人間に戻りたいと思っていないから、解呪の条件を満たさない。

もう１つは他人がネコ化を解くというもの。
今まさに直面しているのは、こちらの問題だ。
神様に埋め込まれた呪いだから、そう簡単には解けないと思いたい。
一応身近にいた魔法使いには解けなかったことから、解呪はある程度困難であることが推測できる。

ただ、カナはこの魔法使いがどれほどの力量の持ち主かを知らない。
もしもこの魔法使いがへっぽこの使い手だった場合、他の魔法使いが来た時点でアウトだ。


「報告ご苦労だったな。
世界最高峰の魔法使いが到着したら、貴殿も同席してくれ。
魔法の心得を持つもの同士の方が話が早いだろう」


いまだ涙声の父親が、そう魔法使いに指示をとばす。


「おおせのままに」


父親と屋敷お抱えの魔法使いがそんなやりとりをしている中、バタバタと廊下が急に騒がしくなった。


「例の魔法使いが見つかったというのは本当なの！？」


魔法使いの時と負けず劣らず「バァン！」と大きな音を立てて扉が開かれたかと思えば、母親の叫びに近い声が部屋に響いた。


「ふにゃあ！！」


急に大きな音が響いたことで、カナは一気にもんもんとした思考から現実に引き戻され、反射的に身体を飛び上がらせた。


しかしここはベッドの下。


「ゴンッ」と、ベッドの枠に頭をしたたかに打ち付け、あまりの痛さにベッド下でごろごろと違う意味でのたうち回る羽目になった。