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序章 再会は突然に

005 ライバル登場

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 学校が終わった後の放課後の帰り道、亮平は必死に弁解をしていた。

「あれは本当に悪かったと思ってる! 心の中で叫んだつもりが、なぜか声に出てたんだよ!」
「へー、心の中で叫んでたんだ」

 (しまった!また口が滑って)

 未帆がまた殺気を一瞬出したが、すぐに消えた。多分、呆れられたと思う。

「バケモノだなんて……。亮平が叫んだせいで、その後変な目で見られたじゃん! もう!」
「すまん……」

 ミスだったとはいえ、滑って『バケモノ』などと言ってしまった自分も悪い。そこは反省している。

「まあまあ、お二方。その話はそのくらいでいいじゃない」

 友佳が雰囲気を変えに入って来てくれた。こういう時の友佳は、頼りになる。

「まだ私は許してないからね?」
「それは本当にごめん。それより、周りの視線が……」

 亮平はむしろそっちの方が気になっていた。周りからしてみれば、今日転入してきたかわいい女子と初日にいきなり一緒に帰っているのだ。注目を集めないはずがない。

「!?」
「未帆、もしかして気づかなかった?」
「う、うん。亮平に言いたいことが山ほどあって、興奮してたから……」

 未帆が顔を赤らめている。本当に気付いていなかったらしい。

 そして、亮平がこの状態になることで心配していることがある。それは……。

「ちょっと! 亮平くんの隣に立っているそこの子って、誰?」

 やはり、来てしまった。

「あ、澪。となりにいるのは未帆。今日の始業式で説明があったでしょ?」
「あー、西森さんかぁ。で、どんな関係? まさか……」
「ちょっと待ってくれい! 澪、何考えてるんだ?」

 いま亮平が言葉で止めた女子の名前は、酒井 澪(さかい みお)だ。中学校から亮平達と一緒になった。澪の方は亮平のことが好きである。

「だって、亮平くんが名前で呼ぶってことはそれ相応の関係が・・・」

 今は、澪の誤解を解く方が先決だ。

「未帆は俺の幼馴染で、小さいときに引っ越してまた戻ってきた。それだけ」

 澪は少し黙っていた。そして、

「ごめんなさい、西森さん。勝手に勘違いして」

 というと、その場を去っていった。

(おかしいなあ。澪は怪しいと思ったことはとことん問い詰めるはずなのに……)

「りょ、亮平、友佳。早くいこう」

 未帆に手を引っ張られてせかされる。

(いででででで)

 力が強いと分かっているのなら、もう少し力を抜いてほしい。

 周りの野次馬もさきほどの出来事で状況は理解していると思うが、それでも今日転入した女子と一緒に帰っているのが気に食わないのだろう。大部分はすでに帰っていたが、一部の男子生徒がまだこの場に残っていた。

「そうだな。そうしよう。」

 亮平としても、この場に留まり続けることにデメリットはあっても、メリットはない。

 亮平達三人は、急いでその場からそそくさと逃げ出した。
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