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報復の立ち回り方

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 午後の授業を終えて放課後を迎えた俺は帰りのHR中に秋山から呼び出されていたため職員室へ向かった

「アイラくん。ちょっとこっちに来てもらえる?」


 俺は職員室の外へ出て誰も居ない部屋に案内された。


「そこに座って...転校1日目お疲れ様。少しはクラスの子達と話せたかな?」

「はい、みんなとお昼休みにLIZEの交換をしたりいろいろ質問されたので少し話せました。ただ他のクラスの人たちもゾロゾロ見に来てたのは小っ恥ずかしかったですけど...」

「そっかぁ...まあアイラくんはかなり学校で噂になってるから仕方ないかもね。それで朝ちょっと話したけど何かあった時に連絡を取りたいから私にもLIZEのID教えてもらってもいい?」

「...わかりました良いですよ。じゃあ何かあったら先生には頼らせてもらいます」

「ありがとう、また連絡するから」

「はい。ていうか先生が僕を呼び出したのってそれだけですか?」

「ええ、貴方がちゃんと他の子と話せているか不安になった件もあるけどね」


 なるほどね...まあ良いか。
 向こうから言ってきたのはラッキーと考えよう。
 コイツを叩き落とす選択肢が増えたんだから━━


「ありがとうございます。では失礼します」


 俺は部屋を出て今朝靴を置いた事務室側の玄関から出る。
 すると明らかに校則違反の服装に明るく染めた髪、たくさん耳に開いたピアスといかにも悪そうな生徒二人が俺を睨みつけていた。


「僕に何か用ですか?」

「お前が白髪の転校生だな? 噂通りイケメンじゃねぇか。モテない俺らに女紹介してくれよ」

「そうそう、俺ら今彼女居なくて飢えてんだよ。ちょっとこっちで話そうぜ」


 ここ一応進学校なんだけどな...
 ていうかこんなわかりやすい奴ら前に居たっけ?


「あーそういう事ね全然良いよ! じゃあ行こっか」


 俺は不良生徒二人に昔虐められたあの倉庫に連れて行かれた━━━


*      *      *


「それで...こんな校舎外れの倉庫に連れ出して一体誰を紹介すれば良いの?」

「あ? 俺らが本当に女に飢えてると思ったのか? お前に紹介されなくても俺たちは向こうから寄ってくるんだよ」


 ガタイの良い少し太った不良生徒1が俺の胸ぐらを掴んで言い放つ。
 俺はその隙にポッケ入れてあった物の操作をした

「そうかい...人間に限定しなければ色々寄ってきそうだもんね。じゃあなんで呼び出した?」


 俺が尋ねるともう一人のヒョロくて小っちゃい不良が俺を蹴飛ばした


「あいたっ...」

「おめえが気に入らねぇからだよ!そのダセェ髪色に余裕そうな態度と俺たちに挨拶の一つも入れないその生意気さがな!」

「...突然蹴飛ばすなんて酷いよ。そんなに挨拶して欲しいなら朝早くから校門に並んで生徒会と一緒に挨拶運動でもすれば良いのに」

「てめぇ舐めてんのか? その生意気な口を叩けないようにしてやる!」


 不良は倉庫内にあった鉄のバットを持って俺にバットの先端を向ける。

 昔ここでそのバットで殴られたこともあったっけ━━━


「なるほど僕は差し詰めバットに打たれる野球ボールか。良いよ...そのバットでいくらでも叩いてくれよ」


 俺は両手を広げてバットを持った不良に近づく


「テメェ...俺が本気で殴らないと思って舐めてんだろ?」

「生憎僕は男の人を舐め回す趣味を持ち合わせて居ないんだ。その気があるならSNSで募集でしてくれ」

「ふざけんな? もう知らねぇ...骨折れても泣き喚くなよ!? おらぁぁぁっ!」


 不良生徒が俺の腕へと目掛けてバットを振り翳す━━━


 バコッッ...!


「避けなかった男気は褒めてやるよ......っ何!?」


 ほんの少し腕に力を入れて打撃を受けた俺の腕はほんのり赤くなっているだけで全くの無傷だった。

 そして殴ったバットは少し形を歪めていた━━━


「おいおい、そんなんじゃスイカだって割れないよ? 目隠ししたガキの方がまだフルスイングかましてるって。次はちゃんと・・・・殴ってくれよ」

「ふざけんな...ならお望み通りもう一発だ! 死ねやっ!」


 苛立ちが頂点に達した不良生徒はさっきよりも力強く今度は俺の頭に向けて打者のようにフルスイングする。
 俺はその瞬間少し力を緩めて攻撃を受けると鈍い音を立てて頭に直撃した


「ははは...今度はどうだ...? たがまだ簡単に死んでくれるなよ?」


 勝ち誇ったような顔を見せる不良に対し、俺は殴られた頭から血をダラダラ流した


「へへ...これじゃ制服にシミ付いちゃうなぁ。後でクリーニング代出してくれよ?」


「お前...なんなんだよ...。普通なら気絶してぶっ倒れてるはずだろ...?」


 不良生徒は血だらけになりながら平然と立ってヘラヘラしている俺を見てさっきまでの威勢を失いかけていた


「確かに普通の人だったら重症だよね、頭蓋骨は凹み脳挫傷起こして速攻救急車だ。でも相手が悪かった...君たちと違って温室育ちじゃないんだよ僕はね━━━」

 
 血だらけの笑顔で俺は不良生徒二人に迫り、壁際に置いてある腰の高さくらいの鉄の棚まで追い詰めた


「それと...これれっきとした殺人未遂だよね? さっき明らかに死ねって言ってるし。二人ともこれが公になれば犯罪者の仲間入りだ」

「いや...これはその...」

「さっきまでの歯切れの良さはどうしたの? まあ良いさ...僕はやられたらやり返す。二人とも歯を食いしばりなよ...」


「やめ...やめてくれ...!」










 ガシャァァンッ...!





「ひぃっ...!」


 俺はほんの少し力を入れて鉄の棚を瓦割りのように殴りつけた。
 その結果鉄の棚は殴ったところを中心にアルファベットのMみたいに押し潰れ、中に積んであった物共々ぶっ壊れた


「さて...先に全身の骨を小麦粉にされたいのはどっち?」

「ごめ...ごめんなさい...!」

「はははっ、謝るのはいいからどっち?」


 涙目になりながら不良の二人が怖気付いていると━━━


「君たち! そこで一体何してるの!?」


 その声は担任の秋山だった━━━


*      *      *


「アイラくん血だらけじゃない! まさかそこの二人がやったの!?」

 俺はくるりと振り返り目に涙を溜めて殴られた頭を抱える

「せんせぇ...俺二人に突然バットで殴られて...痛かったです...」


「そんな...二人ともなんて事してくれたの!」


 秋山がドアからこっちに来る前に俺は不良生徒二人の耳元で囁く━━━


「お前ら...がこの棚破壊した事と脅した事を一人にでも話したら家族含め文字通りスクラップにするからな...? 平穏・・に学校生活を送りたいんだ...分かってくれるよね?」

「は...はい...わかりました...」

「ありがとう...良い人達だなぁ。二人は僕に怪我させた罪で停学か退学になると思うから家で今後のことをじっくり考え直すと良いよ。それとクリーニング代は後でよろしくね...」

「はい...すみませんでした...!」

「声がデカいよ...現場を見ちゃったあの先生ごとココで練り物にされたいのか...?」

「ぃぇ...っ...」

「だよねぇ...なら良いんだ」


俺は二人から離れると頭を抱えてフラフラの演技をしながら秋山にわざと寄りかかった


「アイラくん大丈夫!? 今救急車呼ぶから!」

「救急車は大丈夫です...先生の顔見たらホッとしちゃって...。助けに来てくれてありがとうございます」

「いきなり着信があって出たら電話口で誰かが怒鳴ってるんですもの...助けに来るのは当たり前よ」


 俺は奴らに連れ込まれた時、ポッケに入れていたスマホを予め操作して事前に秋山に電話を掛けていた。

 そして奴らにわざと殴られたのは秋山にこの現場を見せつける為でもあった


「ありがとう...先生は僕のヒーローです。先生も何かあったら言って下さいね、力になります」

「ありがとう。アイラくんに頼りたい時が来たら...その時はよろしくね」


 俺は秋山の薄汚い手で肩を抱かれながら倉庫を後にして保健室へ向かった━━━
















「すみません、俺たち停学か退学になります。アイツはマジでヤバい...正に仮面を付けた狂犬か悪魔です...。絶対関わらない方がいいですよ富田さん!」


「何が悪魔だしょーもない、俺らに逆らえる奴なんてこの学校に居ないんだよ。しかし金払ったのに全く使えねぇなお前らは! まあ良い...目の上のタンコブは俺が直々に処理するさ━━━」

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