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6真っ赤なドラゴンの秘密 ドラゴン音声ほんやく機のテストをしてみよう

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「博士、これって何か別の生き物で試してみることは出来ないですかね?」


未だに興味が音声ほんやく機から離れそうにない博士に、私はそう切り込んだ。

できればドラゴンよりも先に、テストで音声ほんやく機を使ってみることができないかと考えていたのだ。


「そうだな、ドラゴンはウロコが特徴的だから、もしかしたら『は虫類』なんかだと応用がきくかもしれんな。
ワニがいたら良かったんだが、残念ながらまだこの研究所にはワニはおらんでな」


「いたらちょっと怖いですよ。トカゲは博士の研究所にも確かたくさんいましたよね」


「おぉ、いるぞ。どれ、ちょっと連れてこようか」


 しばらく待っていると、博士が一匹の大きな生き物を肩にのせて連れてきてくれた。
どうやらかなり博士になついているようで、逃げる気配もなくぴったりと寄り添うように肩にのっていた。


「ほれ、うちの研究所の中で一番大きなかわいい子じゃ」


「……これは、トカゲですか?あの、イグアナ的な感じ見えるのですが」


 遠くに小さく見えていた時から思っていたのだが、明らかに見た目がトカゲではない。

全体的にトゲトゲしいているトカゲを私は見たことがなかった。 


「そうそう、イグアナじゃよ。ドラゴンは『は虫類』に近いだろう、たぶん。トカゲよりも見た目がドラゴンに近い『は虫類』で試した方が良いと思っての。ささ、音声ほんやく機を試してみよう」


「そうでした。では早速」


予定とは違う生き物だが、『は虫類』であることに変わりはない。
私はウキウキとイグアナにマイクの先を向け、ラッパを通して話しかけた。


「こんにちは」


まずはあいさつからと思って話しかけてみるが、クイッと首をひねったただけでイグアナからはそれ以上の反応は返ってこなかった。

机の上のタブレットの画面にもラッパから発した「こんにちは」と暗号のような文字しか並んでおらず、イグアナからの音声を拾えていないようだった。


「あれ、やっぱりドラゴンじゃないとダメなのかな? イグアナさん、好きな食べ物は何ですか?」


もう一度イグアナに向けて話しかけてみるけれど、ウンともスンとも返事がない。


あいかわらずタブレットの画面にもラッパから発した言葉が文字として並んでいるだけだった。


「博士、すみませんダメみたいです」


「そうか、残念じゃ……あぁ!」


肩をしょんぼりと落とした博士が、いきなり大声を上げたものだから、私は思わず飛び上がってしまった。
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