異世界でネコとして人生を謳歌します。

2異世界でネコとしての一歩を踏み出します。

2-3異世界でネコになりましたが、呪いの解き方が早々に発見されそうです。

こちらがくしゃみとの攻防をしている間に、話し合いは進んでいく。


「……何か、わかったのか？
魔法使いである貴殿なら、カナのその呪いとやらを解くことができるんだろう？」


くしゃみとの攻防にようやく打ち勝ったところに聞こえてきた気になる単語に、カナの耳がピンと立った。


（呪い……解けちゃうの？？？？）


せっかく3年の我慢を経てネコにようやくなれたというのに？


まだネコとしての生活を露ほども過ごしていないというのに、呪いを解かれるなんて冗談じゃない。

父親が必死に訴えてくれているというのは、さすがのカナも少し心が痛まなくもない。

が、私はネコとして過ごしていたいのだ。

と思うとやっぱり、心穏やかでいられないわけで。

カナはピンッと耳を立てたまま、用心深く部屋をのぞき込んだ。
ローブの裾をあまり視界に入れないように気をつけながら、きょろきょろと部屋の様子をうかがってみる。

白衣でうなだれるように頭を下げたままの男と、誘惑の布地を身につけているローブの男。
自分の父親である人物の3人が部屋にいるようだ。


「申し訳ございません。
私の手に終えるものではないと思われます」


「君は魔法使いだろ？何とかしたまえ！」


なるほど、父親から怒鳴られているローブの男がどうやら魔法使いであるらしい。
ということは、白衣の男は医師なのだろう。

カナが寝入る前に医師と魔法使いが呼ばれていた気がするし、風貌からもそう推測できそうだ。


「申し訳ありません。
まだ詳しいことまでは分からないのですが、おそらく相当高度な呪いのようで……。
埋め込まれた術式が見たこともないものでした」


「……何とか、ならないのか？」


「お時間をいただければ、もしかしたら解呪の手がかりがつかめるかもしれません。
ですが、先ほど申し上げましたとおり、私だけでは解呪は難しいと」


『……』


沈黙が部屋を支配する。

ぐっと拳を握る父親の姿に申し訳ないと思いながらも、そう簡単に解呪ができないことが判明し、私はほっと胸をなで下ろした。


「ですが、もしかしたら世界最高峰と言われる魔法使いであれば、お嬢様にかかった呪いを解くことができるかもしれません」


（何ですと！？？？？）


魔法使いの口から放たれた恐ろしすぎる可能性に、カナは思わず身を乗り出した。