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48話・久しぶり
しおりを挟む私は暗闇の中でひっそりとしていた。
もう、随分甘いお菓子などを口に入れていないため、私はここに閉じ込められる前よりも痩せたような気がする。
メーリスは裏切るつもりじゃ無かった、と食事を渡す度に謝っていたが、今頃謝られても何も感じない上に、裏切られた時のショックが大きかったので、あまり本気には見えなかった。
それに、もう何でも良くなってしまった。
静かな部屋でする事もないし小さい頃に覚えた鼻歌を歌っていると、いきなり扉が開き明かりが差し込む。
扉をドンと開け、義母がやってきた。
久しぶりに見る。
義母は私を閉じ込めるなり、姿を表さなかったので私のことなんか忘れていると思っていたのに、何の用だろう。
私は気怠げに義母を見る。
義母は相変わらず、不満がありそうな顔で私に近づいた。
少し老けた?そんなことを思っていると義母がドシドシと歩いてくる。
「ソフィー、何故か知らないけれど、王様があなたを呼び出しているわ。何があったのかしらね」
義母は私に問うように喋る。
私は首を竦めた。
王様となんて面識はないし、呼び出された理由がわからない。
が、義母も王の命令には流石に背けないらしい。
これからは学業で忙しくなるので会えないと伝えてこい、と義母は言う。
学業で忙しいだけで会えないなんて、随分適当な言い訳だと思うけど。
もう、反論する気力すら起きないので、取り敢えず頷いた。
「もし、失敗したらどうなるか分かってるかしら?」
薄味の悪い表情で義母は笑った。
別に失敗しても、私は良い。
これ以上酷い扱いを受けても、それほど変わらないと思うからだ。
でも、王太子に迷惑は掛けたくない。
義母はいざとなったら、王太子の悪い噂を流すかもしれない。
王太子は優しいし、国をまとめる力もあるので、噂を流されても人々からの信頼を得て上手くやっていけるだろう。
でも、私のせいで一つ困り事が増えるのは嫌だ。
だから私は大人しくこの人の言うことを聞く。
義母は私の嫌味を言った後、私の服を引っ張り外に出す。
「さぁ、今日が最後の外に出られる日だと思いなさい。メーリス、せいぜいお洒落させてあげなさい」
メーリスは私の顔色を伺いながら、一つお辞儀をした。
「あ、あの。お嬢様……」
「はぁ、もう良いわよ、どうでも。さぁ、メーリスいつも通り目立たないドレスと髪型でお願い」
私はおどおどしているメーリスにため息を吐き、いつも通りの注文をした。
メーリスは少し私を見た後、返事をして準備に取り掛かった。
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