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第1話 始まりの道
④過去
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聖歴3896年、これは13年前の出来事ーーー
イリンシュレイ国の王都より西にある辺境の村地【ハイス】
山々に囲まれ自然豊かな村だ。
そこに住む黒髪短髪の少年は村から少し離れた丘で花を摘んでいた。
「喜んでくれるよな♪」
彼はにこやかに微笑み呟く。
今日は妹の誕生日。
そのお祝いの為に少年は片手いっぱいに彼女が好きだというオレンジ色の可愛らしい花を摘み取っていたのだ。
しばらくすると花を摘み終え、家へと向かい帰っていると少年は村の異変に気付く。
「…何だあれ?」
村全体が黒い靄に覆われていたのだ。
「っ!」
火事かと思った少年は急いで村へと戻って行く____
村へたどり着くと黒い霧に全体が覆われていた。
霧自体には匂いは無かったが辺りは薄暗く、昼間だというのに夜のように暗かった。
「…!!」
急に鼻を突くような酷い匂いが漂い眉をしかめる。
その原因はすぐにわかった。
村中にはおびただしい量の血が散っていたのだ。
「どうなってんだよ…?」
彼は今、村がどのような状況になっているのか理解ができぬまま、足を進ませる。
ただ大変な事態が起きている事だけは分かった。
おびただしい血と動かない村人達が倒れているのだから…少年は自宅へと急ぎ走る。
「早く帰らなきゃ」
こんな状況だからこそ家族の安否が不安になったのだ。
「父さん!!母さん!…っ!!」
勢い良く扉を開け放ち叫ぶように言う。
「お帰りなさい。急いで逃げましょう」と言ってもらえるのを信じて。
「… …」
が、その声も虚しく少年の両親は重なるように倒れ込み、その下には血だまりができていた。
放心状態になっていた少年はしばらくすると静かになっている両親の身体を震える手で揺すった。
「…父さん …母さん」
そうすれば起き上ってくれるのではないかと思って…。
「きゃ!」
その時奥の部屋から女の子の小さな叫び声が聞こえてきた。
「アイナ!?」
彼はその声が妹のものだと確信し悲鳴の聞こえた方の部屋へと向かう。
「!!」
そこには天井にも届きそうな大柄な男…いや二足歩行であるが全身毛むくじゃらで狼の顔、鋭い眼光をもった者が居た。
大きな手には鋭利な爪が生えており、その掌には小柄な体の少女が握られている。
茶色のボブヘアーに深緑の大きな瞳を恐怖で揺らしながら少女は少年に気付く。
「…おにぃ、ちゃ…ん…」
「アイナっ!!」
彼に向って震えながら振り絞った声で少年を呼ぶ。
彼も少女の名前を呼び手を伸ばそうとするが、少年もまた後ろから首を何者かに掴まれた。
「!!」
首を掴んでいるのは目の前にいる狼の様な毛の感触ではなく、ひんやりと滑らかな感覚…まるで大蛇にでも巻かれた感じだ。
そして少年の首筋には硬い感触があった。
それは爪で、彼は掴んでいる者の姿を見ようと振り返る。
二足歩行ではあるがこれもまた天井にも届きそうな大きさの黒く硬いうろこでおおわれた爬虫類のようで、蝙蝠の翼が背中から生えており、それはまるでおとぎ話で出てくる…
「ドラ、ゴン…?」
目を見開きそう呟いた次の瞬間、少年の首に当たっていた鋭い爪が彼の首筋を切り裂いた…
イリンシュレイ国の王都より西にある辺境の村地【ハイス】
山々に囲まれ自然豊かな村だ。
そこに住む黒髪短髪の少年は村から少し離れた丘で花を摘んでいた。
「喜んでくれるよな♪」
彼はにこやかに微笑み呟く。
今日は妹の誕生日。
そのお祝いの為に少年は片手いっぱいに彼女が好きだというオレンジ色の可愛らしい花を摘み取っていたのだ。
しばらくすると花を摘み終え、家へと向かい帰っていると少年は村の異変に気付く。
「…何だあれ?」
村全体が黒い靄に覆われていたのだ。
「っ!」
火事かと思った少年は急いで村へと戻って行く____
村へたどり着くと黒い霧に全体が覆われていた。
霧自体には匂いは無かったが辺りは薄暗く、昼間だというのに夜のように暗かった。
「…!!」
急に鼻を突くような酷い匂いが漂い眉をしかめる。
その原因はすぐにわかった。
村中にはおびただしい量の血が散っていたのだ。
「どうなってんだよ…?」
彼は今、村がどのような状況になっているのか理解ができぬまま、足を進ませる。
ただ大変な事態が起きている事だけは分かった。
おびただしい血と動かない村人達が倒れているのだから…少年は自宅へと急ぎ走る。
「早く帰らなきゃ」
こんな状況だからこそ家族の安否が不安になったのだ。
「父さん!!母さん!…っ!!」
勢い良く扉を開け放ち叫ぶように言う。
「お帰りなさい。急いで逃げましょう」と言ってもらえるのを信じて。
「… …」
が、その声も虚しく少年の両親は重なるように倒れ込み、その下には血だまりができていた。
放心状態になっていた少年はしばらくすると静かになっている両親の身体を震える手で揺すった。
「…父さん …母さん」
そうすれば起き上ってくれるのではないかと思って…。
「きゃ!」
その時奥の部屋から女の子の小さな叫び声が聞こえてきた。
「アイナ!?」
彼はその声が妹のものだと確信し悲鳴の聞こえた方の部屋へと向かう。
「!!」
そこには天井にも届きそうな大柄な男…いや二足歩行であるが全身毛むくじゃらで狼の顔、鋭い眼光をもった者が居た。
大きな手には鋭利な爪が生えており、その掌には小柄な体の少女が握られている。
茶色のボブヘアーに深緑の大きな瞳を恐怖で揺らしながら少女は少年に気付く。
「…おにぃ、ちゃ…ん…」
「アイナっ!!」
彼に向って震えながら振り絞った声で少年を呼ぶ。
彼も少女の名前を呼び手を伸ばそうとするが、少年もまた後ろから首を何者かに掴まれた。
「!!」
首を掴んでいるのは目の前にいる狼の様な毛の感触ではなく、ひんやりと滑らかな感覚…まるで大蛇にでも巻かれた感じだ。
そして少年の首筋には硬い感触があった。
それは爪で、彼は掴んでいる者の姿を見ようと振り返る。
二足歩行ではあるがこれもまた天井にも届きそうな大きさの黒く硬いうろこでおおわれた爬虫類のようで、蝙蝠の翼が背中から生えており、それはまるでおとぎ話で出てくる…
「ドラ、ゴン…?」
目を見開きそう呟いた次の瞬間、少年の首に当たっていた鋭い爪が彼の首筋を切り裂いた…
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