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12真っ赤なドラゴンの秘密 キレイな夕日
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お昼を食べてから四時間くらい経ったころだろうか。
少しずつ陽が落ち始める時間帯。
小さく開けた場所を見つけた私は、今日の登山を切り上げて野営の準備を始めていた。
テントをなんとか張り終えたところで、それは、本当にとつぜん始まった。
「ピリリ、ピリリ」
「ポーポー、ポーポー」
「チュチョッ、チュチョッ」
「キーコ、キーコ」
「チチチチチ、チチチチチ」
今私がいる場所よりも下の方で、鳥たちがいっせいに鳴き声をあげ始めたのだ。
あまりにもとつぜんの大合唱に何事かと思って辺りを見渡した私の目の前に、鳥たちの鳴き声の答えが映し出された。
「……」
言葉が出てこなかった。
けれど、私の目は、空に釘付けになっていた。
「……これは、たしかに人に教えたくもなるな」
地元の人たちが教えてくれた夕日。
本当にきれいだからと言っていたことがよく分かる。
赤に近い濃いオレンジ色が空と雲をしっかりと染め上げていた。
ずっと見ていたい景色。
そう思えるような光景だ。
しかし、それは長く見させてくれるものではなかったらしい。
ほんの少し目を離しただけだったのだが、次に見た時にはもう真っ赤に染まる夕日はそこにはなかった。
あるのは、よく見るオレンジ色の空に、ややオレンジに染まった雲だけ。
鳥の鳴き声もぴたりと止み、風が草木を揺らす音しか聞こえなくなっていた。
「……まぼろしの、夕日か」
私はぼぅっと空をながめていた。
けれど待ってみても、さっきのような赤い夕日に空と雲は染まってくれない。
そのままどんどんとオレンジ色が夜の色にのみこまれ、ついには星がまたたき始めた。
それでも空から目をはなすことが出来ずにいると、ぐぅーっとお腹が鳴る音があたりに響いた。
「……夜ご飯するか」
ついつい空から目がはなせずにいたことに苦笑いがこぼれた。
お昼ごはんは予定の半分しか食べていない。
お腹がぺこぺこなことに、お腹が鳴るまで気づかないなんて、よっぽどあの夕日に気持ちを奪われていたらしい。
「そうだよな、お腹へるよな」
自分のお腹の鳴き声にせかされながら、私は急いで夜ご飯の支度にとりかかった。
明日はドラゴンの取材の日だ。
しっかりと食べて寝て、明日にそなえないといけない。
少しずつ陽が落ち始める時間帯。
小さく開けた場所を見つけた私は、今日の登山を切り上げて野営の準備を始めていた。
テントをなんとか張り終えたところで、それは、本当にとつぜん始まった。
「ピリリ、ピリリ」
「ポーポー、ポーポー」
「チュチョッ、チュチョッ」
「キーコ、キーコ」
「チチチチチ、チチチチチ」
今私がいる場所よりも下の方で、鳥たちがいっせいに鳴き声をあげ始めたのだ。
あまりにもとつぜんの大合唱に何事かと思って辺りを見渡した私の目の前に、鳥たちの鳴き声の答えが映し出された。
「……」
言葉が出てこなかった。
けれど、私の目は、空に釘付けになっていた。
「……これは、たしかに人に教えたくもなるな」
地元の人たちが教えてくれた夕日。
本当にきれいだからと言っていたことがよく分かる。
赤に近い濃いオレンジ色が空と雲をしっかりと染め上げていた。
ずっと見ていたい景色。
そう思えるような光景だ。
しかし、それは長く見させてくれるものではなかったらしい。
ほんの少し目を離しただけだったのだが、次に見た時にはもう真っ赤に染まる夕日はそこにはなかった。
あるのは、よく見るオレンジ色の空に、ややオレンジに染まった雲だけ。
鳥の鳴き声もぴたりと止み、風が草木を揺らす音しか聞こえなくなっていた。
「……まぼろしの、夕日か」
私はぼぅっと空をながめていた。
けれど待ってみても、さっきのような赤い夕日に空と雲は染まってくれない。
そのままどんどんとオレンジ色が夜の色にのみこまれ、ついには星がまたたき始めた。
それでも空から目をはなすことが出来ずにいると、ぐぅーっとお腹が鳴る音があたりに響いた。
「……夜ご飯するか」
ついつい空から目がはなせずにいたことに苦笑いがこぼれた。
お昼ごはんは予定の半分しか食べていない。
お腹がぺこぺこなことに、お腹が鳴るまで気づかないなんて、よっぽどあの夕日に気持ちを奪われていたらしい。
「そうだよな、お腹へるよな」
自分のお腹の鳴き声にせかされながら、私は急いで夜ご飯の支度にとりかかった。
明日はドラゴンの取材の日だ。
しっかりと食べて寝て、明日にそなえないといけない。
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