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終章 未来へと続く道へ……
恭平 CHAPTER9
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ジリリリリリン。寝起きの耳にはけたたましく感じる目覚まし時計の音が、部屋全体に響いた。
「……ああ、現実か……」
恭平は、大きなため息をついた。夢が覚めてほしくはなかった。が、覚めない夢というものはない。死んでしまえば話は別なのだが。
完全には締め切られていないカーテンの隙間から、日光が漏れていた。いうまでもなく、朝である。中学校生活にピリオドを打つ卒業式当日の朝でもある。
純がいないことによる膨大な喪失感。恭平の心には、いまだ大きな風穴がポッカリと空いていた。そこんじょこらの工具や材料では修復不可能なほどの大きな傷だった。
(学校、行かなくていいかな……)
もはや、学校に行くことに何の意味があるのかが分からない。学校が決して勉強だけの場所ではないことは重々承知している。それを含めても、行く必要性が感じられない。
それに、あと今日一日だけで中学校は終わり。成績にも特に影響はないだろう。
(でも、もし行かなかったとして、純ちゃんに何て報告すればいいんだろう……。少なくとも、嬉しがることは絶対にないだろうからな……)
それも、分からない。純の前か墓前かのどちらで報告するかは分からないが、どちらにせよ顔向けができない。
『学校に行かない』というのはただの自己満足だ。『自分も同じ思いをすれば』という身勝手な発想だ。それで純が喜ぶかと言われれば、絶対にそんなことはない。『自己満足で自分から道を閉じるようなことはしたくない』と思ったばっかりでもある。簡単にひっくり返したくはない。
布団の感触は依然として柔らかく、まだ眠りに誘おうとしている。このまま二度寝するなり部屋にカギをかけるなりすれば、学校に行かないということは出来る。中学校への連絡なら、親が勝手にしてくれるだろう。
しかし行かなければ純になんと言えばいいのか分からないし、最後までしっかりと登校するということも大事といえば大事だ。二つの意見に板挟みになりながらも、恭平は考える。
(楽な方へ流れるのはいつでもできる。とりあえず学校に行って、辛かったら家に帰ってくればいい)
様子見。それが恭平の選択した道だった。『辛ければすぐにでも家に帰る』という心構えで学校に行けば、いくらかは気持ちが楽になる。
恭平は掛け布団を体の上から横のスペースへとずらし、起き上がった。そして、居間へと向かった。
----------
「恭平、お前大丈夫か?」
開口一番、父がそう恭平に問いかけた。昨日のこともあってか、ずいぶん心配しているらしい。
「全然大丈夫じゃないけど……。でも、ひとまず学校には行く」
(今は、自分のことを放っておいてほしいのに。一人でいる方がまだ心が安定するのに)
恭平は、酷く不機嫌になった。心配してされていることは分かる。分かるが、今ではなく後でにしてほしい。傷ついている人の気持ちも少しは分かってほしい。
「……純ちゃんは、純ちゃんは?」
低い声が部屋の中を満たす。
「いや、別にまだ中学校からも永島さんの親からも、何の連絡もない」
それ以上、父は言葉を発しなかった。恭平としてもそちらの方がありがたかった。何か言われても、必ず何か激しい言葉を返していただろうから。
食卓に置いてあった食パン二枚を順番に食べ、その後歯磨きをして制服に着替える。恭平のいつもの平日のルーティンで、今日もそれは変わらない。
制服に着替える際、いつもは気にしない身だしなみを鏡を確認してきちんと整えた。最後くらい、身だしなみをそろえておきたかった。
(純ちゃんが行けない分、俺が頑張るから)
ホックで取り付けができるネクタイの位置を微調整しながら、恭平はそう意気込んだ。
いつもの姿に、いつもの通学用カバン。この格好で外に出るのも、今日が最後だ。愛着があるとまでは言えないが、何か名残惜しい。
「それじゃ、行ってきます」
いつも出発する時刻通りに、恭平は玄関を出た。玄関の扉がいつもより重く感じた。バタン、という音を立てて扉はしまった。
----------
学校に行く通学路は、当然変わることはない。そんなことは、恭平にも分かっている。分かっているが、それでも『あの道を通りたくない』という思いが強いのだ。
(なるべく、極力昨日のことを思い出さないようにしないと)
恭平は、顔を下に落としながらあの道へと入った。並べく早く通り抜けようとして、早歩きになる。前の人にぶつからないよう最低限の注意を払いながら、真っすぐに横断歩道へと突き進む。周囲から見れば、恭平は嫌な雰囲気の学生だと映ったことだろう。
横断歩道まで来ると、信号は赤だった。本当はそのまま突っ切りたいが、仕方がない。
(早く通り抜けさせてくれ……)
「ちょっと、そこ邪魔になってるので、どいてもらっていいですか?」
恭平のすぐ横の横断歩道を渡ろうとしているのであろう歩行者の一人から、そう指摘を受けた。なるほど、いつの間にか恭平は歩道のど真ん中に立っていた。
「すみません」
恭平が横断歩道ギリギリまで寄ろうと、顔をわずかに上げた時だった。昨日と同じ車体、同じ色の大型トラックが目の前を通り過ぎて行った。まるで恭平に『昨日のことを思い出せ』と言いたかったかのように。
トラックが目の前を通り過ぎた瞬間、恭平の脳内には昨日の光景がフラッシュバックした。助けたかったのに助けられなかった純の姿がトラックに跳ね飛ばされるその瞬間の映像が、静止画で恭平の目には映っていた。
(!!! もう見たくない……)
恭平は、その場にうずくまってしまった。歩行者用信号が青になったことを示す規則正しい音が鳴っていたが、恭平はその場から動けなかった。
「大丈夫ですか?」
そんな通行人の人たちがかけてくる心配の声。恭平には届いてなどいなかった。
「……大丈夫です」
そう返すものの、心は全然大丈夫ではない。体が震えてしまっている。PTSD(心的外傷後ストレス障害)、要するにトラウマというやつだ。恭平の場合、同じ車種のトラックを事故発生現場で偶然見たことがトリガーとなったと思われる。
(こういう時こそ、冷静に、冷静に)
反対側を向きそうになる衝動を抑えて、まず深呼吸をした。目にこびりついた光景が、少しづつだが取れていく。震えも収まってきた。
(よし、行こう)
恭平は、唾をゴクリと飲み込んだ。そして、まだ青の光が点灯していた横断歩道を一気に渡った。今度は途中で止まることなく抜けることが出来た。
もう昨日の光景がいきなり目の前に映し出される、ということはなくなっていた。『またいきなりフラッシュバックするかもしれない』と初めは恐れていた恭平だったが、少しずつ警戒を解いていった。
とはいえ、いつもとなりにいるはずの純の姿はどこにもない。純は今、学校の向こう側の病院の一室にいるのだ。純のいない日常は、えらく素っ気なく見える。未だに純がいないことによる喪失感は大きいままだった。
(純ちゃん……。やっぱりいるといないとだと、全然気持ちが違う)
なんと口にしていいか分からない気持ちが、恭平の中を渦巻いていた。
「……ああ、現実か……」
恭平は、大きなため息をついた。夢が覚めてほしくはなかった。が、覚めない夢というものはない。死んでしまえば話は別なのだが。
完全には締め切られていないカーテンの隙間から、日光が漏れていた。いうまでもなく、朝である。中学校生活にピリオドを打つ卒業式当日の朝でもある。
純がいないことによる膨大な喪失感。恭平の心には、いまだ大きな風穴がポッカリと空いていた。そこんじょこらの工具や材料では修復不可能なほどの大きな傷だった。
(学校、行かなくていいかな……)
もはや、学校に行くことに何の意味があるのかが分からない。学校が決して勉強だけの場所ではないことは重々承知している。それを含めても、行く必要性が感じられない。
それに、あと今日一日だけで中学校は終わり。成績にも特に影響はないだろう。
(でも、もし行かなかったとして、純ちゃんに何て報告すればいいんだろう……。少なくとも、嬉しがることは絶対にないだろうからな……)
それも、分からない。純の前か墓前かのどちらで報告するかは分からないが、どちらにせよ顔向けができない。
『学校に行かない』というのはただの自己満足だ。『自分も同じ思いをすれば』という身勝手な発想だ。それで純が喜ぶかと言われれば、絶対にそんなことはない。『自己満足で自分から道を閉じるようなことはしたくない』と思ったばっかりでもある。簡単にひっくり返したくはない。
布団の感触は依然として柔らかく、まだ眠りに誘おうとしている。このまま二度寝するなり部屋にカギをかけるなりすれば、学校に行かないということは出来る。中学校への連絡なら、親が勝手にしてくれるだろう。
しかし行かなければ純になんと言えばいいのか分からないし、最後までしっかりと登校するということも大事といえば大事だ。二つの意見に板挟みになりながらも、恭平は考える。
(楽な方へ流れるのはいつでもできる。とりあえず学校に行って、辛かったら家に帰ってくればいい)
様子見。それが恭平の選択した道だった。『辛ければすぐにでも家に帰る』という心構えで学校に行けば、いくらかは気持ちが楽になる。
恭平は掛け布団を体の上から横のスペースへとずらし、起き上がった。そして、居間へと向かった。
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「恭平、お前大丈夫か?」
開口一番、父がそう恭平に問いかけた。昨日のこともあってか、ずいぶん心配しているらしい。
「全然大丈夫じゃないけど……。でも、ひとまず学校には行く」
(今は、自分のことを放っておいてほしいのに。一人でいる方がまだ心が安定するのに)
恭平は、酷く不機嫌になった。心配してされていることは分かる。分かるが、今ではなく後でにしてほしい。傷ついている人の気持ちも少しは分かってほしい。
「……純ちゃんは、純ちゃんは?」
低い声が部屋の中を満たす。
「いや、別にまだ中学校からも永島さんの親からも、何の連絡もない」
それ以上、父は言葉を発しなかった。恭平としてもそちらの方がありがたかった。何か言われても、必ず何か激しい言葉を返していただろうから。
食卓に置いてあった食パン二枚を順番に食べ、その後歯磨きをして制服に着替える。恭平のいつもの平日のルーティンで、今日もそれは変わらない。
制服に着替える際、いつもは気にしない身だしなみを鏡を確認してきちんと整えた。最後くらい、身だしなみをそろえておきたかった。
(純ちゃんが行けない分、俺が頑張るから)
ホックで取り付けができるネクタイの位置を微調整しながら、恭平はそう意気込んだ。
いつもの姿に、いつもの通学用カバン。この格好で外に出るのも、今日が最後だ。愛着があるとまでは言えないが、何か名残惜しい。
「それじゃ、行ってきます」
いつも出発する時刻通りに、恭平は玄関を出た。玄関の扉がいつもより重く感じた。バタン、という音を立てて扉はしまった。
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学校に行く通学路は、当然変わることはない。そんなことは、恭平にも分かっている。分かっているが、それでも『あの道を通りたくない』という思いが強いのだ。
(なるべく、極力昨日のことを思い出さないようにしないと)
恭平は、顔を下に落としながらあの道へと入った。並べく早く通り抜けようとして、早歩きになる。前の人にぶつからないよう最低限の注意を払いながら、真っすぐに横断歩道へと突き進む。周囲から見れば、恭平は嫌な雰囲気の学生だと映ったことだろう。
横断歩道まで来ると、信号は赤だった。本当はそのまま突っ切りたいが、仕方がない。
(早く通り抜けさせてくれ……)
「ちょっと、そこ邪魔になってるので、どいてもらっていいですか?」
恭平のすぐ横の横断歩道を渡ろうとしているのであろう歩行者の一人から、そう指摘を受けた。なるほど、いつの間にか恭平は歩道のど真ん中に立っていた。
「すみません」
恭平が横断歩道ギリギリまで寄ろうと、顔をわずかに上げた時だった。昨日と同じ車体、同じ色の大型トラックが目の前を通り過ぎて行った。まるで恭平に『昨日のことを思い出せ』と言いたかったかのように。
トラックが目の前を通り過ぎた瞬間、恭平の脳内には昨日の光景がフラッシュバックした。助けたかったのに助けられなかった純の姿がトラックに跳ね飛ばされるその瞬間の映像が、静止画で恭平の目には映っていた。
(!!! もう見たくない……)
恭平は、その場にうずくまってしまった。歩行者用信号が青になったことを示す規則正しい音が鳴っていたが、恭平はその場から動けなかった。
「大丈夫ですか?」
そんな通行人の人たちがかけてくる心配の声。恭平には届いてなどいなかった。
「……大丈夫です」
そう返すものの、心は全然大丈夫ではない。体が震えてしまっている。PTSD(心的外傷後ストレス障害)、要するにトラウマというやつだ。恭平の場合、同じ車種のトラックを事故発生現場で偶然見たことがトリガーとなったと思われる。
(こういう時こそ、冷静に、冷静に)
反対側を向きそうになる衝動を抑えて、まず深呼吸をした。目にこびりついた光景が、少しづつだが取れていく。震えも収まってきた。
(よし、行こう)
恭平は、唾をゴクリと飲み込んだ。そして、まだ青の光が点灯していた横断歩道を一気に渡った。今度は途中で止まることなく抜けることが出来た。
もう昨日の光景がいきなり目の前に映し出される、ということはなくなっていた。『またいきなりフラッシュバックするかもしれない』と初めは恐れていた恭平だったが、少しずつ警戒を解いていった。
とはいえ、いつもとなりにいるはずの純の姿はどこにもない。純は今、学校の向こう側の病院の一室にいるのだ。純のいない日常は、えらく素っ気なく見える。未だに純がいないことによる喪失感は大きいままだった。
(純ちゃん……。やっぱりいるといないとだと、全然気持ちが違う)
なんと口にしていいか分からない気持ちが、恭平の中を渦巻いていた。
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