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第二幕
第25話 師と弟子
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平凡に暮らしていた少女が実は王族の娘だった。という映画を観たことがある。こういったネタは使い古されたモノだ。
最初こそは主人公は衝撃の事実に戸惑うが、貧しい生活から華々しい世界へ移った事によって幸福度が高まってゆく。そんな御伽噺。
僕も幼い頃は「ヒーローになって悪と戦うんだ!」と信じてやまなかったり、「もしも勇者の血が流れていたら」と冒険譚に胸躍らせて想像したものだ。しかし歳を重ねるごとにそれは夢物語なのだと気がつく。
現代には世界征服を企む悪も、倒すべき魔王もいないのだから。
だが僕の目の前には片膝をついて頭を垂れる男性が一人。ロングコートの裾が床に広がっている。まるで忠誠を誓う騎士のよう。乙女ならこの状況に頬を染めて胸の高鳴りを感じていたに違いない。
騎士を目の前にした僕が顔を顰める理由は、僕には甘言を囁く道化に見えていたからだ。
象牙色の柔らかな髪が揺れる。左目を覆い隠す前髪の隙間から赤い瞳が覗いた。
「オズの子。よく考えてくれないか。魔法が著しく衰退してゆく昨今において、かの大魔法使いオズヴァルトの魂を持つキミは我々の────否、世界を揺るがす存在だ。私たちにとっての希望こそがオズの子である進堂真帆という一人の少年なんだ。キミは自覚するべきだ。自分は特別な存在なのだと。そして己の運命はこの世に生を受けた瞬間から決まっていたのだとね 」
まるで映画で観たような展開じゃないか。突如現れた騎士が、勇者となる運命を定められた主人公を説得する場面のよう。
だけど僕の心は揺るぎないものだった。
僕が肩を抱いている人物は膝を折って俯いている。その場から存在を消すかのように縮こまり、呼吸さえしていないのではないかと思うほどに微動だにしない。沈黙のまま時が過ぎるのを待っているようにも見える。僕はこの人を守らなければならない。
「九十九さん。私怨で人を傷つけるようなあなたの弟子になりたいとは僕は思いません。帰ってもらえますか」
すると片膝をついていた騎士──九十九暁は立ち上がり、赤い眼光が僕を貫く。
「私怨だと?断罪してやったまでだ。魔法使いが自らの魔力の資質を偽るなど愚かで浅ましい。そいつは考え直すべきだ。オズの子のためにもな」
九十九はコートをひるがえし、魔香堂の扉を開けた。
「オズの子を思うのなら最善を考えろ。貴様にできる答えは一つだけだ」
そう言い残し、彼は去っていった。
まるで嵐だ。嵐が去ったあとは静寂と荒れた地だけ。
僕は即座に鳥羽さんへ治癒魔法をかける。切れた耳朶は血を流し痛々しい有様だったが、ゆっくりと治癒されてゆく。
「大丈夫ですか?」
「………………」
悪夢でも見たかのような顔をしている。こんなにも顔色が悪い鳥羽さんは初めて見た。
床に転がる赤いピアスを拾い上げ、鳥羽さんの手のひらに乗せてやる。
「少し休んで下さい。今日はお店も閉めましょう」
鳥羽さんから離れるとドアプレートを裏返して「CLOSE」とした。流石に営業ができる状況ではない。
ピアスを握りしめたまま、まだ立ち上がる様子がない鳥羽さんの肩を叩く。
「家に戻りましょうよ」
一言も口にしないので不安になってきた。なんて声をかければいいのだろうか。それよりも春鈴さんを呼んでくるべき?
僕がかけるべき言葉を選んでいると、鳥羽さんの口がゆっくりと開く。
「────すまない」
そう呟く声は酷く頼りなく、僕は彼に手を差しだす。
「行きましょう」
鳥羽さんは戸惑いながらも僕の手をとった。握られた手は冷たく、少し震えているようにも思えた。
鳥羽さんと話す時、僕は少しだけ目線をあげないといけない。僕より肩幅があって、背中が広くて、手も足も大きくて。大人って子供がどれだけ背伸びをしても同じ場所には立てない。同じ景色、同じ歩幅で隣に立つのは難しい。
それなのに今の鳥羽さんは────僕より小さな存在に見える。
これは同情なのだろうか、それとも失望か。不安に駆られる心の原因がわからない。
ただ、一歩先を歩いていた筈の鳥羽さんが、今では遥か遠くにいるように思えた。
******
僕と鳥羽さん。それから春鈴さんとクレオ(春鈴さんの使い魔。ケット・シーという猫の妖精だ)を交えて1階リビングのソファーに座っていた。
春鈴さんに先程の魔香堂でのことを話すと「あなたにも話しておくべきかもしれないわね」と僕たちはこうして集まったのだ。
「聞いても面白い話ではないぞ」と前置きする鳥羽さんだったが、静かに彼は語りだした。
────私は九十九家の次男として産まれた。九十九家は長きに渡り優秀な魔導師を輩出してきた魔法使いの一族。産まれてくる子は必ず魔力の資質が高く聡明な魔法使いとなる。
そのはずだったのだが、私はどうやら産まれつき体が弱かったせいなのか魔力の資質がほとんど無かった。
九十九家は自らの出自に誇りを持っているからこそ、魔力の資質を重んじる。それ故に魔力がほとんどない私は邪魔でしかなかったのだろう。
「九十九に生まれながらにして魔力がないとは恥だ」として私の存在を周囲から隠した。社交の場に出ることを許されず、最低限の人間としか接することを許されず、家の外へ出ても「九十九」の名を名乗ることは許されなかった。
だが蔵一家が九十九家の屋敷に訪れたある日。蔵家の息子───雪が偶然にも私を見つけことで、私の存在が公になった。
だからとて私の扱いが変わることはない。
そうして十八歳で九十九家と絶縁すると母方の旧姓を名乗り、魔香堂を開き、今ではこうして春鈴と共に暮らしている。
───鳥羽さんは話終えると疲れた様子で息を吐いた。
鳥羽さんは兄の暁だけではなく、肉親からも家族として扱ってもらえなかった。それがどれだけ辛いことか僕には想像もつかない。
「酷すぎます。自分の子供なのにそんなことをするなんて」
僕は膝上の拳を強く握った。しかし鳥羽さんは薄く笑う。
「私たちの世界では珍しいことじゃない。君が思うよりこの世界というのは華々しくはないだけさ。仔犬くんの両親は魔力を持たない人間だった。それなのに君は高い魔力を保持して産まれ、しかもオズヴァルトの生まれ変わりだ。それがどれかけ特別なのか。理解できただろう」
魔法使いの家系で魔力がない子供が産まれるよりも僕は特異な存在というわけか。それでも喜べるようなものではない。
「鳥羽さん。どうして自分の魔力を偽ってまで魔導師になったんですか。僕と出会った当初は「かっこいいからだ」て言ってたけれど………」
彼は魔力の資質が低いことをわかっていながら、魔法道具で魔力の底上げをしている。そして魔香堂を開いて魔導師を名乗っているんだ。なぜそこまでしているのだろう。
「そんなもの決まっているじゃないか。反抗心だよ。九十九家に対する反抗。それだけだ、本当に」
すると春鈴さんは呆れたように肩をすくめる。
「こうは言ってるけど簡単なことじゃないのよ。魔力の底上げなんてね、体に負担がかかるの。リスクの方が大きいし………ほら、妖精って鳥羽さんに滅多に近付かないでしょう?」
そう言われてみれば、確かに妖精は鳥羽さんに近付かない。というよりは嫌っている印象が強い。
「彼女たちは本能でわかるのよね。本来の魔力じゃないって。だから近付かないのよ。魔法使いが妖精と相性が悪いだなんて普通はないことだもの。体の負担っていうのもね、魔力の使いすぎで───」
「もういいだろう春鈴。その話は重要じゃない。問題は九十九だ。仔犬くん。君の意志を聞いておこう。私を知って九十九家の弟子になろうと思ったか?」
僕は迷わず首を振った。
「まさか。そうじゃなかったら九十九と一緒に魔香堂を出て行きましたよ」
「それもそうか」と鳥羽さんは足を組み直して笑う。先程までの暗い顔から少しほぐれたようで安心した。
何があっても僕たちの関係が変わることはない。そう思いたい。
不安を抱えながらも、季節は夏から秋へと移り変わってゆく。
最初こそは主人公は衝撃の事実に戸惑うが、貧しい生活から華々しい世界へ移った事によって幸福度が高まってゆく。そんな御伽噺。
僕も幼い頃は「ヒーローになって悪と戦うんだ!」と信じてやまなかったり、「もしも勇者の血が流れていたら」と冒険譚に胸躍らせて想像したものだ。しかし歳を重ねるごとにそれは夢物語なのだと気がつく。
現代には世界征服を企む悪も、倒すべき魔王もいないのだから。
だが僕の目の前には片膝をついて頭を垂れる男性が一人。ロングコートの裾が床に広がっている。まるで忠誠を誓う騎士のよう。乙女ならこの状況に頬を染めて胸の高鳴りを感じていたに違いない。
騎士を目の前にした僕が顔を顰める理由は、僕には甘言を囁く道化に見えていたからだ。
象牙色の柔らかな髪が揺れる。左目を覆い隠す前髪の隙間から赤い瞳が覗いた。
「オズの子。よく考えてくれないか。魔法が著しく衰退してゆく昨今において、かの大魔法使いオズヴァルトの魂を持つキミは我々の────否、世界を揺るがす存在だ。私たちにとっての希望こそがオズの子である進堂真帆という一人の少年なんだ。キミは自覚するべきだ。自分は特別な存在なのだと。そして己の運命はこの世に生を受けた瞬間から決まっていたのだとね 」
まるで映画で観たような展開じゃないか。突如現れた騎士が、勇者となる運命を定められた主人公を説得する場面のよう。
だけど僕の心は揺るぎないものだった。
僕が肩を抱いている人物は膝を折って俯いている。その場から存在を消すかのように縮こまり、呼吸さえしていないのではないかと思うほどに微動だにしない。沈黙のまま時が過ぎるのを待っているようにも見える。僕はこの人を守らなければならない。
「九十九さん。私怨で人を傷つけるようなあなたの弟子になりたいとは僕は思いません。帰ってもらえますか」
すると片膝をついていた騎士──九十九暁は立ち上がり、赤い眼光が僕を貫く。
「私怨だと?断罪してやったまでだ。魔法使いが自らの魔力の資質を偽るなど愚かで浅ましい。そいつは考え直すべきだ。オズの子のためにもな」
九十九はコートをひるがえし、魔香堂の扉を開けた。
「オズの子を思うのなら最善を考えろ。貴様にできる答えは一つだけだ」
そう言い残し、彼は去っていった。
まるで嵐だ。嵐が去ったあとは静寂と荒れた地だけ。
僕は即座に鳥羽さんへ治癒魔法をかける。切れた耳朶は血を流し痛々しい有様だったが、ゆっくりと治癒されてゆく。
「大丈夫ですか?」
「………………」
悪夢でも見たかのような顔をしている。こんなにも顔色が悪い鳥羽さんは初めて見た。
床に転がる赤いピアスを拾い上げ、鳥羽さんの手のひらに乗せてやる。
「少し休んで下さい。今日はお店も閉めましょう」
鳥羽さんから離れるとドアプレートを裏返して「CLOSE」とした。流石に営業ができる状況ではない。
ピアスを握りしめたまま、まだ立ち上がる様子がない鳥羽さんの肩を叩く。
「家に戻りましょうよ」
一言も口にしないので不安になってきた。なんて声をかければいいのだろうか。それよりも春鈴さんを呼んでくるべき?
僕がかけるべき言葉を選んでいると、鳥羽さんの口がゆっくりと開く。
「────すまない」
そう呟く声は酷く頼りなく、僕は彼に手を差しだす。
「行きましょう」
鳥羽さんは戸惑いながらも僕の手をとった。握られた手は冷たく、少し震えているようにも思えた。
鳥羽さんと話す時、僕は少しだけ目線をあげないといけない。僕より肩幅があって、背中が広くて、手も足も大きくて。大人って子供がどれだけ背伸びをしても同じ場所には立てない。同じ景色、同じ歩幅で隣に立つのは難しい。
それなのに今の鳥羽さんは────僕より小さな存在に見える。
これは同情なのだろうか、それとも失望か。不安に駆られる心の原因がわからない。
ただ、一歩先を歩いていた筈の鳥羽さんが、今では遥か遠くにいるように思えた。
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僕と鳥羽さん。それから春鈴さんとクレオ(春鈴さんの使い魔。ケット・シーという猫の妖精だ)を交えて1階リビングのソファーに座っていた。
春鈴さんに先程の魔香堂でのことを話すと「あなたにも話しておくべきかもしれないわね」と僕たちはこうして集まったのだ。
「聞いても面白い話ではないぞ」と前置きする鳥羽さんだったが、静かに彼は語りだした。
────私は九十九家の次男として産まれた。九十九家は長きに渡り優秀な魔導師を輩出してきた魔法使いの一族。産まれてくる子は必ず魔力の資質が高く聡明な魔法使いとなる。
そのはずだったのだが、私はどうやら産まれつき体が弱かったせいなのか魔力の資質がほとんど無かった。
九十九家は自らの出自に誇りを持っているからこそ、魔力の資質を重んじる。それ故に魔力がほとんどない私は邪魔でしかなかったのだろう。
「九十九に生まれながらにして魔力がないとは恥だ」として私の存在を周囲から隠した。社交の場に出ることを許されず、最低限の人間としか接することを許されず、家の外へ出ても「九十九」の名を名乗ることは許されなかった。
だが蔵一家が九十九家の屋敷に訪れたある日。蔵家の息子───雪が偶然にも私を見つけことで、私の存在が公になった。
だからとて私の扱いが変わることはない。
そうして十八歳で九十九家と絶縁すると母方の旧姓を名乗り、魔香堂を開き、今ではこうして春鈴と共に暮らしている。
───鳥羽さんは話終えると疲れた様子で息を吐いた。
鳥羽さんは兄の暁だけではなく、肉親からも家族として扱ってもらえなかった。それがどれだけ辛いことか僕には想像もつかない。
「酷すぎます。自分の子供なのにそんなことをするなんて」
僕は膝上の拳を強く握った。しかし鳥羽さんは薄く笑う。
「私たちの世界では珍しいことじゃない。君が思うよりこの世界というのは華々しくはないだけさ。仔犬くんの両親は魔力を持たない人間だった。それなのに君は高い魔力を保持して産まれ、しかもオズヴァルトの生まれ変わりだ。それがどれかけ特別なのか。理解できただろう」
魔法使いの家系で魔力がない子供が産まれるよりも僕は特異な存在というわけか。それでも喜べるようなものではない。
「鳥羽さん。どうして自分の魔力を偽ってまで魔導師になったんですか。僕と出会った当初は「かっこいいからだ」て言ってたけれど………」
彼は魔力の資質が低いことをわかっていながら、魔法道具で魔力の底上げをしている。そして魔香堂を開いて魔導師を名乗っているんだ。なぜそこまでしているのだろう。
「そんなもの決まっているじゃないか。反抗心だよ。九十九家に対する反抗。それだけだ、本当に」
すると春鈴さんは呆れたように肩をすくめる。
「こうは言ってるけど簡単なことじゃないのよ。魔力の底上げなんてね、体に負担がかかるの。リスクの方が大きいし………ほら、妖精って鳥羽さんに滅多に近付かないでしょう?」
そう言われてみれば、確かに妖精は鳥羽さんに近付かない。というよりは嫌っている印象が強い。
「彼女たちは本能でわかるのよね。本来の魔力じゃないって。だから近付かないのよ。魔法使いが妖精と相性が悪いだなんて普通はないことだもの。体の負担っていうのもね、魔力の使いすぎで───」
「もういいだろう春鈴。その話は重要じゃない。問題は九十九だ。仔犬くん。君の意志を聞いておこう。私を知って九十九家の弟子になろうと思ったか?」
僕は迷わず首を振った。
「まさか。そうじゃなかったら九十九と一緒に魔香堂を出て行きましたよ」
「それもそうか」と鳥羽さんは足を組み直して笑う。先程までの暗い顔から少しほぐれたようで安心した。
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