Happiness

相沢 朋美

文字の大きさ
上 下
6 / 20

6

しおりを挟む
 LINEを交換したことで、彼女のフルネームがわかった。彼女は篠崎愛優というそうだ。彼女は僕のフルネーム表記を見て、「おのぜきすい? なんて読むんですか?」と聞いてきた。
「おのぜきみどり、だよ」
僕がフルネームを教えると、愛優は「みどりくん? 塩顔に似合わず可愛い名前」と笑っている。
「おいしばくぞ。女みたいな名前って言いたいんか?」
と言う僕に、
「いやそうじゃなくて、ギャップ萌えしました」
と笑いかけてくれた。
「じゃあ愛優、気をつけて帰ってな。もう死にたいなんて思うなよ」
「翠くんと話して、私まだ笑えるんだなって思えました。早く新しい彼女見つけなね」
そんなやりとりをして、僕と愛優は別れた。



 週明けの月曜日から、新しく女性派遣社員が僕の部署に配属される。堀内チーフが連れてきたその女性は、168cmくらいの高身長で鎖骨くらいの長さの髪を外ハネにし、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。30歳前後だろうか。どうしてこんなモデルさんみたいな人が派遣社員になり、マンション管理会社で働こうと思ったのか僕は興味津々だった。
「初めまして。本日から配属されました、遊佐真優子です。前職は接客業なので事務は初めてですが、よろしくお願いいたします」
そう挨拶する遊佐さんを見て、僕はどこかで見たことがある気がしたのだ。接客業といっても夜職では絶対になさそうだった。どこかで見たことあるというのも、僕の考え過ぎだと良いけれど。
「遊佐さんは、小野関の隣に座ってもらおう。小野関は遊佐さんのOJTよろしくな」
堀内チーフに言われ、僕は遊佐さんに自己紹介する。
「初めまして、小野関です。新卒から3年働いてて、至らないところもあると思うんですが、よろしくお願いします。ではさっそく、挨拶回りに行きましょうか」
それから僕は遊佐さんを連れて、部署内の挨拶回りに向かう。どこのデスクに行っても、女性同僚は「モデルさんみたい」「美人な人」という目で見ているし、男性同僚は下心丸出しな目で遊佐さんを見ている者もいる。初対面で人を惹きつける彼女の才能を、僕はすごいなと思いながら見ていた。
 さっそくOJTに入り、まずはシステムの使い方から教える。パソコンはエクセルを少しとワードしか使ったことがないとのことで不慣れな様子だったけれど、「もし何かわからないことがあったら、聞いてもらえたら何度でも教えます!」と僕が言うと遊佐さんは安心していた。
 そうこうしているうちに昼休みのチャイムが鳴り、女性同僚数名が遊佐さんをランチに誘う。ランチ会と称してインタビューでもするのだろう。僕は同い年で派遣社員の菅田口郁大、先輩社員の星野一樹さんと定食屋へ出かけた。道中で郁大に「翠は良いよな、遊佐さんみたいな美人の教育係できるなんて。前世でどんな徳を積んだらそうなった?」と羨ましがるような発言をされる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

処理中です...