Happiness

相沢 朋美

文字の大きさ
上 下
19 / 20

19

しおりを挟む
 川上さんに連絡してみると、退院して体調も良くなったとのことだった。面接させていただきたいので日程調整をお願いできますかと言うと、平日の日中で何日か提示される。もともと僕が有給をとっていた日もあり、その日に面接に行くことになった。
 面接日程が決まり、履歴書と職務経歴書を準備する。また仕事終わりに、美容院で髪を切ることになった。後は受け答えの練習のみだ。それぞれ違う日の昼休みに松宮さん、郁大、星野さんに面接官役をしてもらい、フィードバックももらった。これで対策はある程度ばっちりだ。

 いよいよ面接当日を迎える。川上さんとは初対面ではないとはいえ、僕は緊張していた。
「川上さん、ご無沙汰していました。小野関です。本日はよろしくお願いします」
緊張した様子で僕が挨拶すると、川上さんは「小野関くん、来てくれてありがとう」とあたたかい紅茶を用意してくれる。紅茶を飲みながら、僕の履歴書と職務経歴書を片手に面接が始まった。雑談がてら僕の居酒屋でのアルバイト経験や、飲食店勤務はブランクがあるけれど頑張りたい気持ちを改めて話す。また工事部時代のクレーム対応を含む顧客対応経験も活かして、店長候補として貢献したいとも。
 結果として、僕はその場で即採用された。「小野関くんが面接に来てくれてよかった。引き継ぎとかもあるだろうから今すぐ来てとは言わないけど、ぜひ俺の右腕になってほしい」と川上さんに言ってもらえたのだ。
「はい。これから退職届を出しますので、来月末で退職予定です。また入社時期については相談させていただければと思います」
採用が決まり、入社時期についてはまた連絡すると伝えた。川上さんにお礼を言って僕は店を出る。
 1番に松宮さん、星野さん、郁大に採用されたことを報告した。松宮さんは昼休憩中で、星野さんと郁大はそれぞれ外回りの最中だったけれど、全員同じタイミングで僕の転職を祝ってくれる。虚偽の内容でSNS炎上という理不尽な理由で部署異動になってしまったものの、僕は良い同僚に恵まれて幸せ者だったと思う。むしろ部署異動していなければ、松宮さんには出会えていなかったのだ。



 翌日、僕は朝1番に退職届を提出した。人材強化チームという事実上は自主退職待ちの社員が集まる部署にいたこともあり、引き止められることなく退職届が受理される。最終出勤日は今月中旬となった。今月後半から来月にかけて有休消化も決まる。こんなにあっさり退職できるとは思っていなかったので、僕は拍子抜けした。さっそく川上さんに来月から入社可能となった旨を連絡する。小野関くんが早く来てくれることになって助かった、と川上さんに言ってもらえた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

処理中です...