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13話・お茶会
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あれから一週間が経ち、今日が例のお茶会の日だった。
殿下と会った日から、私はお仕置きを受けている時と同じように一日中部屋で過ごしていた。
また誰かと会ってしまう可能性があるから、散歩には、外には出掛けたくなかったのだ。
殿下に会ってお茶会に誘われた事を義母に、
「お母様、先ほど王太子と偶然お会いしまして、その時に来週のお茶会に是非セキラを招待したいとおっしゃっていました」
と伝えたところ、此方もビックリするほどの笑顔を見せたのを思い出す。
そこまでされると逆に清々しく思ってしまう。
ちゃんと、妹が殿下と仲良くなってくれれば解決する話だ。
上手くやってもらうしかない。
私は少しため息をついた後。メーリスが淹れてくれたハーブティーで喉を潤す。
「メーリス、おいしいわ。ありがとう」
私は少し横を向いて近くで私を眺めている侍女にお礼を言った。
折角、お茶で心が浄化されたのに、タイミング悪くフリフリドレスを身に纏った妹が部屋に乗り込んでくる。
「お姉様!お姉様はお茶会に呼ばれなかったんですか?可哀想なので、使用人としてなら行かせてあげますよ?」
態々部屋にやって来て私に悪態をついてくる理由がわからない。
さっさとお茶会に行って仕舞えば良いのに。
それと、色々勘違いしている様だが、一応私も呼ばれていたのだ。
その事を話すつもりはないけど。
「そうですね、遠慮しておきます」
私は愛想笑いをして、少々無理矢理部屋の扉を閉めた。
親子揃って甲高い声を上げるのは辞めて欲しい。
五分ほどが経ち、騒がしかった屋敷がやっと静かになる。
私はすっかり冷めてしまったハーブティーに口を付けながら、窓から景色を眺めていた。
今頃、妹と殿下は楽しそうにお茶会でもしているのだろう。
私には関係ない。
だけど、今更行ってみればよかったと後悔するのは、一週間前に見た殿下の優しい笑顔のせいかもしれない。
花が咲いた様に笑う殿下。
変な人。
どうせ行ってもろくな事にならない。分かっているけど心の何処かでは、後悔している自分がいた。
「おかしいわ、きっと何かの間違いよ」
そのんな気持ちを認めたくなくて、殿下の笑顔を頭から消し去った。
「メーリス、今から散歩に行ってくるわ」
今行けば、殿下と会う事もないし、このモヤモヤとした気持ちを消し去ってしまうには散歩が一番だと思った。
私はメーリスに用意をしてもらい、お屋敷を出た。
殿下と会った日から、私はお仕置きを受けている時と同じように一日中部屋で過ごしていた。
また誰かと会ってしまう可能性があるから、散歩には、外には出掛けたくなかったのだ。
殿下に会ってお茶会に誘われた事を義母に、
「お母様、先ほど王太子と偶然お会いしまして、その時に来週のお茶会に是非セキラを招待したいとおっしゃっていました」
と伝えたところ、此方もビックリするほどの笑顔を見せたのを思い出す。
そこまでされると逆に清々しく思ってしまう。
ちゃんと、妹が殿下と仲良くなってくれれば解決する話だ。
上手くやってもらうしかない。
私は少しため息をついた後。メーリスが淹れてくれたハーブティーで喉を潤す。
「メーリス、おいしいわ。ありがとう」
私は少し横を向いて近くで私を眺めている侍女にお礼を言った。
折角、お茶で心が浄化されたのに、タイミング悪くフリフリドレスを身に纏った妹が部屋に乗り込んでくる。
「お姉様!お姉様はお茶会に呼ばれなかったんですか?可哀想なので、使用人としてなら行かせてあげますよ?」
態々部屋にやって来て私に悪態をついてくる理由がわからない。
さっさとお茶会に行って仕舞えば良いのに。
それと、色々勘違いしている様だが、一応私も呼ばれていたのだ。
その事を話すつもりはないけど。
「そうですね、遠慮しておきます」
私は愛想笑いをして、少々無理矢理部屋の扉を閉めた。
親子揃って甲高い声を上げるのは辞めて欲しい。
五分ほどが経ち、騒がしかった屋敷がやっと静かになる。
私はすっかり冷めてしまったハーブティーに口を付けながら、窓から景色を眺めていた。
今頃、妹と殿下は楽しそうにお茶会でもしているのだろう。
私には関係ない。
だけど、今更行ってみればよかったと後悔するのは、一週間前に見た殿下の優しい笑顔のせいかもしれない。
花が咲いた様に笑う殿下。
変な人。
どうせ行ってもろくな事にならない。分かっているけど心の何処かでは、後悔している自分がいた。
「おかしいわ、きっと何かの間違いよ」
そのんな気持ちを認めたくなくて、殿下の笑顔を頭から消し去った。
「メーリス、今から散歩に行ってくるわ」
今行けば、殿下と会う事もないし、このモヤモヤとした気持ちを消し去ってしまうには散歩が一番だと思った。
私はメーリスに用意をしてもらい、お屋敷を出た。
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