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11真っ赤なドラゴンの秘密 登山二日目

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ドラゴンの住みかへ向かって山を登り進めること二日目。

さすがに前日のつかれもあり、足取りがやや重くなっていた。

ただ昨日は見かけなかった鳥を見つけることができたことで、気持ちは少し上がっている。


「君たちが、きれいな夕日を教えてくれるのかい?」


 山に入ってからは当然のことながら人に会うことはない。

元々この山は地元の人は険しいからという理由で、登る人がそもそもいないそうだ。

人の手が入っていないせいか、道はほぼ獣道に近い。
そのせいか鳥たちも私の姿を見て逃げることはしなかった。

むしろ興味をもってくれたのか、時には木の枝いっぱいに止まった鳥たちを見ることもできた。


「パンは好きかな?」


お昼時。

もそもそとパンを食べていた私は、鳥たちにそう呼びかけてみた。

一人でさみしくお昼を食べるよりはと、試しにちぎったパンをまいてみると1羽また1羽と近づいてきてくれた。

楽しくなってさらにパンをまけば、たくさんの種類の鳥が私の周りを囲むように降りてきて一気ににぎやかになった。

青に黄色、白に赤色。色合いもにぎやかだ。


「わわ、そんなにあせらなくてもまだパンはあるから」


にぎやかにパンをついばむ様子がかわいくて、私は手元のパンをさらにちぎった。

「そうだ」といつぞや博士がしてみせてくれたように手のひらにパンをのせれば、思った通り手のひらから食べてくれる子があらわれた。


「ちょ、ちょっとくすぐったいって、ははは」


時々間違って私の手をついばむ子もいたけれど、あっという間にパンがなくなってしまった。

周りにまいたパンもすっかりと食べられてしまったようで、気づけばあんなに集まっていた鳥たちの姿は見えなくなっていた。


「……しまった、私のパンをほとんどあげてしまった」


あまりに楽しくてついつい調子にのってしまったらしい。

食べるはずだったパンの半分以上をうっかり鳥たちにごちそうしていた。


「まぁ、楽しめたからよしとしよう。いやぁ、かわいかった」


水を一口のどに流し込み、私はよいしょとリュックサックを背負いなおした。

夜までにもう少し上まで登っておかないと、明日頂上にたどりつけない恐れもある。

食料は少し余分があるけれど、早く着くにこしたことはない。


「がんばるぞ、おー」


一人気合いを入れ、私は再び獣道を上り始めた。
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