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似たもの親子

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 富田守が家に到着する前━━


「お前か...俺を呼び出したのは...」

「初めましてお父さん、富田くんの友人です。例の動画を見て頂けて何よりです」


 俺は昨日富田のスマホから父親のメールアドレスを盗み、今朝例の動画と息子が家に帰る前に自宅に来るようにと綴ったメールを送信しておいた。


「友人だと? あんな動画を送りつけてなんのつもりだ! あの動画のせいで今日一日中大変な目に遭ったんだぞ! まさか、あの動画を拡散させたのもお前か!?」

「それはあなたの息子が蒔いた種ですよ。それに彼はそんな事をされても仕方ないほど腐った人間だ━━」

「なんだと...どういう意味だ!?」

「あなた息子は...とある人間を虐めてたんですよ。そいつには殴る蹴るは当たり前、いろんな方法で虐めをして最後は死んでしまった...。貴方は親としてこの事をどう思います?」


 富田の親父は俺の問いかけに対して馬鹿にするように鼻で笑った


「はっ...何かと思えば子供同士の戯れ合いじゃないか。俺がガキの頃はそんなもの日常茶飯事だったんだよ。そもそもな...虐められる側にも原因があるんからそうなったんじゃないのか?」

「素晴らしい回答ですね、まさしく虐める側の典型的な言い分だ。そうそう...これは守くんのスマホから入手した映像なんですが見てもらえますか?」


 俺が虐められていた中でも最もキツい死んだ直前に行われた証拠動画を見せる。
 それには俺の悲鳴と5人の笑い声や話し声がちゃんと入り込んでいて、やられている内容もバッチリ鮮明に記録されているものだった。


「うっ......」


 富田の親父は思わず目を背けるが俺は奴の顔を掴み無理やり見せるように強要した


「目を逸らすなよ、これはアンタの息子が立派に戯れ合いをしている映像なんだ。目を逸らすほどの光景を見てもまだ虐められる方が悪いって言えるのか?」

「ふん...こんなもので脅して何になる! 俺が本気になればこんなもの揉み消すことなんて可能なんだ。それより脅されたって事で警察を呼ぶぞ!?」

「良かった...貴方が息子と同じような思考のクズで。呼びたければどーぞ、ただ電話を手に持った瞬間その手がカートリッジ式に早替わりしますけどね」

「また脅しか? 武器も持たずに何をバカな事を...」


 富田の親父がポケットからスマホを取り出した瞬間━━


「《風の刃ウェンラーミナ》」


 スパッ......


「ウ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!」


 親父の右手は綺麗に切断されて床にボタリと落ち、腕から血を吹き出した。


「だから言わんこっちゃない......もう利き手で歯医者のドリル握れないね」

「うぅ...! くっ...なんのつもりだ...! こんな事をして警察や世間が黙っちゃいない! お前の人生は終わ━━」


 ドスッ......!


「......っ......」

「少し黙ってろ、終わりなのはお前ら親子だよ。さて...そろそろ変態息子が帰ってくる時間かな?」


 俺は親父の腹を軽く殴って気絶させた後テーブルに座って富田の帰りを待った。



 ガチャ...



「ただいま...」

「やあー富田くん! 今そこでおねんねしてる君のお父さんに丁度お菓子をご馳走になってたよ」

「なんで明星が......親父!」

「そんな事より今日の学校はどうだった? みんなに虐められて楽しかったでしょ。たった一日だけどいい顔してたもんね」

「ふざけんな! 何も楽しく無かったよ! あんな動画広めた奴のせいで散々だ! 絶対に許━━」

「昨日も言ったけど歯を磨いてから喋れよ富田くん、お前ら親子は今日でおしまいだ。許すもクソもないんだよ...この意味分かるかな?」

「なん...だ......っ━━!」


 俺は奴の口を思いっきりつまんで言葉を遮った後、殴って意識を失わせた━━


*      *      *


「おい...起きろ...」

「......っ......」


 バコッ...!


「うぐぇっ....! な...んだ...!」

「あ、やっと起きた。おはよう富田くん」

「みよ...せ......何だ...これはっ...!」


 俺はスキルの木属性魔法で生成した四角い柱をリビングに突き刺した後、富田の手足をその柱に釘でブッ刺して張り付けにしていた


「そんな驚かないでよ、さっきまで釘刺されてもぐっすり寝てたお前が悪いんだからさっ」

「ふざ...けんなよ...どういうつもりだ...!」

「君たち親子は今日ここで始末する」


 俺のセリフに富田の顔が一気に青ざめる


「お前...一体何言ってんだ! 俺に何の恨みがあってそんなことを!」

「恨みか....実はあの動画ばら撒いたの僕なんだよ。君の惨めな姿を見れて心の底から暖かい気持ちになったなぁ」

「クソッ...お前だったのか...! 友達って言ったのは嘘かよ! ぶっ殺してやる!」

「まな板の魚が何を言っても虚しいもんだね。さて調理実習を始めるか」


  俺はリビングの引き出しにあったスプーンを持って富田の目に近づける


「やめろ...何をする気だ...!」

「何って...その薄汚い目をこれで穿るんだよ」

「おい...よせっ...な...? 金ならやる、だからやめてくれ明星!」

「金はユニ○フにでも寄付してくれ。僕が欲しいのは君が苦痛に歪んで無様に死んでいく姿だ。ところで利き目はどっち?」

「は...? お前一体...キ゛ャ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!」


 グシュッ...


 俺がまるでプリンを優しく掬い取るように眼球と骨の間にスプーンを入れていく。
 ヤツの悲鳴をBGMにしながら肉が抉れる音と感触を味わう。
 そして視神経をスプーンで無理やり切断して右目を掬い取った。


「ふぐぅ...うぅ...い...てぇ...」
 
「早く答えないからだよ。今度は顔の皮を抉っていくよ...《ヴィヴラシオン》」


 俺は鉄魔法で作り出したナイフに高周波を当てて少し切れ味を向上させた状態で富田の皮膚を少しずつ剥がし顔の筋肉を剥き出しにしていく

「ア゛キ゛ア゛ァ゛ッ! やめで...ぐれぇぇっ!」

「やめないよ、君はそう言ってた彼のことを無視してカメラを回し続けたんでしょ? 今度は君の番だ」

「彼って...誰のことだ...!?」

「......黒羽真央」


 俺が名前を口にした瞬間に富田の顔は抉られた皮膚によって血で染まっているにも関わらず、青ざめていくのが分かった。


「お前...なぜヤツの名を...」

「転校生の僕が知ってるなんてびっくりだよね? 死ぬ前に教えてやるよ...《ディフォルマティオ変身》」


 俺はアイラの姿から真央の姿に変身した


「お前...黒羽か...!?」

「正解。お前らを絶望に叩き落とすためには地獄から蘇ったんだ」

「嘘だ...お前は自殺したはずじゃ...化け物か...!」

「化け物...それはお前らだろ? 人間の皮を被ってるだけの薄汚い蛆虫に言われたくないよ」

「お前...こんなことをしていいと思ってるのか!? 警察や俺のバックにいる奴が黙ってないぞ!」

「あんな虐めしてた癖に何言ってんだ? ここには警察もお前のパトロンも、私人逮捕系iTuberだって来ないよ。まあもし仮に来たとしても皆殺しだ」

「皆殺しなんて...そんなの無理に決まってるだろ!」

「じゃあその片鱗をお前の親父で試すよ」

「やめろぉっ!」


 俺は気絶している富田の親父を叩き起こすと朦朧としながら俺を睨みつける。


「...お前...!」

「こんばんはお父さん。俺って実はさっきの映像に映ってた黒羽なんですよ」

「何だと...大丈夫か守! テメェ俺の息子に何してんだ!」


 親父は磔にされている富田を見て青筋を立てながらフラフラと立ち上がった。


「やだなぁ...ただ戯れ合ってるだけですよ? さっきお父さんも言ってたじゃないですかこういうのは子供同士の戯れ合いだろって」

「ふざけるな! これはれっきとした傷害罪! 犯罪なんだぞ!」

「はははっ、自分の息子が加害者の時には戯れ合いで被害者になった途端犯罪か? 子が馬鹿なら親も馬鹿だな」

「何だと...!」

「改めて怪物ってのは突発的に生まれないと思ったよ。人にはそれぞれルーツがある...性根がゴミのくせに一丁前に金と権力を持ってる人間が自分の子供を、そして周りを腐らせるんだ。無力なパパ・・はそこで息子が苦しむのを指咥えて見てな、あ......もう咥える指無かったっけ?」

「やめろっ━━!」


 バコッ...ボキッ...バキ...!


「うぐぇ...ごぁ...うべぇ...!」

「うるせえなぁ...縄で縛るよりこっちの方が動けなくなるし喋れなくなるから良いね」


 俺は富田の親父をまるでシャーペンの芯を折るように簡単に四肢の骨をへし折っていった。
 折れた部分の皮膚はボコっと膨れ上がり、痛みに耐え切れなかった親父はその場に再び倒れた。


「お前...そんな簡単に骨を...悪魔かよ...!」

「お褒めの言葉ありがとう...お礼に剥き出しになった顔の筋肉に焼き色つけてやるよ。《イグニス》」

「ア゛ッ゛ツ゛イ゛イ゛ァ゛ッ!」


 俺は指に火魔法を付与してヤツの抉られた顔をじっくりと炙っていく。滲んだ血液は固まり筋肉と皮膚は焼け爛れた。

「このままだと何処かの包帯だらけの倒幕テロリストになっちゃうね...お腹にしよっか」

 俺は富田の腹に自分がやられた時と同じように火魔法をあててとある文字を作っていく。
 肉が焼ける間富田は涎と片目から涙を撒き散らしながら悲鳴を上げている。


「もう...やめて...くれ...」


 改めて富田を見ると皮膚を抉られて内部が剥き出しになった顔は火で炙られたお陰で止血はされているが、グロテスクに変貌し片目は空洞になり中から血を流していた。


「壮観だねぇ...こんな姿になってもちっとも心が痛まないよ。そろそろ始末するか」

「何だと...うぐぇっ...! ぐべっ....あぎゃ...」


 バキッ...ブキッ...ベキッ...

 
 俺はヤツの全身の骨を末端から丁寧に一本一本折っていく。
 ヤツが悲鳴を上げるたびに感じるその感触は今の俺には発泡スチロールを割っていくように軽い感覚で少し楽しくなった。


「わ....悪かった...やめて...頼む...お願いします...! 殺さないで...下さい!」

「お願いなら地獄に行ってから閻魔にでもしてろ。お前は今後制裁を加える奴らの見せしめにする...グッバイ富田くん」

「頼む...! やめてくれぇぇぇ!」


 グシャァッ......
 

「ぬぉぅっ.......っ......」


 俺はヤツの心臓に手刀を突き刺して心臓を抜き取り、顔面に投げつけた。


「っ......」

「無様な姿だな富田。せいぜい地獄で楽しめ」


 ヤツの目が絶望に変わり光が消えた時、俺は生まれて初めて人を殺したんだと実感したが心情は普通だった。


「はは...ゲームの裏ボスすら殺せない俺が簡単に人殺しとは笑えるな━━」


「まもる......守っ! き...貴様ぁぁっ! ぐぶぇっ...!」


 グチャッ......!


「うるさいよ...そんなに息子が好きならパパも後を追ってくれ」


 俺の足に這いつくばってきた富田の親父を俺は頭を踏み潰して始末した。


「なんだ、1人殺すも2人殺すも気持ちは変わらないな」


 俺はさっき録音したヤツらの悲鳴と変態映像を部屋にあったスピーカーに繋いで大音量でリピート再生して近所に通報を促せた後、転移魔法を使って富田家を後にした。


「さて一人目は終わりだ。そういえばあいつも俺が自殺したと思ってたな...てことは殺したのは別の誰かか? まあそれより警察がこの事件をどう処理するのか明日から楽しみだ━━」

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