Axis of Fate〜大樹物語〜

たみぽん

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第3話「異国の少女」

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サウスと出会ったアルファとルアは彼女を連れて遺跡を出る。
そしてそこから一番近い町へと目指し旅を続けた。
木々が生い茂る山道を下っていると
 
「ルア」
 
何かに気付き剣を構えるアルファ。
 
「わかってる。サウス、私達の後ろに」
 
その様子にルアも理解していて頷くとサウスを自分達の後ろへと下がらせる。
 
「え?う、うん…」
 
一人だけ理解できていない様子で彼女が不思議そうにしながらも二人の後ろへと退いた。
するとーーー
 
「ぐるぁあああっ!」
 
と、大きな雄たけびとともに、薄紫の毛むくじゃらの熊のような動物が草むらの茂みから出てきたのだ。
 
「こいつはでかいな」
 
ゆうに3メートルを超えたその巨体は赤黒い瞳を光らせ、鋭い牙で威嚇している。
 
「この辺りに生息してるっていう噂の魔物かもね」
 
2人は警戒し身構える。
 
「サウス、攻撃が当るといけないから、あの木の陰にでも隠れてろ」
「う、うん。わかった」
 
アルファの指示に従い慌てて少し離れた場所にある木の後ろへと隠れた。
 
「ぐぅああっ!」
 
魔物の腕がアルファへと向けて振り下ろされる。
 
「おっと…俺がこいつを引き付ける。ルアはその間に」
 
それを剣の平で受け止めた彼が背後にいるルアに言う。
 
「わかってるわよ」
 
彼女は小さく頷くと
 
「命の源…清らかなる水よ…集え降り注ぎ、弾けろ!」
 
静かな口調で詠唱をする。
相手の頭上に大きい水の塊が現れると、一気に地面に向けて落下する。地面に接した水の塊は飛散しはじけ飛んだ。
 
「ぎぁあっ」
 
「こいつも食らえ!」
 
ルアの技を受けて動きが止まった魔物にアルファは後ろへ周り、容赦なく次の一手を繰り出す。
 
「爆ぜろ炎!はぁっ!」
 
炎の渦をまとった剣が相手へ向けて振り下ろされると、炎が波動となり敵に当たると炸裂する。
 
「ぐるあああっ」
 
彼等の攻撃を受けたにもかかわらず魔物は平気そうにアルファへと攻撃した。
 
「ぐっゔがぁ!」
 
「っと…まだ動けるのか!?」
 
それをかわした彼は元気そうな相手の様子に呟く。
ルアはアルファが魔物の相手をしているうちに、腰のポシェットからルーペのような道具を取り出し、目の前へとかざした。
これは【ネンリシンボル】というもので、対象の能力値が分かるという優れもの。
魔物のステータスを確認すると…
 
「…って、ええっ!」
 
ルアは突拍子に変な声をあげた。
 
「こいつ体力だけはバカにならない数値じゃないの!?どんどん攻撃しないとこっちが不利になるわよ!」
 
体力の数値が通常の魔物の数倍もあったのだ。
 
「まじかよ…とにかく俺が引き付けるからどんどん攻撃してくれ。一番威力高いやつな」
 
彼女の言葉に彼はめんどくさいといいたげに言うと指示を出す。
 
「了解よ」
 
彼女もそれに頷くと意識を集中して魔法を放つ準備をする。
 
「ぐああっ」
 
背後で詠唱中のルアの方へと向かう魔物。
 
「おっと。そっちにいかせるか!」
 
その様子に一瞬で敵との間合いを詰めると、剣を振りかぶり相手を斬りつけ意識を自分の方へとむけさせる。
 
「精霊の吐息、我等に力を…」
 
詠唱を終えた彼女がステータス上昇の術を発動させる。
 
「よっし!はぁっ!」
 
そして、力が上がったアルファは大きく前進し、相手の懐へと剣を突き刺した。
 
「ぐがぁっ」
 
今までの攻撃とは違い、魔物が身もだえる。
 
「っ!あいつの弱点は胸みたいね!」
 
その様子にルアが言う。
 
「あぁ、そうらしいな。そこを狙うぞ!」
 
とアルファも気づいていた様子で頷き弱点一本に絞り込む作戦へと変更する。
 
「はぁ!」
 
アルファが剣で薙ぎ払うと真空波が発生し、相手の正面に当たる。
 
「七つの光明…審判にて彼の者に裁きを!」
 
そして、間髪入れずにルアが光の魔法を放った。彼女の前に現れた一つの大きな光の塊は、七つの球体に分かれたと思うと光速の速さで次々に魔物に貫いていく。
 
「ぐぎぁあああっ…」
 
奇怪な悲鳴をあげて地面へと倒れ、次第に黒い塵となって崩壊していった…
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