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学校生活再び

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 俺はいつも通り電車に乗るため駅へ向かっていた。
 遅刻するかもしれないので人がいない裏道から走ろうと力強く一歩踏み出すが━━━


 フワッ...


「うおっ...なんだこれっ!」

 
 俺の身体は羽が生えたように軽く、信じられない事に家よりも高く跳躍して地面に着地した


「力を入れるとコレかよ...これじゃ力加減を調節しないと確実に日常生活に支障が出るな...練習しておかないと」


 俺は身体に気を遣いながら忍足で駅にたどり着いたが、変な歩き方をしている俺を見ていた人が沢山居たのは言うまでもない。
 そんな人達の中、自撮り棒を片手にスマホに向かって話しかけている綺麗な女の人がこっちに向かって歩いてきた


「すみません! 今ライブ配信してるんですけど忍足のイケメンが通ったってコメントが来てて...それって貴方のことですよね? 良かったら一緒に撮影したいんですけど良いですか?」

「いや、遅刻しそうなんでデートの誘いはまたの機会に...」


 前の自分であれば喜んでで受けていたが正直今は自分の事で精一杯なので彼女に構っている余裕は無い。

 しかし彼女は引き下がってくれなかった━━━


「そこをなんとか! 貴方に対するコメントも凄い来てるしちょっとだけでも良いんでお願い出来ませんか?」

「ホントそれどころじゃないんで! 転校初日から遅刻はマジで人権失うんで...!」

「でもそんなに急いでる人はそもそも忍足で駅を歩きませんよね!? これ見てください! 凄い人気ですよ!?」


そう言った彼女のスマホの画面を見ると俺に対するチャットが沢山来ていたのだが━━━


 》なんだコイツ...整形か?

 》仕込みじゃね? 普通あんな歩き方せんやろ

 》超イケメン! 私もあんな制服彼氏欲しい!

 》ていうかインフルエンサーゆーちんの誘いを速攻断るとか草

 》気取ってんのかコイツ? 俺もあんな顔ならなぁ......

 》イケメン邪魔だ○ね! ゆーちんだけ映させろ!

 
 こんな感じでほとんどが俺を叩いているコメントだった


「これ...確実にサンドバッグとしての人気ですよね!? コイツらの住所特定できますか? 今から1人1人に内容証明送って人生台無しにしてやる!」

「まあまあそう言わずに! ていうかその制服...」

「制服? そんな事よりこっちはガッツリ心傷つけられたんでしっかりギャラ払ってくださいよ。ゲロ以下のコメントを見たせいで目が染みてるんだ...」


 俺は嘘泣きをしながら生活費を入れている口座番号をメモに書いてその人に渡した。
 すると再び画面のコメントが次々にスクロールされてすいく


 》コイツ泣きながらちゃっかり金請求してて草

 》がめつい奴だな。でもまあ突然撮影してくれって頼まれたからそう言われてもしゃーないな'

 》ゲロ以下とか言われて草。ちょっとおもろいなコイツ

 》この人モデル? もしそうならゆーちんは事務所に許可取らないとね

 》着ている制服どこの高校?...特定班はよ!

 》あの白髪確実に校則違反じゃねーか! イケメン無罪ってやつか!? 世の中クソだな!


「リスナーのみんなも落ち着いて! ギャラの件はまた後日という事で...じゃあみんな、私もこの後仕事があるからまたねぇ!」


 彼女は配信を停止させると謝りもせずそそくさと構内に入っていき、俺はなんとか電車に乗って学校に向かった━━━


*      *      *


 職員室内の個室に案内されるとそこには学年主任とあの・・秋山恭子が座っていた


明星みよせくんだね今日からよろしく、私は学年主任の松本だ。そしてこっちが...」

「担任の秋山恭子です。今日からよろしくねアイラくん」


 学年主任の前だからなのか分からないが、あの日ゴミを見る目で睨み罵った態度とは正反対の満面の笑顔で俺に挨拶をしてきた。

 なるほどね...まあ様子を見ようかな━━━


「よろしくお願いします松本先生、恭子先生」

「では早速教室にいきましょうか、と言いたい所ですけどその髪色は......染めてる?」

「いえ、生まれつき白いんですよ。根本を見てもらえればわかると思いますが━━━」

「本当だ良い匂...じゃなくて確かに生まれつきかもね。じゃあ案内するね」


 俺は何故かニヤニヤした秋山に案内され教室へ向かう。
 その途中秋山から下らない質問を受けた

「ところでアイラくんは...どこかの事務所とかに所属してるの?」

「所属? 僕が所属してたのはアニメ研究部くらいですね。好きなアニメはアル...」

「そこまでは大丈夫よ。じゃあネットとかで何かやったりしてないの? 今高校生のインフルエンサーとか多いじゃない?」

「それが...ネットとかもデジ○ル庁の職員並みに苦手なんで何の活動もしてないです」

「そうなの? それだけカッコよければ何かしら事務所に入ってたり世間に露出してると思ったんだけど外れたかぁ」


 なんだコイツ...真央の時と態度が全然違うな


「貴方の転校前の成績を見る限りかなり優秀だし、その見た目だからここの学校でも色々苦労することがあるかもしれないわ。その時はすぐに私に相談してね、いつでも待ってるから」


 相談ね...コイツのこの態度は後々材料に使えるかもしれないな。
 一応種だけは撒いておくか━━━


「ありがとうございます、僕も先生みたいに優しいお姉さんみたいな方に親身になってもらえると嬉しいです。先生達の中では断然歳も近いし波長が合いそうなので何かあったら相談させて貰っても良いですか?」


 そう言うと秋山は再び振り返りニコニコの笑顔を俺に振り撒いた


「アイラくんにそう言って貰えると嬉しいな。私は先生でもあるけど貴方が望めばいつでも優しいお姉さんにもなってあげる。さてここが教室、私が先に紹介するからその後入ってね」

 
 ...誰がお前の弟になんてなるかよ倫理観イカれてんのか? 

 まあ良いケダモノにはケダモノだ...せいぜい子供相手にノリノリになってろ。
 俺はこの身体を使ってでもお前を地獄に叩き落としてやるさ━━━


 先生がドアを開けて入ると教室の騒がしい声がドアの隙間から少し漏れた


『今回の転校生どうやら男らしいぜ?』

『噂によると超イケメンだって...』

『女じゃないのかよ!』

『そういえば今朝ゆーちんがライブ配信してたやつに映ってた人らしいよ?』

『私それ見たわ! めっちゃイケメンだったけどなんか怒ってたよね』


 普段ならイケメンと言われれば死ぬほど嬉しいけどこの身体は俺であって俺じゃないから複雑な気持ちだな。
 真央の時に言われたかったよ...
 

「このクラスでは以前一人友達を失いましたが新たな生徒が入ることになりました。じゃあ明星くん入ってー」


 俺は忌々しいあの教室のドアを開ける━━━





 ガシャァァンッ!





「あっ......」


「えっ!?」


 俺は力を加減し忘れてドアをすっ飛ばしてしまった


「あれっ...なんかドアの立て付け悪かったみたいで壊れちゃいました...ハハッ...」


 俺は笑って誤魔化すが、教師を含めた全員が俺を驚愕の目で見つめる中自己紹介をするハメになった


「み...みなさん初めまして明星亜依羅です。趣味は編み物と盆栽の手入れです...よろしくお願いします」


「ず...随分と渋い趣味ね。じゃああそこの空いてる席に座って、ドアは先生達が治しておくから」

「...すみません」



『なぁアイツ...ちょっとやべぇ奴じゃね...?』

『でもあの見た目で趣味が編み物とかギャップで可愛いかも』

『あの髪色で問題ないのかよ...?』

『イムスタやってるかな?』


「はいみんな静かに!! 明星くんと仲良くするようにね、じゃあHR始めます」


 こうして明星亜依羅としての学校生活が幕を開けた━━━
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