上 下
14 / 77
第1章 亮平回想編

#001 過去完了(細川視点)

しおりを挟む
 六年がここまでして五年を殴るのは理由があった。それは、自分たちも同じような事を六年に受けたからであった。

 おまけに他の年と違って、ある事件が起きてしまった。

「谷さんが、自殺!?」

 そう、苦痛に耐えきれずに自殺してしまったのだ。

 でもこれでこの事が外部に公表される……。そんなことを思っていた。

 現実は過酷だった。学校側は谷さんの自殺をあろうことか学年内でのいじめが原因とし、何人かがいじめをしたとして犯人にでっち上げられた。

(許せねえ。許せねえ!)

 しかし、反抗でもしようものなら六年にまた殴られてしまう。俺達は待った。卒業式が来るまで。

 六年になった。交流タイムは今年もあった。

「谷さんの無念を、何にも知らずにへらへらしている下の学年に教えてやる……」

 誰かがそう言った。俺たちは賛同した。

 早速スケジュールをどうするかを考えた。考えれば考えるほど、心がわくわくな気持ちでいっぱいになった。  

「下の学年のへらへらした態度を、改めてやろうじゃねえか!」

 クラス全員でそう宣言して、その時間は終わった。

 この翌日から、「交流タイム」という名の暴力が始まることとなるのである。
しおりを挟む

処理中です...