23 / 32
第3話「異国の少女」
①
しおりを挟む
サウスと出会ったアルファとルアは彼女を連れて遺跡を出る。
そしてそこから一番近い町へと目指し旅を続けた。
木々が生い茂る山道を下っていると
「ルア」
何かに気付き剣を構えるアルファ。
「わかってる。サウス、私達の後ろに」
その様子にルアも理解していて頷くとサウスを自分達の後ろへと下がらせる。
「え?う、うん…」
一人だけ理解できていない様子で彼女が不思議そうにしながらも二人の後ろへと退いた。
するとーーー
「ぐるぁあああっ!」
と、大きな雄たけびとともに、薄紫の毛むくじゃらの熊のような動物が草むらの茂みから出てきたのだ。
「こいつはでかいな」
ゆうに3メートルを超えたその巨体は赤黒い瞳を光らせ、鋭い牙で威嚇している。
「この辺りに生息してるっていう噂の魔物かもね」
2人は警戒し身構える。
「サウス、攻撃が当るといけないから、あの木の陰にでも隠れてろ」
「う、うん。わかった」
アルファの指示に従い慌てて少し離れた場所にある木の後ろへと隠れた。
「ぐぅああっ!」
魔物の腕がアルファへと向けて振り下ろされる。
「おっと…俺がこいつを引き付ける。ルアはその間に」
それを剣の平で受け止めた彼が背後にいるルアに言う。
「わかってるわよ」
彼女は小さく頷くと
「命の源…清らかなる水よ…集え降り注ぎ、弾けろ!」
静かな口調で詠唱をする。
相手の頭上に大きい水の塊が現れると、一気に地面に向けて落下する。地面に接した水の塊は飛散しはじけ飛んだ。
「ぎぁあっ」
「こいつも食らえ!」
ルアの技を受けて動きが止まった魔物にアルファは後ろへ周り、容赦なく次の一手を繰り出す。
「爆ぜろ炎!はぁっ!」
炎の渦をまとった剣が相手へ向けて振り下ろされると、炎が波動となり敵に当たると炸裂する。
「ぐるあああっ」
彼等の攻撃を受けたにもかかわらず魔物は平気そうにアルファへと攻撃した。
「ぐっゔがぁ!」
「っと…まだ動けるのか!?」
それをかわした彼は元気そうな相手の様子に呟く。
ルアはアルファが魔物の相手をしているうちに、腰のポシェットからルーペのような道具を取り出し、目の前へとかざした。
これは【ネンリシンボル】というもので、対象の能力値が分かるという優れもの。
魔物のステータスを確認すると…
「…って、ええっ!」
ルアは突拍子に変な声をあげた。
「こいつ体力だけはバカにならない数値じゃないの!?どんどん攻撃しないとこっちが不利になるわよ!」
体力の数値が通常の魔物の数倍もあったのだ。
「まじかよ…とにかく俺が引き付けるからどんどん攻撃してくれ。一番威力高いやつな」
彼女の言葉に彼はめんどくさいといいたげに言うと指示を出す。
「了解よ」
彼女もそれに頷くと意識を集中して魔法を放つ準備をする。
「ぐああっ」
背後で詠唱中のルアの方へと向かう魔物。
「おっと。そっちにいかせるか!」
その様子に一瞬で敵との間合いを詰めると、剣を振りかぶり相手を斬りつけ意識を自分の方へとむけさせる。
「精霊の吐息、我等に力を…」
詠唱を終えた彼女がステータス上昇の術を発動させる。
「よっし!はぁっ!」
そして、力が上がったアルファは大きく前進し、相手の懐へと剣を突き刺した。
「ぐがぁっ」
今までの攻撃とは違い、魔物が身もだえる。
「っ!あいつの弱点は胸みたいね!」
その様子にルアが言う。
「あぁ、そうらしいな。そこを狙うぞ!」
とアルファも気づいていた様子で頷き弱点一本に絞り込む作戦へと変更する。
「はぁ!」
アルファが剣で薙ぎ払うと真空波が発生し、相手の正面に当たる。
「七つの光明…審判にて彼の者に裁きを!」
そして、間髪入れずにルアが光の魔法を放った。彼女の前に現れた一つの大きな光の塊は、七つの球体に分かれたと思うと光速の速さで次々に魔物に貫いていく。
「ぐぎぁあああっ…」
奇怪な悲鳴をあげて地面へと倒れ、次第に黒い塵となって崩壊していった…
そしてそこから一番近い町へと目指し旅を続けた。
木々が生い茂る山道を下っていると
「ルア」
何かに気付き剣を構えるアルファ。
「わかってる。サウス、私達の後ろに」
その様子にルアも理解していて頷くとサウスを自分達の後ろへと下がらせる。
「え?う、うん…」
一人だけ理解できていない様子で彼女が不思議そうにしながらも二人の後ろへと退いた。
するとーーー
「ぐるぁあああっ!」
と、大きな雄たけびとともに、薄紫の毛むくじゃらの熊のような動物が草むらの茂みから出てきたのだ。
「こいつはでかいな」
ゆうに3メートルを超えたその巨体は赤黒い瞳を光らせ、鋭い牙で威嚇している。
「この辺りに生息してるっていう噂の魔物かもね」
2人は警戒し身構える。
「サウス、攻撃が当るといけないから、あの木の陰にでも隠れてろ」
「う、うん。わかった」
アルファの指示に従い慌てて少し離れた場所にある木の後ろへと隠れた。
「ぐぅああっ!」
魔物の腕がアルファへと向けて振り下ろされる。
「おっと…俺がこいつを引き付ける。ルアはその間に」
それを剣の平で受け止めた彼が背後にいるルアに言う。
「わかってるわよ」
彼女は小さく頷くと
「命の源…清らかなる水よ…集え降り注ぎ、弾けろ!」
静かな口調で詠唱をする。
相手の頭上に大きい水の塊が現れると、一気に地面に向けて落下する。地面に接した水の塊は飛散しはじけ飛んだ。
「ぎぁあっ」
「こいつも食らえ!」
ルアの技を受けて動きが止まった魔物にアルファは後ろへ周り、容赦なく次の一手を繰り出す。
「爆ぜろ炎!はぁっ!」
炎の渦をまとった剣が相手へ向けて振り下ろされると、炎が波動となり敵に当たると炸裂する。
「ぐるあああっ」
彼等の攻撃を受けたにもかかわらず魔物は平気そうにアルファへと攻撃した。
「ぐっゔがぁ!」
「っと…まだ動けるのか!?」
それをかわした彼は元気そうな相手の様子に呟く。
ルアはアルファが魔物の相手をしているうちに、腰のポシェットからルーペのような道具を取り出し、目の前へとかざした。
これは【ネンリシンボル】というもので、対象の能力値が分かるという優れもの。
魔物のステータスを確認すると…
「…って、ええっ!」
ルアは突拍子に変な声をあげた。
「こいつ体力だけはバカにならない数値じゃないの!?どんどん攻撃しないとこっちが不利になるわよ!」
体力の数値が通常の魔物の数倍もあったのだ。
「まじかよ…とにかく俺が引き付けるからどんどん攻撃してくれ。一番威力高いやつな」
彼女の言葉に彼はめんどくさいといいたげに言うと指示を出す。
「了解よ」
彼女もそれに頷くと意識を集中して魔法を放つ準備をする。
「ぐああっ」
背後で詠唱中のルアの方へと向かう魔物。
「おっと。そっちにいかせるか!」
その様子に一瞬で敵との間合いを詰めると、剣を振りかぶり相手を斬りつけ意識を自分の方へとむけさせる。
「精霊の吐息、我等に力を…」
詠唱を終えた彼女がステータス上昇の術を発動させる。
「よっし!はぁっ!」
そして、力が上がったアルファは大きく前進し、相手の懐へと剣を突き刺した。
「ぐがぁっ」
今までの攻撃とは違い、魔物が身もだえる。
「っ!あいつの弱点は胸みたいね!」
その様子にルアが言う。
「あぁ、そうらしいな。そこを狙うぞ!」
とアルファも気づいていた様子で頷き弱点一本に絞り込む作戦へと変更する。
「はぁ!」
アルファが剣で薙ぎ払うと真空波が発生し、相手の正面に当たる。
「七つの光明…審判にて彼の者に裁きを!」
そして、間髪入れずにルアが光の魔法を放った。彼女の前に現れた一つの大きな光の塊は、七つの球体に分かれたと思うと光速の速さで次々に魔物に貫いていく。
「ぐぎぁあああっ…」
奇怪な悲鳴をあげて地面へと倒れ、次第に黒い塵となって崩壊していった…
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
学園アルカナディストピア
石田空
ファンタジー
国民全員にアルカナカードが配られ、大アルカナには貴族階級への昇格が、小アルカナには平民としての屈辱が与えられる階級社会を形成していた。
その中で唯一除外される大アルカナが存在していた。
何故か大アルカナの内【運命の輪】を与えられた人間は処刑されることとなっていた。
【運命の輪】の大アルカナが与えられ、それを秘匿して生活するスピカだったが、大アルカナを持つ人間のみが在籍する学園アルカナに召喚が決まってしまう。
スピカは自分が【運命の輪】だと気付かれぬよう必死で潜伏しようとするものの、学園アルカナ内の抗争に否が応にも巻き込まれてしまう。
国の維持をしようとする貴族階級の生徒会。
国に革命を起こすために抗争を巻き起こす平民階級の組織。
何故か暗躍する人々。
大アルカナの中でも発生するスクールカースト。
入学したてで右も左もわからないスピカは、同時期に入学した【愚者】の少年アレスと共に抗争に身を投じることとなる。
ただの学園内抗争が、世界の命運を決める……?
サイトより転載になります。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる