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7話・舞踏会(1)
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翌日、起きたばかりの私を椅子に座らせたメーリスは、今日の舞踏会用の服を着替えさせ、
ヘアアレンジをしてくれていた。
「お嬢様、どのような髪型になされますか?」
私よりも気分が上がっているメーリスを鏡越しで眺めながら、苦笑する。
「あまり、目立たない髪型でお願い」
王太子の命令じゃなければ、舞踏会なんて参加したくない。
でも、参加する事になってしまった以上は、目立たないように舞踏会が終わるのを待つしかない。
誰とも踊らないし、喋らない。
私は舞踏会に行く事になった日、そう決めていたのだ。
隅の方に立っていれば、誰も声をかけないだろう。
「でも、お嬢様……」
メーリスは私を着飾らせたいみたいだが、そんなの勘弁して欲しい。
どうせもう二度と出席する事はないだろうから。
「いいのよ、着飾らない方がみんなに好印象でしょ?」
私は引き下がらないメーリスを適当な言い訳で宥めて、ヘアアレンジをしてもらった。
「ありがとう、メーリス。充分可愛いわ」
私は微笑んでメーリスにお礼を告げた。
メーリスはニッコリ笑って手を振る。
「お嬢様、楽しんで来てくださいませ」
私はメーリスの笑顔を見た後、親の元へ向かった。
流石に、舞踏会に行くとみんなの目があるので、私一人で行きなさいとは言えず、今日は私も一緒の馬車に乗る事になったのだ。
正直、私は一人で行きたいのだが。
舞踏会の会場まで義母の文句を聞いているのは、酷く疲れるから。
私は少し義母と距離を取りつつお辞儀をした。
「お母様、支度が整いました」
義母は私の姿を見るなり、顔をしかめ、口を開いた。
「ちょっとぉ、ソフィーにしては可愛すぎじゃないかしら?此方の方が貴方にはお似合いよ。此方の方に着替えてきなさい」
妹は一緒になって頷いていた。
全身ピンクで、頭には沢山ヘア飾りがついていて重そうな妹よりは地味だと思うけど。
きっとアーニバルト公爵や、王太子に可愛く見てもらいたくて必死なのだろう。
私は、このまま喧嘩しても意味がないと思い、渡されたワンピースに大人しく着替える事にした。
「メーリス、度々ごめんなさい。これに着替え直すの手伝ってくれないかしら?」
メーリスは再び戻ってきた私に驚いたようだ。
「お母様にダメ出しされてしまって」
理由を説明しても、メーリスは浮かない顔をしていた。
「お嬢様、舞踏会で流石に真っ黒のドレスは無いと思いますよ」
心配そうな顔をしているメーリスの肩にそっと触れる。
「いいじゃない?きっと、お母様も私には黒が似合うと思って渡して下さったのよ。さぁ、時間がないから急がないとね」
心にもない事を口にしながらメーリスを急かした。
私も義母にドレスを渡された時は正直、ビックリした。
黒いドレスを着てやってくる令嬢なんて居ないだろうから。
でも義母の嫌がらせにはもう慣れている。
抵抗するのも時間の無駄だ。
彼女がやりたい様にさせとけば、満足する話だ。
私は全身真っ黒のワンピースを見に纏った後、再びメーリスにお礼を言って、部屋を出た。
着替えた私の姿に義母は満足した様子で、「可愛いセキラちゃんの足を引っ張らない様に、立場を弁えなさいね」と耳元で呟き軽い足取りで馬車に乗って行った。
私は、令嬢らしさの欠片もなく足を大きく開いて歩いている妹を横目で眺めながら、馬車に乗った。
ヘアアレンジをしてくれていた。
「お嬢様、どのような髪型になされますか?」
私よりも気分が上がっているメーリスを鏡越しで眺めながら、苦笑する。
「あまり、目立たない髪型でお願い」
王太子の命令じゃなければ、舞踏会なんて参加したくない。
でも、参加する事になってしまった以上は、目立たないように舞踏会が終わるのを待つしかない。
誰とも踊らないし、喋らない。
私は舞踏会に行く事になった日、そう決めていたのだ。
隅の方に立っていれば、誰も声をかけないだろう。
「でも、お嬢様……」
メーリスは私を着飾らせたいみたいだが、そんなの勘弁して欲しい。
どうせもう二度と出席する事はないだろうから。
「いいのよ、着飾らない方がみんなに好印象でしょ?」
私は引き下がらないメーリスを適当な言い訳で宥めて、ヘアアレンジをしてもらった。
「ありがとう、メーリス。充分可愛いわ」
私は微笑んでメーリスにお礼を告げた。
メーリスはニッコリ笑って手を振る。
「お嬢様、楽しんで来てくださいませ」
私はメーリスの笑顔を見た後、親の元へ向かった。
流石に、舞踏会に行くとみんなの目があるので、私一人で行きなさいとは言えず、今日は私も一緒の馬車に乗る事になったのだ。
正直、私は一人で行きたいのだが。
舞踏会の会場まで義母の文句を聞いているのは、酷く疲れるから。
私は少し義母と距離を取りつつお辞儀をした。
「お母様、支度が整いました」
義母は私の姿を見るなり、顔をしかめ、口を開いた。
「ちょっとぉ、ソフィーにしては可愛すぎじゃないかしら?此方の方が貴方にはお似合いよ。此方の方に着替えてきなさい」
妹は一緒になって頷いていた。
全身ピンクで、頭には沢山ヘア飾りがついていて重そうな妹よりは地味だと思うけど。
きっとアーニバルト公爵や、王太子に可愛く見てもらいたくて必死なのだろう。
私は、このまま喧嘩しても意味がないと思い、渡されたワンピースに大人しく着替える事にした。
「メーリス、度々ごめんなさい。これに着替え直すの手伝ってくれないかしら?」
メーリスは再び戻ってきた私に驚いたようだ。
「お母様にダメ出しされてしまって」
理由を説明しても、メーリスは浮かない顔をしていた。
「お嬢様、舞踏会で流石に真っ黒のドレスは無いと思いますよ」
心配そうな顔をしているメーリスの肩にそっと触れる。
「いいじゃない?きっと、お母様も私には黒が似合うと思って渡して下さったのよ。さぁ、時間がないから急がないとね」
心にもない事を口にしながらメーリスを急かした。
私も義母にドレスを渡された時は正直、ビックリした。
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でも義母の嫌がらせにはもう慣れている。
抵抗するのも時間の無駄だ。
彼女がやりたい様にさせとけば、満足する話だ。
私は全身真っ黒のワンピースを見に纏った後、再びメーリスにお礼を言って、部屋を出た。
着替えた私の姿に義母は満足した様子で、「可愛いセキラちゃんの足を引っ張らない様に、立場を弁えなさいね」と耳元で呟き軽い足取りで馬車に乗って行った。
私は、令嬢らしさの欠片もなく足を大きく開いて歩いている妹を横目で眺めながら、馬車に乗った。
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