とある現実恋愛小説作家が語る、行き当たりばったりと言う生き方。

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とある現実恋愛小説作家が語る、行き当たりばったりと言う生き方。

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 小説を初めて執筆したいと思ったのは、2019年の11月のことだった。某先生の漫画に感化されて似た題名のスポーツ青春小説を書こうと思ったが、ものの見事に挫折してしまった。

 時は流れて、2020年となった。外出できなくなったことによって時間に余裕が生まれ、久しぶりに創作意欲が湧いてきたのだ。

 そして執筆したのは、前々から憧れていたハイファンタジー。当時読み漁っていた『下剋上』というキーワードを引っ提げて、異世界主人公が勇者を倒す物語の構想は広がっていった。

 しかし、である。これも、書き始めから僅か二週間ほどでエタってしまった。それまで『文章を書く』という行為を全くしてこなかった筆者にとって、一話四千文字と言うノルマは重すぎたのだ。

 この二つの作品には、ある共通点がある。『完結時のシーン以外を決めていなかった』と言う点だ。プロットなど、言葉すら知らなかった。

 要するにエタった二作品は、行き当たりばったりで行き詰まったのだ。

 当時を振り返ると、超初心者なのにも関わらず文庫本一冊分を目標にしていたのがいかに自殺行為だったかが分かる。千文字書くのにヒーヒー言っている自信過剰な筆者が、十万文字を書ききれるわけが無かったのである。

 来たる2020年の8月。一周回ってラブコメに行きついた筆者は、性懲りも無く毎日投稿を掲げて三作目の執筆にとりかかった。

 前二作からの教訓から小説の書き方を学ぶことにした筆者は、そこで『プロット』というものに出会った。

 作者の方々には呆れられるかもしれないが、その時の筆者はまるで魔法を見ているかのような気分に襲われた。

 『プロットを書いておけば、その通りに進められる!』と、感激した。ただのバカだ。

 投稿初期の文章を見返してみたのだが、如何せん酷い物だった。日本語が成立しているだけの、修飾が無いスカスカな文章が並んでいた。決して誇れる文章力を持っているとは言えない筆者だが、その筆者を持ってしても読む気をなくすものだった。

 時系列に戻るが、結論から言ってしまうと毎日投稿は無茶だった。当時の筆者は1000文字を一話としていたため何とか持っていたのだが、それでも執筆が追い付かなくなってしまったのだ。

 無理がたたったのもあり、遂に月2回投稿まで頻度が落ちてしまった。この時、筆者はよくこう思っていたものだ。

(ああ、これもエタるのか……)

 昔話はこれくらいにして、現状を伝えていくとしよう。



 



一作目(青春スポーツ):未完(1000文字)
二作目(異世界下剋上):未完(20000文字)
三作目(現実恋愛ラブコメ):完結済(560000文字)
四作目(現実恋愛):完結済(66000文字)
五作目(現実恋愛):内部執筆中(80000文字)







 ……堅苦しい文体の導入(無駄話)はここまでにして、ここからはいつもの調子で綴っていきます。

 結果を見ていただければわかる通り、無事完結してしまいました。二年半という歳月はかかりましたが、行き当たりばったりでも何とかなってしまいました。

 プロットを書いていたかどうかは、以下の通りです。







一作目:なし
二作目:なし
三作目:書いてもムダだった(行き当たりばったり進行)
四作目:あり
五作目:大まかな流れのみ







 三作目と五作目は、とにかく行き当たりばったりです。必死でプロットを作っても思いつきですべてぶち壊され、ある展開に持っていきたいと思ってもキャラが勝手に動いてご破算になり……。何度泣かされたか分かりません。

 それでも、行き当たりばったりは苦しみもありますが、それ以上の楽しさがあります。キャラに連れていかれる内に、新しいネタをひらめくことも多々あります。

 どれだけ話が逸れても、最終的にゴールテープを切ってさえしまえば、それでよいのです。プロットは、書かなくても案外どうにかなります。

『行き当たりばったりで小説を執筆すると、エタる』

『しっかりとプロットを作って、脱線しないようにすべき』

 その方が安定するのは、分かっています。それでも、行き当たりばったりという生き方があるのです。



 最後まで読んでくださったそこのあなた、一度は行き当たりばったりで小説を書いてみてはいかがでしょうか? きっと、新しい世界が拓けるはずです。
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