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77話・判決(2)
しおりを挟む王太子と一緒に大きい扉の前で止まった。
この扉の先に義母と妹が待っている。
そう考えただけで、身震いがする。
私は少し深呼吸をして、思い切り扉を開けた。
部屋は見たこともないほど広く、机が沢山並んでいた。
奥の椅子には帝王様と皇妃様が座っている。
端の席には義母と妹が座っている傍にいつ呼ばれたのか父も座っていた。
父のことは半年ぶりぐらいに見るが、仕事が忙しいのか少し老けたように感じた。
私達が入ってきたのに気づいた義母は私を鋭く睨んでいたが、義母から視線を逸らし堂々と進んだ。
私と王太子が座ったのを見て、キリっとした視線で立っていたルークが口を開いた。
「只今から、ソフィー・ラスラーニャの虐待について判決を始める」
王太子の顔は堂々としていて、私自身もなんだか心が落ち着く。
私が、怯えている姿を見せてはいけないんだ。
私は背筋を伸ばした。
「それでは、ソフィー・ラスラーニャ発言をどうぞ」
私は遠くを見ながら立ち、口を開いた。
「私、ソフィー・ラスラーニャはセイラ・ラスラーニャに虐待されていました。叩かれたり、怒鳴られたりするのは日常茶飯事、酷いときは監禁させられていました」
私の発言にミレーナが手を挙げた。
「ミレーナ・へレニー、発言を許します」
ルークは手を挙げたミレーナを見た後そう告げる。
「私は、王太子様とソフィー様の依頼でラスラーニャ家のメイドをやっていたのですが、痣が出来るほどひどくたたいているのを見ました。それだけでなく、ソフィー様の自由は無いようでした」
皇帝様は私たちの発言を、手に顎を持っていきながら聞いていた。
「セイラ・ラスラーニャ、ソフィー・ラスラーニャを虐待していた、その事実を認めますか?」
証人もいるため、ここは頷くだろう、私はそう踏んでいたが義母は頷かなかった。
「認めないわ、ただ悪いことをした娘に教育をしていただけなのに、虐待だなんて言われるのは許せませんね」
義母は発言を許されているわけではないのに、勝手に話し始める。
帝王様は咳払いをした。
「セイラ・ラスラーニャ、どうしてそう言い切れる?」
義母は両手を机につき前のめりになった。
「貴方達こそどうして私が虐待したと言い切れるのかしら?この人達が嘘をついていない証拠は?」
沢山の人がいる前で私をビンタしたのに、認めないなんて。
義母は、いったい何を考えて……。
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