Dear Dandelion,

響也

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第5話 束の間

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 君たちはまずオークの足跡の先に、レオの父が木を売りに行っていた村があることに気づき、その村に向かうことにした。そこまでは歩いて半日ほどかかる。村には警備隊もいて手負のオークがその村を襲うことはないとは思うが、まずその村へ行き情報収集と装備などの身の回りのものを揃えることにした。  幸い家には父が残してくれたお金があった。しかし、レオには1つ心配なことがあった。カイのことだ。獣人族は森の奥に住んでいることが多く、村や街に住む人が獣人を見ることはほとんどないからである。共存しているところもあると父から聞いたことはあったが、それもまだ一部の地域でしかないらしい。レオ自身も時々父の手伝いで行くくらいで、あまり村に出ていくことはなかった。

「カイ、君は村に行ったことはあるのかい?」

「いや、ないよ。人間と会ったのもレオが初めてだ。最初はあんな能力見せられて人間て怖いなと思ったけど、レオと話しているうちに悪いやつじゃないなと思えたし、村にいる人間も多分大丈夫だろ。いざとなったら戦うよ。人間よりは力も強いだろうしな」

「そうだといいけど。まあ、注意はしておいた方がいいと思うよ。ほら、僕の帽子を貸してあげる。耳が出てると目立つよ?」

「いや、いいよ。大丈夫だって。レオは心配しすぎ」

 今まではお互い家族を殺されて気持ちが沈んでいていた中で接してきたから分からなかったが、本来カイはこう言う性格なのだろう。

「そうかい?でも、なるべく用心しようね」

「わかってるよ」

 ほんとに分かっているのか定かではないが実際カイは力が強くて、今もレオの荷物を少し持ってくれているし、家の近くに積んであった丸太が崩れていたのを見つけた時も太い丸太を担いでかたづけてくれた。

「そんなことより急ごう」

 そういうと、カイは駆け出した。

「あっ、まってよー」

「俺が1番に村についちゃうからなー」

 あんなに荷物を持っているのにカイはレオよりも速く走っていた。

「速すぎるよ」

 10分ほど走っていただろうか。ようやくカイに追いついた。カイは息を切らして座り込んでいた。

「飛ばしすぎた」

「速すぎだよ」

「少し休憩しよう」

 お腹も空いてきたので昼食を取ることにした。家で余っていたパンと野菜を使ってサンドイッチを作って持ってきていたのだ。レオは母さんの手伝いをよくしていたので、作り方を覚えていた。

「なんだこれ、うめぇなぁ」

「サンドイッチって言うんだよ」

「もっとくれよ」

 カイは残っていたサンドイッチを全て食べてしまった。

「そんなに喜んでもらえてよかったよ」

「ああ、また作ってくれ」

 とても気に入った様子で空になった箱を名残惜しそうに見ていた。

「よし!村まで急ごう!」

「おう!」

 ここから数時間後村に無事に着くことになるのだが、その村で君たちをどんなことが待ち受けているのだろうか....
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